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コラム

G20にみる、脱プラスチック社会への展望 初心者向け原田先生の廃プラ問題最前線!企業におけるリスクとチャンス

190820_g20.png今年6月(2019年)に日本で初めて開催されたG20 大阪サミットでは、海洋プラスチックごみ問題が初めて主要議題のひとつとなりました。このサミットでは、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」として、2050年までに海洋プラスチックごみの流出をゼロにまで削減することが世界共通の目標として共有され、一層の対策の強化が確認されました。
コラム第4回である今回は、G20で発表された文書を振り返り、これからどのような取り組みが必要になっていくのかをテーマにお届けします。

画像出典:外務省ホームページ(https://g20.org/jp/

※本コラムでは、今話題の"廃プラスチック問題"について、大阪商業大学公共学科准教授の原田禎夫氏に分かりやすく解説いただきます。

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賛否両論!G20の評価は?

G20大阪サミットの首脳宣言では、
我々は、海洋ごみ、特に海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに対処する措置は、全ての国によって、関係者との協力の下に、国内的及び国際的に取られる必要があることを再確認する。この点に関し、我々は、海洋へのプラスチックごみ及びマイクロプラスチックの流出の抑制及び大幅な削減のために適切な国内的行動を速やかに取る決意である。さらに、これらのイニシアティブ及び各国の既存の行動の先を見越して、我々は、共通の世界のビジョンとして、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有し、国際社会の他のメンバーにも共有するよう呼びかける。これは、社会にとってのプラスチックの重要な役割を認識しつつ、改善された廃棄物管理及び革新的な解決策によって、管理を誤ったプラスチックごみの流出を減らすことを含む、包括的なライフサイクルアプローチを通じて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指すものである。我々はまた、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」を支持する。

出所:G20大阪首脳宣言(仮訳)https://g20.org/jp/documents/final_g20_osaka_leaders_declaration.html

として、海洋プラスチックごみについて世界が共通して取り組むことを掲げています。難しい文言が並んでいますが、なかでも各国が「適切な国内的行動を速やかに取る」と明記されたのは、海洋プラスチックごみ問題に向けた大きな進歩であるといえます。

この首脳宣言では、昨年(2018年)、カナダで開催されたG7シャルルボワ・サミットで日本とアメリカが署名を拒否したことで大きな話題になった「海洋プラスチック憲章」と比べて、2050年までに海洋へのプラスチックごみの流出をゼロにするなど、より踏み込んだ内容であるという評価がある一方で、海ごみでも特に多くを占める使い捨てプラスチックに関する具体的な言及がないなど、批判的な意見も少なくありません。

ただ、G20のように、より多くの国が参加する中で、実効性を高めようとして具体的な数値目標を設定することは、対象となる範囲が限られてしまって、かえって実効性のないものとなってしまうことも起こります。そういう意味では、多国間の合意を優先して妥協点を見出した、といえるかもしれません。

▼G20の要点

評価できる点

  • 各国が「適切な国内的行動を速やかに取る」と明記された点
  • 「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す」と明記された点

批判されている点

  • 法的拘束力がないこと
  • 目標年次が2050年と、その達成に非常に時間を要すること(SDGsの目標年次は2030年)
  • 使い捨てプラスチックに関する具体的な言及がない点

いずれにせよ、今後、対策が世界的に加速する中で、これから企業はどのような備えをするべきなのでしょうか?そのヒントは首脳会談に先立って行われたG20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合(以下、エネルギー・関係閣僚会合)で採択された文書を読むと見えてきます。

企業の取り組みのヒントは?「サーキュラー・エコノミーと資源効率性」

G20大阪サミットに先立って、長野県軽井沢町で開催されたエネルギー・関係閣僚会合の合意文書をみると、「資源効率性」という言葉が多用されていることに気づきます。

閣僚声明では、「資源効率性及び海洋プラスチックごみ」の一節をもうけ、『資源効率性の向上が(中略)経済成長と環境保全の両立ができるものであり、かつ、すべきものと認識する』とし、資源効率性の向上が、環境問題の解決につながるだけではなく、競争力の強化や経済成長、そして雇用創出にも貢献するという理解を参加国共通の認識とすることが記されています。そして、「資源効率性の向上が、海洋ごみ、特に海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックの問題の解決に貢献することを認識」するとされています。
出所:「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」閣僚声明(仮訳)
https://www.env.go.jp/press/files/jp/111879.pdf

「資源効率性」というキーワードは、近年のサミット等では、頻繁に出てきており、今後の企業取り組みにとって非常に重要なキーワードとも言えます。

2015年のG7エルマウ・サミットでは「資源効率性」について1節をさき、『我々は,産業の競争力,経済成長と雇用,並びに環境,気候及び惑星の保護のために極めて重要と考える資源効率性の向上に努める。』と述べています。
出所:2015 G7エルマウ・サミット首脳宣言(仮訳) https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page4_001244.html

2016年5月に開催された G7 伊勢志摩サミットの首脳宣言でも、『資源効率性及び3R(リデュース、リユース、リサイクル)に関する取り組みが、陸域を発生源とする海洋ごみ、特にプラスチックの発生抑制及び削減に寄与することも認識しつつ、海洋ごみに対処する』ことが、あらためて確認されました。
出所:G7伊勢志摩サミット https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page4_001562.html

では、資源効率性とは、何を指すのでしょうか。環境白書では次のように説明されています。

資源効率性(あるいは資源生産性)とは、「産業や人々の生活がいかにものを有効に利用しているか」(平成22年版環境白書)を示す概念です。すなわち、より少ない資源でどれだけ大きな豊かさを生み出しているか、を表しています。

この「資源効率性」は、近年話題になることも多い「サーキュラー・エコノミー(循環経済)」を推進するなかでも特に重要な概念です。サーキュラー・エコノミーとは、再生し続ける経済環境のことであり、製品・部品・資源を最大限に活用し、それらの価値を目減りさせることなく再生・再利用し続ける、新しい経済の仕組みのことです(図参照)。

図 線形経済から循環経済へ

190820_acirculereconomy.jpg

出所:A Circular Economy in the Netherlands by 2050

https://www.government.nl/binaries/government/documents/policy-notes/2016/09/14/a-circular-economy-in-the-netherlands-by-2050/17037+Circulaire+Economie_EN.PDF

これまで日本が進めてきた循環型社会は世界的にも一定の評価を得てきましたが、一定のリサイクルされない廃棄物が発生することはやむをえないとされてきました。これに対して、サーキュラー・エコノミーはそこからさらに踏み込み、リサイクルされない廃棄物そのものが存在しない経済の仕組みであるとされています。
たとえば、特にリサイクルが困難とされてきた「汚れた」廃プラスチックについても、燃料だけではなく、セメントの原料や農地などの土壌改良剤などとして再生し、循環的に利用する技術がどんどん開発されつつあります。私自身も、こうした新しい取り組みを進める企業の方から相談をいただくこともありますが、その時には、単に技術面や費用面での優位性だけではなく、それがサーキュラー・エコノミーの中でどのように位置付けられるのか、を一度考えていただくようにアドバイスしています。
各企業の取り組みについては、第2回で紹介していますので、是非ご参照ください。

エネルギー・関係閣僚会合の閣僚声明ではまた、『我々は、あらゆる種類の排出物を削減する可能性において、資源効率性及び循環経済に関する政策の経済的・環境的便益を認識し、また、これら便益を追求することを期待する。』とも述べられています。世界経済はこれからサーキュラー・エコノミーへと大きく転換し、その果実をみなで分け合う、そういう流れになっていくことでしょう。既存の技術や考え方と決別し、この新しい経済の仕組みをどこの国が、どの企業が、真っ先に実現できるのか、競争はすでに始まっています。

関連情報

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執筆者プロフィール

mr.harada.jpg原田 禎夫(はらだ さだお)氏
大阪商業大学 公共学科 准教授
NPO 法人プロジェクト保津川 代表理事

1975年京都府生まれ。現在、大阪商業大学公共学部准教授。近年深刻な問題となっている海や川のプラスチック汚染について、内陸部からのごみの発生抑制の観点から取り組むNPO法人プロジェクト保津川代表理事。

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