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合法木材の利用を促進する「クリ―ンウッド法」が成立したと聞きました。違法伐採に関する国内外の動きを教えてください。

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違法伐採は、大規模な森林破壊や二酸化炭素の放出を引き起こし、生物多様性・森林生態系を損なうだけでなく、木材の市場価格引き下げなど、持続可能な森林経営を妨げる世界的な問題となっています。違法伐採を規制する国際的な動きとして、2008年の米国における「改正レイシー法」施行、2013年の欧州連合(EU)における「EU木材規制」施行、2014年のオーストラリアにおける「違法伐採禁止法」施行 など、合法的に伐採されていない林産物、木材および木材製品の取引を禁止する法規制が進んでいます。日本でも、2016年5月に「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)」 が成立しました。

合法伐採木材の流通を促進するクリーンウッド法

木材の大量消費国である日本には、木材生産国での違法伐採を助長させないよう努める責任があります。また、違法伐採された安価な輸入材の国内への流入は、国産材流通の妨げにもなっているため、違法伐採された木材の流通規制は、国内の林業の持続可能性に良い影響をもたらす可能性があります。そこで、2016年5月に、合法的に伐採された木材の利用に取り組む企業の認定・登録制度を柱としたクリーンウッド法が成立しました。クリーンウッド法では、輸入業者や、木材を多く利用する建築、家具製造、製紙などの業者は合法伐採された木材を扱うことを努力義務としており、合法伐採木材の利用に取り組む企業は、国の認定機関に登録され「登録木材関連事業者」という名称を用いることができます。

サプライチェーンにひそむ違法伐採木材リスクの排除

日本は、G7の中で唯一違法伐採木材の輸入を禁止しておらず、一人当たりの違法伐採木材製品の消費量が主要先進国で最も多い国の一つと言われています。 そんな中で、木材を取り扱う企業が自らのサプライチェーンにひそむ違法伐採木材リスクを排除するためには、デューデリジェンスの実施が求められます。

違法伐採木材リスクのデューデリジェンスとは、自らの取り引きする木材製品の原材料に違法伐採木材を使用していないことを確実にするために、あらゆる方法を駆使して調査・確認をすることを指します。樹種の把握、伐採地の追跡、原産国の関連法規の確認、違法伐採リスクが高い国や地域に関する情報収集・評価、調達方針の策定など、違法伐採木材のリスクを減らすための取り組みであり、欧米などの法規制においても重要な要素と位置づけられています。

今後の動き

木材・木材製品の合法性の証明については、林野庁作成の「ガイドライン 」に、業界団体の認定を受けた事業者が証明する方法・事業者独自の取り組みによる方法・森林認証を活用する方法の3つの方法が挙げられています。中でも、FSC®・PEFC・SGECなどの森林認証マークにより証明する方法は、合法性や持続可能性に関するデューデリジェンスを実施したうえで第三者機関が評価・認証しており、より客観的な信頼性の高いしくみと言えます。森林認証は、国際的な木材取引の判断基準として欧米を中心に世界各国に普及しており、国際的なイベントやサミットでは認証材や認証紙が積極的に利用されています。クリーンウッド法では合法性を検証するデューデリジェンスは義務付けられていませんが、今後は日本企業にも木材の責任ある調達に向けたデューデリジェンスやサプライチェーンマネジメントの実施が求められます。更に、サプライチェーン全体での環境配慮・社会貢献を目指す企業の増加が見込まれ、国内における森林認証取得の動きはますます広がっていくものと思われます。

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