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コラム

資源政策の今:サーキュラーエコノミーと循環型社会形成推進基本計画 初心者向け資源循環新時代~ものづくりはどう生き抜く?

Some_rights_reserved_by_Friends_of_Europe7.jpg資源問題やリサイクルを環境問題で語る時代は過去となり、世の中は資源循環を経済や社会のベースに据えようと動き出しています。このような状況で日本の企業はどう立ち回ればよいのでしょうか?本コラムでは、ものづくりの長期ビジョンを考えるヒントをお伝えします。第1回は、資源循環に関連する国内外の政策動向についてです。 

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資源効率とサーキュラーエコノミーの広がり

資源効率とサーキュラーエコノミー(Circular Economy、以下CE)が、持続可能な資源利用に向けた取り組みでのトレンドとなっています。2010年に欧州連合が掲げた経済についての10年戦略「Europe 2020 Strategy」では、7つの主要な取り組みの1つとしてResource-efficient Europe(EUの資源効率化に関する取り組み)が設定されました。以来、限られた資源を有効に使って環境影響を削減しつつ経済活動を拡大するための社会制度や技術開発、経営戦略の取り組みが検討されています。

資源効率を高めるには、リユースやリサイクルで資源を繰り返し利用することが重要であり、それまでの大量生産・大量廃棄型の「リニア・エコノミー」からの脱却を目指してCEが提唱されました。2015年に欧州委員会が採択した「サーキュラーエコノミー・パッケージ(サーキュラーエコノミーの実現に向けた政策)」では、廃棄物のリサイクル率の将来目標とともにCEの実現に向けた行動計画が示されました。行動計画では、リサイクルや廃棄物処理にとどまらず、資源効率を高めるための生産技術や製品設計、消費者の購買に関わる54の行動目標が記されています。また、プラスチック、食品廃棄物、クリティカルマテリアル、建設廃棄物、バイオマス製品については、バリューチェーンを意識して優先して取り組むべきとされています。

CEの取り組みは、一見すると従来の循環型社会や3Rと似ています。しかし、CEの意味するところは「モノの循環」ではなく、「循環をベースとして成立している経済」です。そもそも資源効率を打ち出したEurope 2020 Strategyは、欧州の経済成長と雇用創出を目的としたものでした。CEでは、国の補助金など外部からの後押しでモノを「まわす」のではなく、市場経済の中でモノが「まわる」ことで、新たな産業が生み出されることを目指しているのです。

サーキュラーエコノミーのこれまでとこれから

欧州委員会は2019年3月4日に、CEの行動計画について3年間の総括を発表しました。総括では、54の行動目標に対してどのような取り組みが実施されたかが説明されています。また、Horizon 2020(Europe 2020 Strategyに沿った総額800億ユーロの研究開発支援プログラム)によって、CEに関連する257のプロジェクトに対し12億ユーロを支援したと報告されています。実施した取り組みとして挙げられているのは、「数値目標の達成」というよりは「プロジェクトに着手」「組織の立ち上げ」「ガイドラインの発行」といったものが多くなっています。これらは言い換えれば、「CEとは何か?」「どのようにCEに参加し、実現していけばよいか?」という仕組み作りです。加えて、2018年の秋にはCEのISO化に向けた専門委員会(ISO/TC 323)が設立されており、「CEの担い手となっているか」を事業者が評価される環境が整備されつつあります。

ちなみにTC 323は2番目に新しいISOの専門委員会であり、最も新しいTC 324は日本提案のシェアリングエコノミーの専門委員会です。シェアリングもまた資源効率向上に大きく貢献すると期待されていますが、ここでもCEと同様に"エコノミー"を冠したものとなっています。そして経済は、異なるステークホルダー間で商品や金銭のやりとりがなければ成立しません。資源効率を高める経済の一端を担うために、サプライヤーや消費者との取引や業界連携の中に潜むチャンスを探してみてはいかがでしょうか?

第四次循環型社会形成推進基本計画のポイント

日本では、2018年6月に第四次循環型社会形成推進基本計画(以下、第四次循環基本計画)が発表されました。第四次循環基本計画では、循環型社会に向けた取り組みの中長期的な方向性が、その進捗をモニタリングするための代表指標・補助指標とともに定められています。

第四次循環基本計画は、2013年に策定された第三次循環基本計画の内容に加えて、その後5年間の国内外の動きを取り入れたものとなっています(表)。例えば少子高齢化による地方の衰退に対しては、地域循環共生圏の形成により地産地消や域内循環を推進することを目指しており、その進捗はごみの排出量や地域循環共生圏の形成に取り組む公共団体数といった代表指標でモニタリングされます。また、内需低下やモノからコトへの消費スタイルの変化に対しては、「必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供する」ことで資源効率を高めるとされており、製品の廃棄段階だけでなく生産、流通、使用段階を含めたライフサイクル全体での最適化を目指しています。代表指標としては、天然資源消費量と出口側の循環利用率に加え、素材ごとの循環利用率や最終処分量が挙げられています。

表:循環型社会形成推進基本計画のポイント(抜粋)

社会背景 循環基本計画が示す方向性
第三次循環基本計画
  • 途上国の経済成長
  • 資源価格の高騰
  • 東日本大震災
  • アジアでの資源循環圏の構築
  • 「質」に着目した高度リサイクル
  • 災害廃棄物の処理
第四次循環基本計画
  • 日本の高齢化、人口減少
  • Society 5.0の実現
  • SDGsへの取り組み
  • 地域循環共生圏の形成による地域活性化
  • モノ・サービスの需給をマッチングして最適化するビジネスモデル
  • SDGsと比較検証可能な指標の設定

(循環型社会形成推進基本計画をもとに筆者作成)

循環基本計画でモニタリングされる指標の多くは、リサイクル法や行政指針を参考に定められてきました。しかし第四次循環基本計画では、SDGs指標との比較検証を意識した設定が一部の項目でおこなわれています。また、指標に関する今後の検討課題には、「(国ごとの循環利用の形態の違いを踏まえて)国際的な比較検証を行い、必要に応じて指標の見直しを進める」と書かれています。国際的な比較検証によって、将来的には「日本は循環基本計画に従ってこれだけSDGsに貢献した」と世界にアピールできるかもしれません。これは企業にとっても同様で、「自社の活動が、どのゴールに対してどれだけの貢献をしているか」を発信できると考えられます。「SDGsへの貢献を(客観的かつ定量的に)示す」という社会的責任を果たすうえで、資源循環への取り組みは突破口となるのではないでしょうか。

参考情報
執筆者プロフィール

mr.hatayama.png畑山 博樹(はたやま ひろき)氏
国立研究開発法人産業技術総合研究所
安全科学研究部門 主任研究員

東京大学大学院工学系研究科でマテリアル工学を専攻後、現職。持続可能な金属資源利用に関する研究に取り組んでおり、マテリアルフロー分析、資源リスク評価、ライフサイクルアセスメントを専門とする。日本LCA学会、日本鉄鋼協会所属。
発表論文等:Google Scholar, researchmap

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