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プラスチック資源循環促進法で製造・販売事業者がすべきことと事例

Image by imordaf from Pixabay

2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法では、プラスチックの資源循環を促進させるため、プラスチック製品の設計から廃棄物の処理までに関わる各事業者に対してあらゆる取り組みを求めています。今回は、プラスチック使用製品を製造・販売する事業者に焦点を当て、すべきことと事例をお伝えします。

本文を読む前におさらい!

  1. 本法律の概要・目的を知りたい方へ
    プラスチック新法とは?5分で学ぶ!
  2. 本法律で求められていること、また義務と罰則について知りたい方へ
    プラスチック資源循環法で企業が求められることは?違反すると罰則はある?
  3. 本法律で排出事業者へ求められていることと事例を知りたい方へ
    プラスチック資源循環促進法で排出事業者がすべきことと取り組み事例
製造・販売事業者等による自主回収・再資源化の認定制度

本法律では、プラスチックの資源循環の取り組みを促進するため、プラスチックのライフサイクル全般に関わる事業者に対してあらゆる措置を定めています。排出・回収・リサイクル段階では、自治体による分別回収や排出事業者による排出抑制などの促進のほかに、プラスチック使用製品の製造または販売を行う事業者に対して自主回収または再資源化を推進するため認定制度を設けました。

図1:自主回収・再資源化のスキーム

plastic1.PNG

出典:環境省

本認定制度では、製造・販売事業者等が「自主回収・再資源化事業計画」を作成し、国の認定を受けることで、廃棄物処理法に基づく許可がなくても、使用済みプラスチック使用製品の自主回収・再資源化事業を行うことが定められました。これまで複数の自治体にまたがって自主回収・再資源化事業を行う場合、自治体ごとに業の許可が必要でしたが、この認定を受けることでそれぞれの自治体の許可を受けずに自主回収・再資源化事業を行うことができます。
なお、本制度の認定を受けた場合でも、廃棄物処理法での規定遵守などは通常の許可業者と同様に適応の対象となります。産業廃棄物として扱われるプラスチック使用製品については、マニフェストの交付も適応されます。

対象となる事業者と使用済みプラスチック

本制度における対象の事業者と使用済みプラスチックは次のとおりです。

事業者

  • 自ら製造、販売、またはその行う販売や役務にともない提供するプラスチック使用製品が使用済みプラスチック使用製品となったものについて、自主回収・ 再資源化事業を行おうとする者(使用済みプラスチック使用製品の収集・運搬、処分の全部、または一部を他人に委託して当該自主回収・再資源化事業を行おうとする者を含む。)

使用済みプラスチック使用製品

  • 製造・販売事業者等が自ら製造、販売、またはその行う販売や役務にともない提供するプラスチック使用製品が、一度使用され、または使用されずに回収され、もしくは廃棄されものであって、放射性物質によって汚染されていないもの

出典:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に係る 製造・販売事業者等による自主回収・再資源化事業計画 認定申請の手引き(1.0 版)」p9

また他社が製造、販売または提供したプラスチック使用製品であっても、自主回収を行うプラスチック使用製品と合わせて再資源化を実施することが効率的な場合、認定の対象となります。複数の事業者で共同して計画の認定申請を行うこともでき、この場合代表申請者を設定して、認定に係る事務を一元化することも可能です。

認定制度の手順

「自主回収・再資源化事業計画」の認定取得までの流れとしては、事前に経済産業省または環境省、各地方環境事務所に相談したうえで申請書類を提出し、審査を受けることよって認定されます。申請書類の受理から認定までの期間は、約3カ月です。また、認定を受けた後は、毎年6月30日までに、前年度の自主回収・再資源化事業の実施状況を主務大臣に報告することが必要です。

図2:自主回収・再資源化のフロー図

plastic2.PNG

出典:環境省

詳細の手順については「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に係る 製造・販売事業者等による自主回収・再資源化事業計画認定申請の手引き(1.0版)」をご覧ください。

使用済みプラスチック使用製品の自主回収、再資源化の事例

それでは、企業が使用済みプラスチック使用製品を自主回収している事例を紹介します。
ライオン株式会社は、使用済みハブラシを回収し、植木鉢や定規などのプラスチック製品へとリサイクルを行う「ハブラシ・リサイクルプログラム」を実施しています。経営目標に「環境対応先進企業の実現」を掲げたことにより、2015年からテラサイクル合同会社と連携し、消費者の健康のために定期的な歯ブラシ交換を促すとともに、環境貢献のために歯ブラシをプラスチック製品に再生することを始めました。

本プログラムは、個人・学校・団体単位で参加することができます。自ら回収ボックスを設置し、集められた使用済みハブラシは指定運送業者に集荷されます。参加者には重量に応じてポイントが付与され、ポイント数に応じてリサイクルされたプラスチック製品との交換や教育支援などの寄付に換えることができます。参加拠点のなかには、保育園や学校などもあり、園児や学生への環境教育の一環として取り組まれている事例もあります。2022年10月末時点では、これまで1150拠点が回収拠点となり、約112万本ものハブラシがリサイクルされました。このように、消費者を巻き込んで自主回収・再資源化を行うことによりって、プラスチックの循環を促進させるだけでなく、消費者の健康や環境意識の醸成にも貢献するなど、より自社の社会的価値を増幅させることができます。

つぎに、企業が行政とパートナーシップ※を組み、水平リサイクルに取り組んでいる事例を紹介します。神戸市と小売り・日用品メーカー・リサイクラーは、一度市場に出回った洗剤やシャンプーなど使用済みのつめかえパックを水平リサイクルできるようにするため、2022年12月時点で同市内小売75店舗・3施設に回収ボックスを設置し分別回収を行っています。

図3: 神戸プラスチックネクスト~みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル~体制図

kobe.PNG

出典:神戸市

つめかえパックは様々な特性を持つ多層構造のフィルムから構成されるため、生活者にとって身近なプラスチック製品にリサイクルされることはほとんどありませんでした。なかでも日用品メーカーにとって「水平リサイクル」は難しいという課題がありました。本プロジェクトでは、つめかえパックの水平リサイクルを可能にするために、回収した使用済みつめかえパックのリサイクル実験を行い、リサイクル技術の共有やよりリサイクルしやすいつめかえパックの素材や形状等を議論しています。

このように、自社だけでなく競合する企業の垣根を越えて自主回収・再資源化に取り組むことで、1社のみで回収する量よりもまとまった量での回収が可能となり、より効率的な回収スキームを構築することができます。また、自社だけでリサイクル技術を培うことは容易ではありませんが、他社のリサイクル技術を用いることで、より水平リサイクル化の実現に近づけることができます。さらに、他社と共創しあうことで、自社のリサイクル、またはサステナビリティへの取り組みに関する課題感や意見を交換することができ、双方にとってイノベーションのきっかけとなるでしょう。

※アミタが幹事を務める「ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(略称J-CEP)」では、企業・住民・行政・大学等が連携し、サーキュラー・エコノミーを推進するため、プラスチックの水平リサイクルを目指した自主回収等の取り組みを行っています。

最後に

これまで製造・販売事業者における自主回収・再資源化事業についてを説明してきました。3Rの視点からは、まずはプラスチックの使用を抑制すること、必要不可欠な場合においては再生可能資源を使用すること、それでも発生された廃棄物について再資源化または熱回収を行うことが推奨されています。排出抑制や代替原料への切り替えも大切ですが、特にプラスチック使用製品を製造・販売する企業においては、排出したプラスチックをどのように資源循環させていくかがポイントとなるでしょう。自社の資源循環方法を見直すにあたり、本記事で紹介した認定制度や他社事例の内容がお役に立てれば幸いです。

関連情報

アミタでは、廃棄物削減・資源利用高度化の検討、またサーキュラー・エコノミー化戦略立案支援を行っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者情報(執筆時点)

田中 千智(たなか ちさと)
アミタ株式会社
社会デザイングループ カスタマーリレーションチーム

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