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プラスチック資源循環促進法で排出事業者がすべきことと事例

Image by EKM-Mittelsachsen from Pixabay

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下、プラスチック資源循環促進法)が施行されてから約1年が経過しました。昨今、企業に対して気候変動対策が求められていますが、さらに脱プラスチック化への取り組みも促進されています。今回は改めて本法律の振り返りと、排出事業者が取り組むべき排出抑制と再資源化について紹介します。

目次

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ボタン_動画と資料はこちら.png

プラスチック資源循環促進法の振り返り

2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法は、プラスチック使用製品の設計・製造、販売・提供、排出・回収・リサイクルのライフサイクル全般において、あらゆる主体によるリデュース、リユース、リサイクルその他の再生を促進するための法律です。本法律では製造事業者、ワンウェイプラスチック提供者、自治体、販売事業者や排出事業者など、プラスチック使用製品のライフサイクルに係る主体毎に要求事項が定められています。

図1:プラスチック使用製品のライフサイクルと各主体における措置事項について

lifecycle.jpgのサムネイル画像

出典:環境省

施行されてから約1年が立ちますが「結局自社が何をすべきかわかっていない」「他社がどのような取り組みをしているのか知りたい」といった声もお聞きします。そこで、次節からは多くの企業に関係しうる「排出事業者」への措置事項と対応事例に焦点をあてて解説します。

※本法律の概要や、義務と罰則については下記の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
プラスチック新法とは?5分で学ぶ!
プラスチック資源循環法で企業が求められることは?違反すると罰則はある?

対象となる廃棄物と排出事業者は?

本法律では、プラスチック使用製品産業廃棄物等を排出する事業者(事務所、工場、店舗など事業を行う多くの事業者)に対して、積極的な排出抑制と再資源化等を求めています。

対象となる廃棄物と排出事業者は下記のとおりです。

  • プラスチック使用製品産業廃棄物等

・プラスチック使用製品廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定された産業廃棄物に該当するだけでなく、プラスチック副産物(製品の製造、加工、修理または販売などの事業活動に伴い副次的に得られるプラスチック)も含まれる

・製造工場や販売拠点において事業活動に伴って生じる廃プラスチックのみならず、オフィス等における事業活動に伴って排出されたボールペンやクリアファイル、バインダー等もプラスチック使用製品産業廃棄物等に該当する


  • 排出事業者

・小規模企業者※を除き、上記の廃棄物等を排出する事業者
・常時使用する従業員の数が5人以下の、商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として行う個人・会社・組合等

※小規模企業・・・常時使用する従業員の数が 20 人以下の、商業・サービス業以外の業種に属する事業を主たる事業として行う個人・会社・組合等

出典:環境省「排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の 抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準の手引き(1.0 版)」p6

排出事業者がすべきこと1「排出抑制・再資源化等への取り組み基準事項」

本法律では、排出事業者が排出抑制・再資源化等を実践しやすくするために、取り組みの基準となるような事項をまとめています。

  1. 排出の抑制・再資源化等の実施の原則
  2. 排出の抑制に当たって講ずる措置
  3. 再資源化等に当たって講ずる措置
  4. 多量排出事業者の目標の設定・情報の公表等
  5. 排出事業者の情報の提供
  6. 本部・加盟者における排出の抑制・再資源化等の促進
  7. 教育訓練
  8. 実施状況の把握・管理体制の整備
  9. 関係者との連携

※1から9の取り組み基準の詳細は、「排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の 抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準の手引き(1.0 版)」p11,12をご覧ください。

特に1「排出の抑制・再資源化等の実施の原則」では、①排出抑制②再資源化③熱回収という優先順位に従うことが定められています。また、多量排出事業者においては、4「多量排出事業者の目標の設定・情報の公表等」のとおり措置が定められていますので、詳しくみていきましょう。


多量排出事業者は、排出抑制・再資源化の目標をしっかりと定め、計画的に取り組むことが求められています。主務大臣は、必要に応じて排出事業者に指導または助言を行い、多量排出事業者に対しては取り組みが不十分な場合に、勧告・公表・命令を行う場合もあります。また、命令に違反した場合には、50 万円以下の罰金が科す、とされています。

図2:プラスチック資源循環促進法と排出事業者

plastic.png

出典:環境省

本法律では、排出事業者の対象が多岐にわたり、排出されるプラスチック使用製品産業廃棄物の性質や形状も様々であることから、目標設定における一律の基準は設けていません。そのため事業者自らが、排出抑制と再資源化等に関する目標を設定する必要があります。目標設定は単年度だけでなく、中長期的な目標を定めることも可能です。

多量排出事業者の目標設定例

1.排出抑制
・〇年までに、製品1体あたりの再生プラスチック使用量を、〇〇%増加する(〇年比) など

・〇年までに、製品 1 台あたりのプラスチック製の包装材の使用量を〇〇%削減する (〇年比)など

2.再資源化等の促進
・〇年までに、プラスチック使用製品産業廃棄物等のリサイクル率を〇%にする
・〇年までに、プラスチック使用製品産業廃棄物等のリサイクル率を〇%とし、熱回収の比率は〇%まで抑制する

出典:環境省「排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の 抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準の手引き(1.0 版)」p27,28

また、多量排出事業者が排出抑制および再資源化等に関する目標達成状況を報告する義務は定めていませんが、これらの自社のホームページや環境報告書、統合報告書等で公表するよう推奨されています。

排出事業者がすべきこと2「再資源化事業計画」

本法律では、排出事業者への取り組み基準事項だけでなく、排出事業者自らが再資源化事業を行うことができるよう認定制度を定めています。この認定制度では、排出事業者が「再資源化計画」を作成し国の認定を受けることで、廃棄物処理法に基づく業の許可がなくても、自社で再資源化事業を行うことを認めています。

再資源化事業計画の申請ができる対象者は次の2つです。

1.排出事業者
自ら排出したプラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化事業を行おうとする排出事業者
(プラスチック使用製品産業廃棄物等の収集、運搬又は処分の全部又は一部を他人に委託して当該再資源化事業を行おうとする者を含みます。)

図3:申請者が排出事業者である場合の再資源化事業スキーム

haishutsu1.jpg

出典:環境省

2.複数の排出事業者から委託を受けた再資源化事業者
複数の排出事業者からの委託を受け、排出されたプラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化を行う再資源化事業者
(プラスチック使用製品産業廃棄物等の収集又は運搬の全部又は一部を他人に委託して当該再資源化事業を行おうとする者を含みます。)

図4:申請者が再資源化事業者である場合の再資源化事業スキーム

haishutsu2.jpg

出典:環境省

この認定制度によって、自主的に回収ルートの効率化等に取り組めることにより、排出事業者による再資源化が一層促進されるでしょう。「再資源化事業計画」の認定を受けるためには、事前に経済産業省や環境省に相談したうえで申請書類を提出し、審査の基準を満たすと認定を受けることができます。
※詳細については、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に係る排出事業者等による再資源化事業計画認定申請の手引き(1.0 版)」をご覧ください。

排出抑制・再資源化事例

それでは、排出事業者がプラスチック使用製品産業廃棄物を排出抑制、または再資源化を行った事例を紹介します。

株式会社ユーグレナは、製品におけるプラスチック使用量を減らすため、原材料をプラスチックから代替のものの使用に変更しました。具体的には、化粧品の容器を軽量化し、容器の原料をサトウキビ由来樹脂が30%配合されたものに替えたことにより、従来品と比べて最大90%の石油由来プラスチックを削減することができました。
※アミタがユーグレナの代表取締役社長である出雲氏に、経営観や実現したいことなどインタビューした記事がございます。ぜひご覧ください。

また、事務所等で普段からプラスチックの利用を減らすよう工夫されている事例もあります。例えば、社内で弁当販売をする際、繰り返し使えるようリターナブル容器で提供している弁当事業者を利用したり、社内にウォーターサーバーを設置し、ペットボトル飲料の購入ではなくマイボトルの利用を促すような取り組みがあります。

再資源化等の取り組み事例では、自社だけでなく自治体や他業界を巻き込んだものもあります。中部国際空港株式会社(以下、中部国際空港)は、常滑市とサントリーホールディングス株式会社と連携協定を結び、国内空港では初となるペットボトルの水平リサイクルを始めました。これまで中部国際空港は、複数のリサイクル業者を経由することで最終的な処分方法が確定できておらず、方法によってはCO2を発生することになっていましたが、今回関係事業者とともにリサイクルを行うことにより、石油原料から使用済み製品へと原料を変更するだけでなく、生産・処分に係るCO2排出量の削減も達成される見込みです。また、常滑市と協力することにより、同市から排出される一般廃棄物のペットボトルも一緒にリサイクルできる仕組みとなっています。空港、自治体、飲料メーカーが共同となり水平リサイクルを行うことは全国初で、今注目されている取り組みといえるでしょう。

さいごに

今回は、プラスチック資源循環促進法の振り返りと、排出事業者における排出抑制・再資源化の取り組み基準、またその事例をご紹介しました。プラスチックを排出する企業であれば業界や業態問わず対象となります。あくまでも努力義務とされる内容がほとんどですが、本法律をきっかけに自社ができることを見直し、プラスチックの排出抑制または再資源化を検討されてみてはいかがでしょうか。

参考記事
関連情報

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執筆者情報(執筆時点)

田中 千智(たなか ちさと)
アミタ株式会社
社会デザイングループ カスタマーリレーションチーム

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