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CSR活動にマーケティング視点が必要と聞いたのですが、なぜでしょうか?

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社内のCSR活動を社外に向けて計画的に発信することで、企業ブランド・認知を向上させることができるからです。今回は、CSR活動とソーシャルメディアやCSRレポートとの関係に絡めて解説していきます。

なぜ企業のCSRレポートが読まれないのか?

日本のCSRレポートを製作している会社数は1,000社を超えるといわれています。上場会社が約3,400社とするならば上場会社の約3割がCSRレポートを制作している計算になります。とかく、CSRレポートの公表は米国や欧州の企業が先駆けのように思われますが、日本は近隣住民への説明責任のツールとして環境報告書からの変遷していったこともあり、世界で最も多く制作されているそうです。

ですが、数百万円以上かけて制作されるCSRレポートでも、残念なことに一般消費者にとってはまだまだ馴染みが薄く、認知されずにほとんど読まれていないケースが多くあります。

CSRレポートが読まれない理由として

  • 3文字英語が多くて内容が分かりづらい
  • そもそも誰に対して発行しているのか分からない
  • 内容がつまらない
  • そもそもCSRに興味がない

等、読者からみれば、GRIや環境省の基準に沿ったレポートにすればするほど、内容が盛りだくさんになり詰め込み過ぎる感があるのが正直なところでしょう。


私自身、仕事柄CSRレポートを読む機会が多いのですが、各企業のCSRレポートの多くは内容がしっかりとしていて、取り組みも共感できるものが多く見受けられます。ですが残念ながら、読者視点でないがために、伝わりづらい、共感をしにくいレポートになってしまっているものも多々見られます。


そこで、改めて顧客視点に立ったマーケティングの考え方を取り入れる必要があると考えます。
今後は今までの位置づけが曖昧だったCSRレポートが投資家を対象とした統合報告書に吸収されていく傾向があるようです。自社視点だけの1年に1回だけのCSRコミュニケーション時代は終わりを迎えています。

移り変わるCSR情報の発信方法とマーケティング視点

3.11の震災により、企業活動に向ける国民意識が変わってきているといわれています。

大量生産・大量消費で経済が右肩上がりで伸びていた時代から、今後人口減などにより、経済が収縮していく時代になっています。最近のアベノミクス効果もあり、デフレも脱却しつつありますが、明らかに消費に対する考え方に変化が生まれてきています。単に商品・サービスの機能や値段だけを見て買うのではなく、社会的責任に考慮した商品がえらばれる時代に入りました。

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最近ではTwitterやfacebookのようなソーシャルメディア等の発達もあり、今までなかなか明るみに出なかった企業の内部情報等が世の中に出回るようになり、サービス残業などを強いるブラック企業の情報が社員から内部告発された結果、企業が待遇面を改善したようなケースも増えてきています。


かつてのテレビや新聞等のone wayメディア(一方通行的な情報発信媒体)では伝わりづらかった情報を、ソーシャルメディアにより普通の人が発信者となって拡散し、それが世間を変えていく時代になってきたと言えるでしょう。


今までは1年に1回だけペーパーメディアだけで報告すればよかったCSR活動の報告ですが、今後は様々なメディアを駆使してステークホルダーへリアルタイムに情報を伝えていく必要があります。それは、決して大企業に限った話でなく中小企業に関しても同様のことが言えるでしょう。

マーケティング視点を持ったCSR業務の今後

以上より、CSR業務はマーケティング視点を持つことが重要というのはご理解いただけたかと思います。

例えば

  • ターゲットは誰か
  • どのメディアにどれぐらいのコストを掛けるのか
  • どのようにすれば認知向上・本業への貢献できるのか
  • 効果検証の方法はどうするのか
  • 自社のCSR活動をどのように表現するのか、どの表現が適切なのか 等

CSR活動の計画や表現、発信方法、コストの掛け方等を顧客視点で考える必要があります。

かつて環境対策やコンプライアンス遵守という視点で環境報告書を作っていた時代と比較して、現在のCSR担当者は環境報告書の作成だけでなく、自分たちの活動の積極的な発信が求められてきます。それに伴い、企業の広報部や情報システム部との調整力も必要になってくるでしょう。


CSR担当者の力量によって企業の発信力も大きく変わっていくと言っても過言ではないでしょう。是非、CSR担当者にもマーケティング視点を持ちプロフィットセンターとして活躍いただくことを期待しています。

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新任CSR担当者です。CSRの基本的な考え方を教えてください。

(2014年6月10日 更新)

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執筆者プロフィール
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猪又 陽一
アミタ株式会社
環境戦略支援グループ CSRプロデューサー

早稲田大学理工学部卒業後、株式会社ベネッセコーポレーションに入社。理科教材やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業やベンチャーキャピタルを経て株式会社リクルートエージェントに。インターネット転職市場の新規事業を軌道に乗せた後アミタに合流。環境・CSR分野における仕事・雇用・教育に関する研究に従事。環境省「活かそう資源プロジェクト」メンバー。GC-JNの分科会幹事を歴任。現在、CSRレポート比較サイト「CSR JAPAN」をプロデュース。企業、大学などで講師やファシリテーターなど経験多数。2010年企業ウェブ・グランプリBtoB部門「おしえて!アミタさん」受賞。学生へのCSRレポート普及などのプロボノとしても活躍。

Twitter:http://twitter.com/inoyoko1226

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