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電子マニフェストのメリットとは?

©Gustavo Fringia Canva.com

今回は、電子マニフェストへの移行を検討されている方向けに、電子マニフェストのメリットと導入後も残る課題についてお伝えします。

関連情報
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電子マニフェストのメリット

電子マニフェストには、業務の効率化や記入の抜け漏れ防止など、いくつかのメリットが挙げられます。

  • 産業廃棄物管理票交付等状況報告書の作成が不要になる
    紙マニフェストを発行している場合、産業廃棄物を排出した事業場ごとに前年度1年間のマニフェスト交付等の状況について、事業所の所在地を管轄する都道府県等への報告が必要です。しかし、電子マニフェストを利用した場合には、電子マニフェストを運用する公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(以下、JWセンター)が都道府県等に報告するため、産業廃棄物管理票交付状況報告書の作成が不要になり、報告書に関する業務時間を無くすことができます。
  • 事務作業の効率化により人件費を削減することができる
    システム化により、マニフェストを手書きで記入する作業やマニフェストのファイリング作業、また報告書作成時の集計業務を減らすことができ、人件費を抑えることができます。
  • マニフェストの記載漏れや報告期限をシステムで管理することにより、法令順守を強化することができる
    電子マニフェストを利用する場合、廃棄物処理法で定める必須項目をシステムで管理するため、ヒューマンエラーによるマニフェストの発行ミスを防ぐことができます。また、収集運搬会社や処分会社による終了報告の期限に関しても、紙マニフェストでは自社独自の方法で期限を管理する必要がありますが、JWNET上ではそれぞれの報告有無を電子メールや一覧表で確認することができます。また、終了報告の確認期限が近づくとアラート機能にて注意喚起がされる等、返却期限の管理を半自動化することができます。
    JWNET...JWセンターが運営する電子マニフェストシステムのこと
  • データの透明性
    紙マニフェストの場合、廃棄物の運搬や処分状況について終了報告を受けるまで把握することができませんが、電子マニフェストでは、JWNET上で廃棄物の処理状況を適時確認することが可能です。排出事業者・収集運搬会社・処分会社3者が定期的にマニフェスト情報を確認・監視することにより、不適切なマニフェストの登録・報告を防止することができます。
  • マニフェスト情報を容易に照会することができる
    電子マニフェスト化によりJWNET上で容易に過去5年分データを閲覧することができ、検索したマニフェスト情報をデータ(CSV形式)でダウンロードすることが可能です。紙マニフェストの場合は、発行作業に加えて別のツールにて数値を入力し管理する必要がありますが、電子マニフェストでは発行時の情報を即時に出力することにより、集計作業時間を削減することができます。
  • 書類保管スペースの確保や管理が不要になる
    紙マニフェストの場合は5年間発行したマニフェストを保存する義務がありましたが、電子マニフェストでは保存が不要となり、保存スペースの確保が不要となります。

▼関連記事
産業廃棄物管理票交付等状況報告書の記入方法と注意点

運用方法の違い

紙マニフェストと電子マニフェストの運用方法の比較は下記のとおりです。上記でも触れたとおり電子マニフェストを導入することで、交付・保存・報告の面で事務作業や管理の負担を軽減することができます。

紙マニフェスト 電子マニフェスト
交付 廃棄物の引渡しと同時に
マニフェストを交付
  • 廃棄物を排出する前に、マニフェスト情報を仮登録することができる
  • 廃棄物の引渡し日から3日以内(引き渡した当日、土日・祝日及び年末年始を含めない)にマニフェスト情報をJWNETに登録
保存 必要
5
年間の保存義務
不要
JWNETが保存
交付状況の報告 必要
毎年6月30日までに都道府県・政令市に自ら報告が必要
不要
JWNETが都道府県・政令市に報告

出典:JWセンター「電子マニフェストガイドブック

電子マニフェストの導入事例

JWセンターでは業種別に導入事例を記載しており、今回は食品業と流通業の課題と導入のメリットを中心に紹介します。その他の業種における事例については、JWNETの「業種別活用事例」をご覧ください。

▼食品業:雪印メグミルク株式会社

規模 全国約50の営業所、ロジ、研究所及び製造拠点から、産業廃棄物20品目ほとんどを排出(2021年時点)
課題

法令遵守 、行政等への報告作業の簡素化 、IT化による生産性向上
法令順守に関しては、紙マニフェスト利用時に戻り日の記載漏れが内部監査で指摘されたこともあり、コンプライアンスをさらに高める必要があった。

メリット

  1. 同社は廃棄物の排出量やリサイクル率等をデータとして公開しており、紙マニフェスト運用時は各拠点で集計したデータを本社で受領し、算出していた。電子マニフェスト導入後は、独自に開発したシステムにJWネットから出力したマニフェスト情報を読み込ませることで、集計にかかる業務工数を削減することができ、データの信頼性も上がった。
  2. 各拠点にて月毎の紙マニフェストの返却状況の確認作業の負荷がなくなった。例えば、野田工場においては、電子マニフェスト導入により、紙マニフェスト確認作業が7時間/月削減された。

▼流通業:セブン&アイ・ホールディングス株式会社

規模 全国16,000店以上の店舗で廃食用油や一部の店舗で廃プラスチック類等を排出(2017年時点)
課題

マニフェスト伝票の管理が各拠点任せとなり、本社が廃食用油の処理状況をマニフェスト交付等状況報告書で把握することが困難であった。

メリット

  1. 各店舗においてマニフェスト関連の業務が少なくなり、また報告書作成に必要な作業と人件費も不要になった。
  2. 電子マニフェスト上で各拠点の廃棄物量を確認できることにより、各店舗のフライヤー油の交換頻度を容易に把握でき、必要以上に多く交換している店舗もあれば、その反対の店舗もあることがわかった。そのため、商品の品質確保やサービス向上など経営の視点からアドバイスできるようにもなった。
  3. 電子マニフェスト導入を機に各店舗のオーナーと収集運搬会社の間にコミュニケーションが生まれ、排出事業者責任を再認識する機会となった。
電子マニフェスト移行後も残る課題:ポイントは廃棄物管理情報の一元管理

これまで述べてきたように、電子マニフェストへ移行することによって効率化やヒューマンエラー防止などのメリットがあります。しかし、日々行う廃棄物管理業務にはマニフェストの発行・管理業務だけでなく、契約書や許可証の管理や集計業務など幅広い業務があり、それらの根底には廃棄物処理法の順守が求められています。電子マニフェストへ移行を検討する際は、マニフェストに関係する業務の効率化だけに焦点を当てるのではなく、廃棄物管理業務全体に視野を広げることが重要です。特に、よく聞くお悩みとして「業務効率化」「コンプライアンス向上」「属人化防止」が挙げられます。これら3つの観点から、電子マニフェスト導入後も残る課題についてお伝えします。

  • 業務効率化
    電子マニフェスト化によって、マニフェストの保管や交付等状況報告書が不要になるなど、労務工程を削減することができます。しかしながら、JWNETは、あくまでも電子マニフェストを発行するシステムであるため、廃棄物管理に必要な許可証や契約書、また現地確認の報告書などの文書類を同じシステム内で一元管理することができません。そのため、マニフェスト以外の書類は社内イントラネットなど複数の媒体で管理する必要があります。
    また、廃棄物に関する集計業務を行う場合、JWNETで収集できる情報はマニフェストに記載されている項目のみとなり、自社のニーズに沿った集計を行うことに限りがあります。例えば、会社の目標としてマテリアルリサイクル率の向上を掲げている場合、どの拠点で何がどれぐらい排出されていて、どのような処分方法であるか把握することは困難でしょう。このように処分方法など独自の情報を集計したい場合、JWNETとは別のシステムを用いて、マニフェストを発行する度に集計する必要があります。
  • コンプライアンス向上
    JWNETでは、紙マニフェストに比べて記入漏れを防ぐことができますが、契約書に沿った内容を記載しているかなど、法定記載事項に不備のないマニフェストであるかという確認は必要です。また、JWNETでは許可証や契約書の期限管理機能は搭載されていないため、これらの期限は切れていないか、他の仕組みを用いて確認を行う体制づくりが必要です。
  • 属人化防止
    廃棄物管理業務は、廃棄物処理法で定められた排出事業者責任に沿った業務の遂行が求められますが、法の解釈が難しく、また日々のマニフェスト発行から委託先検討など幅広い業務があるため、他の担当者を育成する時間が確保できず、専門知識を持ったベテラン頼りになりがちになってしまいます。そのため、例えばベテランが異動または退職した際に、廃棄物処理法のポイントを押さえて幅広い業務を伝えることが重要です。
    しかし、JWNET上ではどのように法定記載事項に不備なくマニフェストを記入すべきか、どのように集計を行うべきか、収集運搬会社や処分会社とはどのような契約になっているのか、といった引継ぎに必要な情報が集約されておらず、都度マニュアル化し後任担当者に教育を行う必要があります。
日々の廃棄物管理を効率的かつ万全に行うためには

電子マニフェスト化を検討する際には、単にマニフェスト発行業務だけの効率化に焦点を当てるのではなく、その他の廃棄物管理業務の課題も見直し、全体最適化を考える必要があります。また、廃棄物管理業務の基盤には廃棄物処理法への順守が求められることも踏まえ、コンプライアンスを担保したうえで業務の標準化を行うことが重要です。たとえば、電子マニフェスト発行システムに契約書や許可証など関連書類が一元管理されている、また集計機能や期限管理の機能が搭載されていると、効率化やコンプライアンス向上、属人化防止に繋がるのではないでしょうか。電子マニフェスト移行時には、電子マニフェスト化だけで自社の課題やニーズが解決され達成されるのか、ぜひ一度検討されてみてはいかがでしょうか。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

南 修央
アミタ株式会社
エコ・ブレーン営業部 ソリューション課 主任 

排出事業者向けの廃棄物リスクコンサルティング部門を経て、廃棄物管理の業務効率化コンサルティングを担当。顧客のニーズに基づいて開発した廃棄物管理ツール「e-廃棄物管理」は全国すべての都道府県で使われており、製造業の廃棄物管理ツールとしては日本最大規模。

執筆者情報(執筆時点)

田中 千智(たなか ちさと)
アミタ株式会社
社会デザイングループ カスタマーリレーションチーム

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