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「環境」×「省エネ行動管理」その5~現場を楽にする行動管理~「環境」×「省エネ行動管理」

※本記事は、「環境」×「省エネ行動管理」その4~継続する施設の管理手法~ の続きの記事です。

これまでの話をまとめますと、生産性重視の「攻めの省エネ対策」で大切なことは、低コストでありながら大きな効果が期待できる運用改善を中心に組み立てること。人と組織を動かす「運用改善」で大切なことは、マニュアル作りではなく、現場を楽にする行動管理であるということです。

現場まかせの省エネでは現場の負荷を増やすだけ

会社は、分厚い「省エネマニュアル」を作りますが、これを現場サイドから見ると、膨大な管理業務と手間のかかる作業が新たに追加されることと同じです。また、省エネ活動にかかる工数は、空調管理だけでもざっと見積もっても年間数百時間に上ります。

例)「ルール:2時間に1回、温度設定を見直しましょう」

  • 管理エリア:6箇所 ・7回/日×6ヵ所×360日=15120回
  • 指示命令:5秒/1活動→5秒×15120回=75600秒(21時間/年)
  • 活動:30秒/1活動(実温チェック、温度変更、記録)  →30秒×15120回=453600秒(126時間/年)

しかしながら、現場の負荷がどれくらい増えるのかを算出している企業は少なく、現場まかせになっていることが多いようです。

現場想いの行動管理で攻めの省エネを継続できる

省エネに限らずこれからも現場の負荷は増え続けます。しかし、増えた業務を効率よく処理できる現場ばかりではありません。私が見てきた現場は、処理できていないほうが多かったように感じます。このような現場では省エネ活動は通常業務から削除され、マニュアルはゴミと化します。

このような状況だからこそ、むやみやたらにルールを作るのではなく、

  1. やるべきこと(量)を決め
  2. 決めたことを正確に実践すること(質にこだわる)

意味があります。

実際に、私はさまざまな施設で現場の状況を見て「この照明の管理は手間がかかるので止めましょう」というように活動を制限することも指示してきました。また、正確に実践するための手段として、個人ではなく全員が同じ時間に集中的に活動するような指導も行ってきました。すべては主業務に専念できるように、現場の負荷を減らそう、楽にしてあげようという思いであり、それが形(指導方針)になっただけです。

担当者の皆様へ最後にひとつアドバイスしますと、「難しく考えない」ことです。 「現場のことを第一に考えながら、きっちり成功体験も味わってもらう」というように、現場想いの担当者がいる企業は、当然試行錯誤はありますが結果的に継続しています。  継続する施設の整備は少しずつするとして、まずは次のことからスタートしてみてください。

やるべきことを決め、決めたことを正確に実践することからスタート

1.やるべきことを決める(効果の出る省エネ活動に絞る)

前回、空調管理をやれば良いと書きました。 本来は、施設内の設備一覧を作ることから始めます。次にエネルギー使用量の大きい設備順に並び替えます。この時、パレート図(下記の図を参照)を使うと良いでしょう。

<パレート図例>
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その中で管理しやすい設備を抽出します。その結果が多くの施設の場合は空調管理ということです。(施設によっては別の設備のほうが良い場合もあります)

2.決めたことを正確に実践する

前回の温度管理の事例のように、運用方針を示すことが大切です。また、やることは簡 単なルーティン業務ですからITを活用することも有効かもしれません。 これを機に、皆様の利益を創る「攻めの省エネ」がスタートし、現場を楽にしながらも成果を出せる組織に発展されることをお祈りしております。

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執筆者プロフィール
「環境」×「省エネ行動管理」その2~攻めの省エネ「運用改善」のすすめ

杉本 明文 氏
株式会社チェンジバリュ 代表取締役

1968年生まれ。明治大学政治経済学部卒業後、西日本鉄道株式会社に入社。労務・人事業務に携わる。その後、製造業の業務改善コンサルティング企業を経て、株式会社コスト削減総合研究所に入社。『コスト削減のDNA』を現場に継続的に根付かせる業界毎(流通業・ホテル・旅館・病院・レジャー施設)の体験型の研修プログラムを開発。2000を超える施設で運用。

現在は株式会社チェンジバリュ代表。
省エネの継続性の課題を解決する業界初の「省エネ行動管理」ソフトを開発。 【著書】

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コスト削減の見える化(日本実業出版)

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