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スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードは似ていますが、何が違うのでしょうか?

スチュワードシップ・コードとは、

機関投資家などがスチュワード(顧客からその資産の管理を委ねられた者)として、投資先の上場企業に対して持続的成長を促すための行動規範です。

「コーポレートガバナンス・コード」が上場企業のさまざまなステークホルダーとの関係を踏まえた適正なコーポレートガバナンスと、持続的成長を実現するための行動規範であるのに対し、スチュワードシップ・コードは機関投資家からの上場企業への働きかけのための行動規範として位置づけられ、「車の両輪」のような関係にあるといえます。

※無断記事転載禁止

スチュワードシップ・コードの基本的性格

150518_001.jpg投資信託会社、年金基金、生命保険会社、信託銀行などは顧客の資産を預かって運用、つまり企業などに投資することから、機関投資家と呼ばれます。機関投資家の投資手法はさまざまですが、投資にあたってスチュワードとしてのベストを尽くすためには投資先企業を表面的に知るだけでなく、投資先企業とその事業環境を深く理解する必要があります。その上で機関投資家には投資先企業に対して建設的な対話などを通じ、投資先企業の持続的成長と顧客の利益を両立させることが求められます。そのための機関投資家の行動規範を成文化したものがスチュワードシップ・コードであり、「7つの原則」からなり、各原則の下に具体的な行動のための「指針」が示されています。

ちなみにこのスチュワードシップ・コードもコーポレートガバナンス・コードと同じように、ソフト・ローであり、「プリンシプルベース・アプローチ」(原則主義)によって策定されています。当事者間の合意、つまり金融庁と受け入れを表明した機関投資家の間で運用されるルールであり、その原則の実現にあたってはコードの趣旨を踏まえつつ、各機関投資家の環境に適した形で実践する、というものです。

また、同じように「コンプライ オア エクスプレイン(遵守か説明せよ)」の考え方が採用されており、スチュワードシップ・コードを受け入れた機関投資家はスチュワードシップ・コードの7つの原則を全て遵守するか、遵守しない場合は顧客に対してその理由を説明することが求められています。

CSRとスチュワードシップ・コードの関係性

スチュワードシップ・コードでは投資先企業の持続的成長を促すことがスチュワードとしての責任であると示されていますが、これはCSRの観点から以下の2つの見方ができます。

(1)機関投資家のCSRの明示
(2)投資先企業のCSRの促進

です。(1)はスチュワードシップ・コードが機関投資家の本来業務の投資活動におけるCSRを明示したものと評価できます。そして(2)ですが、これからの企業の持続的成長には環境問題や社会問題を含めたESG問題への積極的取組が不可欠です。だからこそ機関投資家がスチュワードとしてのCSRを果たすためには、投資先企業に対話を通じてESG問題への取り組み、つまりCSR活動を働きかける必要があり、スチュワードシップ・コードはその可能性を示したと評価できます。

ESG問題への積極性が課題

ただし上記の評価はあくまでも「CSRの観点から」という条件付きです。なぜならばスチュワードシップ・コードでは「持続的成長」自体の定義と、持続的成長に必要なESG問題への取り組みについて積極的な言及がありません(【原則3】の【指針3-3】に若干の言及がある程度)。機関投資家が投資先企業の業績伸長「だけ」を持続的成長と限定解釈してしまえば、投資先企業のCSRの促進につながらない恐れがあります。これは後発のコーポレートガバナンス・コードの【基本原則2】の【原則2-3】で企業に対して明確にサスティナビリティーを巡る課題への適切な対応を求めている点と異なります。現行のスチュワードシップ・コードはESG問題への積極性が不足している点が課題といえるでしょう。

スチュワードシップ・コードも今後の運用状況、あるいは社会情勢の推移次第では改定される可能性もあると思いますが、その時には機関投資家のCSRとして、ESG問題への取り組みが明示されることを期待したいところです。

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執筆者プロフィール

150501_pro.jpg泉 貴嗣(いずみ よしつぐ)
CSRコンサルティング事務所「允治社」代表

CSRコンサルタント。都内の私大で産学連携教育やリカレント教育で「CSR・SRI論」などを担当した後、独立。自治体が直接企業のCSR経営を認証する初めての取り組み「さいたま市CSRチャレンジ企業認証制度」の調査研究委員として制度設計に従事。現在も同市のCSR施策の支援に関わるほか、JASDAQ企業の監査役も兼務。

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