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コラム

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)の概要は?佐藤泉先生の「廃棄物処理法・環境法はこう読む!」

haipla.png2021年3月9日「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の法律案が閣議決定されました。2022年4月に施行される見通しです。対象は誰か?プラスチックの資源化促進に向けて、排出事業者や自治体に求められる行動は何か?概要を踏まえて、わかりやすく解説します。
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目次
プラスチックの新しい法律、策定の目的は?

 海洋プラスチック汚染が生態系に与える影響が深刻化し、国際的にプラスチック製品の使用抑制、回収・リサイクルの推進が必要となっています。また、プラスチック製品は石油由来が多く、気候変動問題への対応、脱炭素社会の実現のためにも、将来的に素材の転換を進めることが重要です。さらに、中国等において、プラスチック廃棄物の輸入規制が強化されており、国内でのプラスチック資源循環が必要となっています。
 レジ袋については、2020年の容器包装リサイクル法(以下容リ法)の関連省令改正により、有料化が行われました。今回の新法はプラスチック製品全般に、環境配慮設計の促進、使用の合理化、排出・回収・リサイクルの仕組みづくりを目指すものです。環境配慮設計の認定制度やワンウェイプラスチックに関する主務大臣の指導や助言、自主回収の促進などが定められています。

plastichoan.png図:環境省Webサイト「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案の概要

いつ施行される?

 この法律は、2021年3月9日に閣議決定され、4月現在、第204回国会(会期6月16日まで)で審議中です。したがって、2021年5月頃には成立し、公布されるでしょう。法案では公布から1年以内に施行されることになっているため、おそらく2022年4月に施行されると思います。
 なお、閣議決定したという意味は、既に内閣法制局での文言や他法との関係性に関する確認が終了し、内閣総理大臣および各国務大臣の承認を得て、国会へ提出する準備ができたということです。したがって、閣議決定を経た条文が、国会の決議で修正されることはほとんどありません。ただし、国会の審議で、野党からの意見や質問が行われ、附帯決議が行われることはよくあります。附帯決議の内容は、法律の運用や今後の改正に影響を与えることがあるので注意が必要です。

法律の対象となるプラスチックは?

 第1条の定義規定では「プラスチック使用製品」「使用済みプラスチック使用製品」「プラスチック使用製品廃棄物」「プラスチック副産物」という、4つの定義が行われています。

▼プラスチック新法 4つの定義

用語 定義
プラスチック使用製品 この法律において「プラスチック使用製品」とは、プラスチックが使用されている製品をいう。
使用済みプラスチック使用製品 この法律において「使用済プラスチック使用製品」とは、一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄されたプラスチック使用製品であって、放射性物質によって汚染されていないものをいう。
プラスチック使用製品廃棄物 この法律において「プラスチック使用製品廃棄物」とは、使用済プラスチック使用製品が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)第二条第一項に規定する廃棄物となったものをいう。
プラスチック副産物 この法律において「プラスチック副産物」とは、製品の製造、加工、修理又は販売その他の事業活動に伴い副次的に得られるプラスチックであって、放射性物質によって汚染されていないものをいう。

 従来のリサイクル法は「家電」「自動車」など、製品に着目して、事業者に回収・リサイクルなどの義務を課しています。これに対してプラスチック新法は、プラスチックという素材に着目している点で、製品や業界という枠にとらわれない、画期的な内容となっています。また、これにより、従来のリサイクル法よりも多くの企業が関係することとなります。
 さらに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)との関係も、多様な解釈ができる余地を示唆しています。プラスチック類は、現在廃棄物に該当するかどうかが微妙なケースが多く、状況によって廃棄物処理法の対象になる場合と、ならない場合があります。例えば、プラスチック使用製品は通常有価物ですが、在庫処分などの際には廃棄物になる可能性があります。使用済みプラスチック使用製品についても、通常廃棄物ですが、回収段階で有償売却できる状態であれば有価物になる可能性があります。プラスチック副産物については、現在は有償売却できることが多いため、通常有価物となっています。
 このような状況の中で、今回の新法では、これらの可能性を全て網羅して、3Rを推進するという意図が表れているように思います。
 また、プラスチック使用製品の定義では、政省令への委任がありません。したがって、政省令で、その範囲を限定する仕組みがないことが注目されます。

ポイント1:リサイクルの定義が示される

 廃棄物処理法には、リサイクルの定義がありません。そのため、排出事業者がリサイクルの際にどこまで責任を負担するのか、不明確です。一方、プラスチック新法では、リサイクルの定義について「再資源化」「再資源化等」「再商品化」という3つのカテゴリーを示しています。

▼プラスチック新法 リサイクルの3つのカテゴリーと定義

カテゴリー 定義
再資源化 マテリアルリサイクル
再資源化等 サーマルリサイクルを含むリサイクル全般
再商品化 市町村の分別回収物についてマテリアル又はサーマル利用をする者に有償又は無償で譲渡しうる状態にすること

 なお、リサイクルを行ううえでの「回収」の定義規定はありません。このことから、市町村の分別回収、町内会等による資源回収、製造者・販売者による自主回収など、多様な回収手法を前提としていると思われます。

ポイント2:製造業者の環境配慮設計の策定と認定制度がはじまる

 プラスチック新法の内容によれば、経済産業省は今後、プラスチック使用設計指針を定めます。プラスチック使用製品製造業者等は、これを遵守する法的義務はありませんが、自主的にこの基準をクリアするよう努力するとともに、申請により、経産省からこの基準を満たしていることの認定を受けることができます。いわば、優良認定のような仕組みです。認定を受けた製品は、国等が公共調達において率先して購入する(グリーン購入法)インセンティブが与えられます。
 環境配慮設計の内容が、具体的にどの程度詳細なものになるかはまだ分かりませんが、省エネ・省資源、リサイクル素材の利用、分別・解体の容易性など、様々な要素が検討されるでしょう。これにより、再生利用促進とリサイクルしにくい製品が減少するという効果が期待できます。製造業においては、自社製品の環境配慮を示す手段の一つとなると考えられます。

ポイント3:ワンウェイプラスチックに関する使用の合理化・ストローやスプーン類などの有料化がはじまる

 経済産業省は、小売・サービス事業者(コンビニ・フランチャイズ飲食店の直営・加盟店を含む)等のワンウェイプラスチックを無償で提供する事業者に対し、使用の合理化のために取り組むべき判断基準を定めます。
 多量のワンウェイプラスチックを提供している事業者が、この判断基準に適合しない場合には、経済産業省は勧告等により是正を求めることができます。
 既にレジ袋については有料化が実施されています。今回の法律により、ストロー・フォーク・スプーン類についても、今後は無償配布の原則禁止・有料化が実施されるでしょう。

ポイント4:市町村の分別回収について再商品化を促す仕組みができる

 一般廃棄物の処理は市町村の自治事務であり、市町村に広範な裁量があります。各市町村によって、人口や年齢層は異なり、また環境への取り組みも異なっているのが現状です。したがって、分別回収の実施基準(分別の種類、方法及び回収回数等)について全国で統一的な基準を求めるのは困難な状況です。
 そこで、新法では市町村の自主性に委ねつつ、容器包装の分別回収ルートを活用して製品プラスチックの回収をすることを認め、さらに複数の市町村が連携するなどして再商品化を進めることができる仕組みを作りました。
 容リ法は一般廃棄物の減量・リサイクルに重要な法律ですが、中国等の輸入規制強化によって、処理料金が上昇しています。新法が新たに推進する製造・販売業者等による自主回収ルートとの競合もあり、今後の行方が注目されます。

ポイント5:製造・販売業者等による自主回収が制度化される

 プラスチック新法では、製造・販売・サービス業者が、使用済プラスチック使用製品を自主的に回収することについて、認定制度を設けました。これは、店頭回収などの自主的取り組みの促進により、回収ルートの多様化とプラスチック製品の回収・リサイクルを促進するものです。一般廃棄物・産業廃棄物の区分にとらわれず、廃棄物処理業の許可を不要とする制度は、他のリサイクル特例と共通です。
 一方、製造者等による自主回収については、廃棄物処理法において広域認定制度が存在します。新法が定める自主回収と、廃棄物処理法の広域認定制度の住み分けがどうなるか気になる方もいらっしゃるかと思います。この点については、小型家電リサイクル法では、自治体回収・広域認定制度・店頭回収・下取りなどの既存の仕組みは残したまま、小型家電の認定が行われていることから、今回の新法においても、同様に既存の自主的取り組みを残したまま、認定制度が運用されるものと思われます。

最後に

 プラスチック製品は、市民の生活の隅々までいきわたっています。安くて軽くて便利、そんなプラスチックでも、持続可能な生態系と社会のためには使用を減らす工夫が必要です。世界で起きている変化に、日本の社会も対応することが求められています。

執筆者プロフィール

佐藤 泉(さとう いずみ)氏
佐藤泉法律事務所 弁護士

環境関連法を主な専門とする。特に、企業の廃棄物処理法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等に関連したコンプライアンス体制の構築、紛争の予防及び解決、契約書作成の支援等を実施。著書は「廃棄物処理法重点整理」(TAC出版)など

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