半径5mからの社会変革【第1回】病児保育とひとり親支援  | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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コラム

半径5mからの社会変革【第1回】病児保育とひとり親支援 半径5mからの社会変革

florence1-001.jpgはじめまして。病気の子どもを預かる「病児保育」で子育て家庭をサポートしている。NPO法人フローレンスの藤田です。今月よりコラムを寄稿することになりました。よろしくお願いいたします。第一回では、フローレンスの「病児保育」と「ひとり親家庭の支援」の取り組みについて紹介します。

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子育てと仕事の両立が難しい社会。怖いのは、子どもの病気

florence1-logo.jpg日本では現在でも70%近い女性が、出産をきっかけに仕事をやめるといわれています。

日本社会において、子育てと仕事を両立するのは簡単なことではありません。たとえば、子どもが急に風邪など軽い病気にかかった時。子どもを預かる保育園では、子どもが病気の時や熱が37.5度以上ある子どもを預かることができません。そのため働く親は祖父母のサポートが得られる場合にはヘルプを頼みますが、それ以外は仕事を休むかしかありません。そして子どもの看病を優先した結果、急な休みが増え、職場で責任のある仕事を任せてもらえなかったり、仕事を失ってしまうということさえ今の日本では起こっています。

子どもは熱や軽い病気を経験することによって体の免疫をつけていくので、時には風邪をひいたり体調を崩すのはごく当たり前のこと。 成長過程で必要なことにも関わらず、幼い子どもを育てる親は、日々子どもが体調を崩さないかヒヤヒヤしながら子どもを育てている現状です。病気の子どもを預かる「病児保育」専門の施設もありますが、たいてい自治体に2か所程度しかなく、定員も一日4名程度と、圧倒的に足りていないのが現状です。

日本初!「訪問型の病児保育」で、子育て家庭を支える

florence1-002.jpgそのような、病児保育が不足する問題を解決するために、2005年から、私たちフローレンスは日本初の訪問型の病児保育事業を立ち上げました。急に病気になった子どもの自宅で、「こどもレスキュー隊員」と呼ばれる専門の保育スタッフが、親御さんの代わりに子どもの面倒をみます。子どもを病院に連れて行き、親御さんが帰ってくるまで、1対1で保育。1対1保育なので他の子どもと病気をうつしあうこともないため、病児保育専門施設でも預かり不可となるインフルエンザ等の感染症でも預かることができます。子どもは突然体調を崩すものですが、当日の朝8時までの予約で100%対応可能できることも大きな特徴です。

利用世帯からは「何かあってもフローレンスにお願いできるという安心感が働く上で"お守り"になっている。」という声が届いています。サービスの提供エリアは東京23区や横浜市、川崎市など4都県に広がり、利用会員は4000人を超えます。

画像:病児保育の様子 画像提供:認定NPO法人フローレンス

低所得のひとり親家庭には、寄付を原資に安価に提供

florence1-003.jpg通常、上記の病児保育サービスは月会費8000円前後の有償サービスとして展開していますが、通常料金での利用が難しい低所得のひとり親家庭には、寄付を原資に月1000円という超安価で病児保育を提供しています。

母子家庭の平均年収はわずか181万。子どものいる世帯の平均に比べ経済的に非常に厳しい状況に置かれています。また、父子世帯においても、子どもの保育所へのお迎えなどがあるため、時間外労働を減らしたり、 転職を余儀なくされたりするケースもあり、収入が大幅に減ってしまうリスクを抱えています。子どもの急病時、ひとり親家庭は共働き家庭のように「両親が交代で会社を休む」といった対処ができず、自分が休むしかありません。1日は会社を休めたとしても、何日も続いてしまうと収入が減ってしまったり、雇用主からの信頼を得づらくなる、最悪の場合、失職してしまうなどの恐れがあります。

このように、まさに病児保育を必要とする家庭に対して、「利用家庭から費用を負担してもらうことが難しければ、寄付を集めて助けよう」と考えたのが、寄付会員制度です。毎月1050円~8400円までの金額を選択して、継続に寄付して 支えてくれる寄付会員は現在800人を超えます。寄付する人の動機は「自分も子育てで子どもの病気で困ったから、ひとり親家庭だときっともっと大変なはず」という人、「自分には子どもはないけど、一人で頑張っている親御さんを支えたい」など、さまざま。ひとりひとりの力は小さくても、その800人の寄付によって、毎月200世帯のひとり親家庭の親子を支えています。

フローレンスでは、病児保育を必要とするすべての家庭にサポートを届けるため、時にはこのようにたくさんの人の力を借りて、子育て家庭を社会全体で支えていきたいと思っています。

図:親の低収入が子どもの教育格差に。ひとり親世帯は低収入の割合が多くサポートが必要です。
図提供:認定NPO法人フローレンス

*ひとり親支援サポーター募集ページ
http://www.florence.or.jp/social/support-single/

関連情報
プロフィール

florence_fujita.jpg藤田 順子(ふじた じゅんこ)氏
認定NPO法人フローレンス
経営企画室 マネージャー

前職では広告会社で商業施設や大手通信会社のマーケティングに携わる。在職中、実母の看病で介護休職した経験をきっかけに、介護や子育てなど「家族のケア」を抱えるライフステージにある人が、仕事を辞めることなく家族や生活を大切にできる日本社会にしたいと課題意識を持つようになる。
2010年、子育てと仕事の両立をはばむ社会課題の解決を軸に事業展開するNPO法人フローレンスに参画。ひとり親家庭の支援、被災地の子どもの学習支援などの活動に携わり、応援してくれる人を活動に巻き込むソーシャルプロモーションに取り組んでいる。

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