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2022年、再エネ電力の最新情報!価格推移と調達方法について

ウクライナ危機によるロシアへの制裁からLNG(液化天然ガス)の高騰で火力発電コストが膨らむなど、電気料金の値上がりが続いています。高騰の背景と再エネ電力を調達したい企業の調達方法について、ENECHANGE株式会社の千島氏にお話を伺いました。

※本記事は掲載時点の情報をもとに作成しております。
今後の法改正、制度変更、社会情勢等で変更になる可能性がございますので、予めご了承ください。

目次

  • 2022年の電気料金高騰の背景は?
  • 止まらない価格高騰。火力発電の調達コストはkwh30円~40円へ
  • 電力会社の新規契約受付停止について。標準メニューの再開は2023年4月から
  • 今後、企業の再エネ調達戦略はどう変化していくのか

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2022年の電気料金高騰の背景は?

アミタ:一昨年(2020年)末からの電力高騰は新型コロナの影響などがありましたが、今回の高騰は、やはりウクライナ危機が原因なのでしょうか。

ENECHANGE:もちろん、ロシアへの経済制裁による影響はありますが、現在の電力高騰はウクライナ危機以前の2021年10月から続いてると考えています。原油やLNG等の燃料価格がずっと高止まりしていることが影響しています。
特にLNGは中国のエネルギー転換政策で火力発電の燃料が従来の石炭からLNGへ切り替えが進んでいて、日本は70年代から長年LNG輸入量世界第1位でしたが、昨年(2021年)ついに中国が追い抜いています。
こうしたエネルギーの争奪戦の中で全ての燃料が高騰し、燃料調整制度による値上げが電気料金の高騰の要因となっています。この状況は現在も変わりません。

fluctations in fuel adjyustment costs.png

図:燃料調整費の変動【高圧】
(出典:一般社団法人エネルギ―情報センター)


アミタ:確かに各社の燃料調整費はマイナス調整からプラス調整に転じ、値上がりしていますね。
日本の発電エネルギーの76%を火力発電が占め、LNGだけでも39%ですから、LNGの需要が世界的に上昇した影響が直接的に高騰へ結びついてしまうわけですね。
カーボンニュートラルを目指す上で、化石燃料の中ではGHG(温暖効果化ガス)の値が小さいLNGの需要は今後も世界的に高まっていくばかりのような気がします。

ENECHANGE:その通りで、かれこれ1年以上高騰した状態が続いています。
2022年がこれまでと何が違うかと言うと、燃料価格の高騰について、これまでは燃料費調整のプラス調整で価格転嫁ができていたのですが、それらの上限価格を超えるような高騰に見舞われ、各社がこれまで手を付けてこなかった基本料金や従量料金を上げざるを得なくなってしまったわけです。
2023年4月からは旧一般電気事業者(大手電力10社 以下、旧一電)が一斉に標準料金メニューの値上げに踏み切ります。2重、3重の値上げが発生しています。

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図:電気代と値上げの内訳

止まらない価格高騰。火力発電の調達コストはkwh30円~40円へ

アミタ:今後の見込みはいかがでしょうか。ウクライナ危機による燃料逼迫が収まれば、やがて状況は改善されるのでしょうか。

ENECHANGE:ウクライナ危機が過ぎれば収まるかと言えば、そうではないと思います。物流が途絶えたり、エネルギー価格が高騰したりすると、電気料金も値上がりしてしまうという状況は続きます。
2021年3月のインタビューでもお話しましたが、日本では脱炭素を目指すために、国内での製油生産を取りやめるなど、石炭や石油の火力発電から温室効果ガスの排出量の低い天然ガス(LNG)に転換してきたという流れがあります。しかし、常温で溜められる石油等に対してLNGは超低温貯蔵が必要で多くを備蓄できず、国内備蓄量は2週間分程度しかありません。

そのような状況でも、物流が安定していれば、スポット調達と燃料費調整の中でやりくりできていましたが、ウクライナ危機を引き金に限界を超えてしまったように思います。海に囲まれた日本では海上輸送が唯一の輸送手段なので、自然災害を含め何らかの理由で物流のコンフリクトが生じると電気料金が急激に高騰してしまうという、不確定要素のリスクが常にあります。

さらに先ほどお伝えしたように、環境負荷の低いLNGへの転換は中国や韓国にも広まってきていて、LNGの争奪戦が世界的な潮流になっていますので、火力発電の調達コストは1kwhあたり30円~40円へあがっていくのではないかと思います。脱炭素を見据えながらも、再エネの活用を積極化したり、燃料調達を見直したりする根本的なエネルギー戦略を見直す必要があると思います。

▼近年の主な電力高騰の要因

年度 主な電力高騰の要因
2020年~2021年

・新型コロナウイルスの影響による世界各地の液化天然ガス生産プラントの稼働低迷
・LNG運搬船が通過するパナマ運河の運用トラブル
・厳冬による電力需要の上昇(燃料調整費の値上げへ)

2022年 ・世界的な需要拡大による長期的なLNG等の燃料の高騰に加え、ロシアへの禁輸措置による燃料のさらなる高騰(基本料金の値上げへ)
2023年 ・LNG等の燃料高騰の常態化(旧一電、標準料金メニューの値上げへ)

アミタ:現状はどのくらい高騰しているのでしょうか。企業側にはどのような動きがありますか。

ENECHANGE:例えば、1kWhあたりのLNGの燃料原価は以前9円だったのが、2022年8月時点は14円になっています。
すると1kWhあたり28円ぐらいの電気料金でないと電力会社も採算が取れません。しかし、この価格帯になると、企業側でも「自家消費用に太陽光発電を設備投資した方が割安じゃないのか」という話になってきます。企業の中では、温暖化対策の一環で「安い従来電力を買って非化石証書の購入で代替する」というモデルを取っている企業もあると思いますが「再エネと同等以上の価格に高騰した電力を買いつつ非化石証書も買う」ということになりつつあります。「我々は一体何をやっているんだ」と考える企業も増えてきていますね。

電力会社の新規契約受付停止について。標準メニューの再開は2023年4月から

アミタ:そうなるとますます、太陽光発電を始めとする再エネの需要が高まってくると思いますが、再エネプランを切り替えたくても、電力各社が法人契約の新規受付を停止しているという状況があります。これはどのような理由からなのでしょうか。

ENECHANGE:市場価格の高騰が主な理由です。発電設備を持たない企業でも、国内唯一の卸電力取引所であるJEPX市場から電力を調達して販売することができていましたが、今回の燃料価格高騰を受け市場価格がかなり高騰したため、発電設備を持たない小売電気事業者(新電力)が相次いで事業撤退したり、契約ストップを止めたりしたという状況があります。これらの動きは、新電力だけにとどまりません。電力の契約先を失った企業は、新たな契約先を探すことになるのですが、新たな契約先候補の旧一電にしても事業継続している新電力にしても、自身の発電供給力以上に契約を結ぶとなると、先行き不透明な市場から調達せざるを得ず、逆鞘の赤字になってしまう可能性が非常に高いことから、新規契約数を絞っているという現状があります。

Movements of companies in line with soaring market.png図:市場高騰に伴う各社の動き

ENECHANGE:例えば、ベースロード市場は前年同月から比較すると220%の値上がりをしています。
JPEXのスポット価格も210%ぐらいになっています。さらにウクライナ危機を受けて今後250%ぐらいになることが予見されています。廃業や倒産に追い込まれないまでも、高圧契約の契約解除や値上げの通知が相次いでいますまた、契約先が見つからない企業は、いわゆる"電力難民"と呼ばれており、国のセーフティネット制度である「最終保障供給」を義務付けられた旧一電により、電力供給を受けています。これらの件数は1万件を超えています。

アミタ:かなり厳しい状況になってしまっているわけですね。新規受付が再開される見通しや、新たな事業者が電力を調達する場合にはどうすればいいのでしょうか。

ENECHANGE:新しく建物を建てたのに電気の契約ができないという状況にならないように、新設の設備への電力供給契約は受け付けられていますが、"戻り需要"といって、契約中の新電力から旧一電に戻りたいというケースや、旧一電の自由化メニューから標準メニューに戻したいという場合は受付停止となっています。

about return demand.png図:戻り需要について

ENECHANGE:再エネプランだけでなく、全体として切り替えが難しいという状況です。再開の見通しですが、旧一電は2023年の4月から標準メニューでの新規受付を再開する方針を公表しています。ただし、料金設定は現在の3割増しぐらいにはなるのではないかと思われます。また、再エネなどの環境配慮型プランの受付再開見通しは立っていません。一部、市場連動型のメニューについては再エネメニューの新規契約も受け付けている電力事業者もありますね。

アミタ:市場連動型なら高騰した場合でも調達価格を需要家への売値に反映できるから供給側のリスクが少ないというわけですね。

今後、企業の再エネ調達戦略はどう変化していくのか

アミタ:そうしますと、例えばコーポレートPPAのように市場変動に左右されない方法での再エネ調達や、初期投資のハードルはあるものの自家消費型の太陽光発電施設を設置するメリットが改めて注目される時代になりそうですね。

ENECHANGE:その通りですね。火力発電の調達コストが高騰し続けていますので、太陽光発電パネルは今、相対的に投資効果が高まっていると言えます。初期投資費用はかかりますが、燃料は今後も値上がりが続く要素が多いので、敷地内で自家消費用の太陽光発電施設を効果的に利用できる場合は、設置することをお奨めしています。初期投資費用がかからないコーポレートPPAは、自社施設内や近隣地域で設置する場合は良いのですが、遠隔地に太陽光発電施設を設置する場合、例えば北海道で発電して東京で使用するといった「バーチャルPPA」は、日本ではまだ認可が降りません。これも規制緩和が進めば一気に進む可能性があります。

▼再エネ調達方法について

調達方法 動向
①環境配慮型の電力契約

調達の選択肢として取り組みやすい方法。市場連動メニューは受付中であるが、そもそものプラン変更などは各社が停止してしまっている状況。現状はすぐの採用が難しい。

②環境価値証書の活用 環境価値の観点から優先度は下がるが、企業の環境目標を達成するための手段として選択できる。
③自家消費太陽光の活用 火力発電の高騰によって、相対的に投資対効果が改善されている。設置可能な状況と効果が見込まれるのではあれば、有効な手段。
④コーポレートPPAの組成 原油高騰などの市場の価格高騰等の影響を受けない。(バイオマスの場合は、PKS等の市場の高騰の影響を受ける。)エリアの壁、託送の壁があるため、数が少なく難しい状況がある。バーチャルPPAなどの規制緩和が進むとより利用できるようになる。

アミタ:法改正で昨年(2021年)11月から他社が敷地外に設置した発電所からも小売り電気事業者を介さずに託送する自己託送(第三者所有)が条件付きで可能になり、今年(2022年)からはFIT(再エネの固定額買取制度)に加え、FIP(市場連動型の再エネ買取制度)
が始まるなど、従来の「再エネを買う」仕組みから「再エネを自ら創る」仕組みへのシフトが進んでいるように見受けられます。今後、企業の再エネ調達は自家消費型の施設を利用する調達モデルが拡大していくのでしょうか。

ENECHANGE:その方向性が強まっていくことは間違いないと思います。創エネに加えて重要になるのが「蓄エネ」ですね。
というのは、FITで太陽光発電が普及した結果、日中の電気に余剰ができて昼間の時間帯の電気が安くなってしまっています。一方で日没前後の時間帯は高くなっています。ですので安い時間帯の電気を貯めておき、高い時間帯で使う、あるいは売るといったモデルも今後は展開されることになるでしょう。蓄電するバッテリーは、今は価格が高くて経済性がありませんが、社有車のEVを蓄電池として活用したり、太陽光パネルとセットで運用することで再エネ賦課金を回避するなどのメリットを採用する企業が増えたりすると、単価が下がっていくことにつながると思います。炭素税の導入も政府間で本格的に議論が始まっていますので、海外同様に罰則を含めた法整備が進むことになると思われます。当然、投資家の判断材料としても企業の脱炭素戦略は大きな意味をもつことになります。脱火力と省エネ、創エネ、蓄エネのトレンドは止められないと思います。

アミタ:今後、電力調達の戦略構築や対応に追われる企業はますます増えていくことになると思いますので、引き続きアドバイスをいただければと思います。本日はありがとうございました。

話し手プロフィール(執筆時点)

mr_chisima_profile.png千島 亨太(ちしま こうた)氏
ENECHANGE株式会社
執行役員 法人ビジネス事業部 事業部長

大手都市銀行にて主に法人向け取引に従事。その後電力自由化に伴う市場の変動に魅力を感じ、縁もあって新電力会社に転職。新電力会社では小売、電源調達、卸電力売買等の業務に従事。2019年9月より現職。

書き手プロフィール(執筆時点)

本多 清(ほんだ きよし)
アミタ株式会社 社会デザイングループ 群青チーム

環境ジャーナリスト(ペンネーム/多田実)を経て現職。自然再生事業、農林水産業の持続的展開、野生動物の保全等を専門とする。外来生物法の施行検討作業への参画や、CSR活動支援、生物多様性保全型農業、稀少生物の保全に関する調査・技術支援・コンサルティング等の実績を持つ。著書に『境界線上の動物たち』(小学館)、『魔法じゃないよ、アサザだよ』(合同出版)、『四万十川・歩いて下る』(築地書館)など。

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