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環境省で検討されているWETって何ですか?

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WETとは、「生物応答(バイオアッセイ)を利用した排水管理手法」のことで、河川や公共用水、事業場排水に含まれる化学物質の影響を総合的に把握・評価するものです。Whole Effluent Toxicity(日本語では「全排水毒性」)の頭文字を取っています。

注目されるようになった経緯

日本では水質汚濁防止法、化学物質審査規制法、化学物質排出把握管理促進法等で、個別の化学物質については排出規制を行ってきました。しかし、化学物質は科学技術の発達に伴い将来にわたってますます増加傾向にあり、その有害性を短期間で把握することが難しくなっています。また一つ一つの化学物質は基準値以下であっても、排出先で他物質と反応し、有害物質となる可能性も否定できません。そのような背景から、排水に毒性があるかどうかを調べるため、サンプリングした排水に、藻類・ミジンコ・魚類(ゼブラフィッシュ等)を入れ、その健康状態や繁殖状況によって排水の毒性の有無を評価するWET手法が注目されるようになりました。

諸外国での導入状況

米国では1987年より排水監視ツールとしてWET試験を採用し、1995年には法整備がなされています。法規制の対象は56業種と公共下水処理場で、その排水施設数はそれぞれ、35,000~45,000、約12,000にも及びます。米国ではWET試験の結果毒性があると判定された場合、その後の改善のための手順(TRE、TIE)作成やマニュアル作成をしていて評価手法の標準化が図られています。

カナダでは1970年代に設立された漁業法で個別物質規制をしつつ、1992年に製紙・パルプ製造業、2002年に金属鉱業、2012年には下水処理施設に対してWET試験を義務化しています。ドイツでも1975年に排水規制を要件化し、25の産業区分に対してWET規制を適用しています。また、基準値以上の排水を排出した者に罰金を課すなど、厳しく規制しています。その他欧州や韓国、中国、シンガポール等のアジア諸国でもWETの導入検討が進められています。

今後の動向

日本では平成21年より導入検討が進められています(環境省HP )。しかしまだ新しい手法であり、議論が尽くされていない部分を残していることから、研究機関や企業なども交えて検討会が重ねられています。 手法導入による効果やコストなどを明らかにし、より望ましい試験方法・排水改善手法などを検討する材料とするため、今後企業の協力を得てパイロット事業が行われる予定ともなっています。まだ制度化はされていませんが、海外ではすでに取り組みが始まっており、国内でも一部企業では自主的な取り組みとして進められていますので、今後の動向に注意が必要です。

引用:環境省ホームページ http://www.env.go.jp/water/seibutsu/conf.html

WETシステム研究会
※WETについてわかりやすいです。

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執筆者プロフィール

takahashi.jpg高橋 泰美(たかはし ひろみ)
アミタ株式会社
環境戦略デザイングループ 環境戦略支援チーム

2005年7月に入社し、企業の廃棄物管理に関するソリューション営業やエコ活動に関する企画提案など行う。その後三度の出産、育児休業を経て、2014年4月より復職。現在は企業の持続可能な戦略立案の提案や環境CSR活動の支援等を行っている。仕事、家事、三人の子育てに日々奮闘中。

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