CDPとは?よくある疑問に回答! | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
「おしえて!アミタさん」は、未来のサステナビリティ経営・まちづくりに役立つ情報ポータルサイトです。
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

Q&A

CDPとは?よくある疑問に回答!

Some rights reserved by jd_hiker

CDPとは、2000年に発足したロンドンに本部を置く国際的な非営利団体です。世界主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価し、これらの結果を機関投資家向けに開示しています。今回は、CDPの調査におけるよくある疑問について、Q&A形式で回答します。

※本記事は2016年5月の記事を、2024年2月に最新情報に基づき更新したものです。

目次

【最新ニュース】2024年4月からCDPの質問書が統合

2024年の4月からCDPは気候変動、森林、水の安全保障に関する質問書を統合させることを公表しています。新しい質問書の特徴として質問項目の複雑さが軽減されており、IFRSとも整合性がとれたものになる予定です。
今後の予定として、4月から新しいCDPプラットフォームが利用可能になり、企業が回答を提出する期間は2024年6月上旬から2024年9月までとなります。現時点では限定的な情報のみ公開されているので、随時情報を更新予定です。

参照:2024年 スコアレポート解説資料

Q.CDPの正式名称は何ですか?

A.発足当初CDPは、企業による二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を「見える化」する取り組みを意味する「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」の略称でしたが、気候変動のみではなく、水資源や森林資源まで活動領域が拡大されたこともあり、2013年に略称であった「CDP」を正式名称に変更しました。

Q.CDPにはどのようなプログラムがありますか?

A.CDPの情報開示プログラムは複数の分野があり、2024年1月時点で、企業向けには「気候変動」「フォレスト(森林)」「水セキュリティ」の3種類の質問書があります。

1. 気候変動
気候変動質問書では気候変動のリスクと機会、GHG(温室効果ガス)排出量とその削減目標値などについて質問が設けられています。また2022年から質問書に生物多様性と、1.5℃目標に即した移行計画に関連する質問も追加されています。さらに気候変動質問書には金融機関のみを対象として、森林・水セキュリティに関する追加質問があるのも特徴です。
2022年に行われた質問書の変更についてはこちら:1.5℃目標に向けてCDPが質問内容を変更。基礎知識から最新情報まで解説!

2. フォレスト(森林)
フォレスト質問書では4つの主要森林コモディティ(木材、大豆、パーム油、畜牛品)とカカオ、コーヒー、ゴムに関して企業が生産、調達、使用する際の森林への影響などについて焦点が当てられており、森林関連のリスクと機会、ガバナンスや事業戦略等が質問として含まれています。

3. 水セキュリティ
水セキュリティ質問書では水を大量に消費する業界の企業が対象となっており(例:食品メーカー、電力会社、化学産業等)水会計指標、水資源に関するリスクと機会、戦略や目標、取り組み等幅広い質問があります。


▼質問書のテーマ

CDP_rev1.png

(出典:CDP

【関連記事】「CDPウォーター」とはどのようなものですか。日本企業の状況も教えてください。
【関連記事】CDPフォレストとは何ですか?企業の参加状況やメリットは?

Q. CDP気候変動プログラムとは、どのようなものですか?

A.CDP Climate Change(CDP気候変動プログラム)とは、その名の通り、企業の気候変動リスクに関する情報公開プログラムです。本プログラムの調査は、2002年から開始されており、年に1度対象企業に質問書が送付されます。各企業の回答結果は集計の後、公表されます。また、CDPは、気候変動に対する活動において世界的に優秀な企業として評価された企業を「Aリスト」として選定します。日本企業に対する調査は2006年に開始され、2023年で18回目の調査となります。

Q.CDPの信頼性や対外的な評価は?

A.CDPの情報開示システムはCDPが情報開示をするためのプラットフォームと質問書を提供する形で行われています。下図のように、機関投資家や企業からCDPの質問書を通じた情報開示の要請を受け、回答要請を受けた企業が質問書に回答することで、CDPが収集する情報量は、今や世界最大の規模になっています。
質問書を通して行われる調査結果は、機関投資家や社会的責任投資の指標であるDJSI(Dow Jones Sustainability Index)やFTSEなどの活動に広く活用されています。
また、SustainAbility社の調査(Rate the Raters 2023※1)において、CDPはESG評価機関として品質と有用性の面で最も高い評価を得ています。

※1Rate the Raters 2023:2,000~3,000人のサステナビリティ専門家からのESG評価に関する意見を集めて作成された報告書。どのESG評価が最高の価値と有用性があると考えるかについての意見も取り上げている。

▼CDPの情報開示システム

CDP2.png

(出典:環境省

Q.CDPに賛同している投資家や企業の数は?

A.CDP発足当初、この取り組みに賛同した機関投資家は35社、運用資産総額は4兆米ドルでしたが、その賛同者は年々増加し、現在は136兆米ドル以上の資産を保有する金融機関など740以上の機関投資家との協働で毎年調査が実施されています。

Q.企業の回答状況は?

A. 2023年度は回答要請を受けた企業のうち全世界で約23,000社(日本企業約2,000社を含む)が情報を開示しており、前年と比較すると情報を開示する企業の数は約24%増加し過去最多となりました。

Q.企業に対する具体的な質問項目は?

A.各プログラムによって内容は異なります。例えば、CDP気候変動レポート(2023)では下記の表の通り、大きく15項目に分けられています。

質問項目
0.はじめに 8. エネルギー
1. ガバナンス 9. 追加指標
2. リスクと機会 10. 検証
3. 事業戦略 11. カーボンプライシング
4. 目標と実績 12. エンゲージメント
5. 排出量算定 13. 生物多様性
6. 排出量データ 14.最終承認
7.排出量内訳

(出典:CDPをもとに、アミタが作成)

Q.スコアとは何ですか?

A.CDPのスコアはAからDで表示されます。回答結果に基づき企業が環境スチュワードシップのどの段階であるかを示す指標となります。なお、無回答の場合、スコアはFと表示されます。
なお「気候変動」「ウォーターセキュリティ」「フォレスト」の3分野でのA評価獲得は、「トリプルA」と呼ばれています。2023年は日本企業として、花王株式会社と積水ハウス株式会社がトリプルAを獲得しています。

スコアリングレベル
1)情報開示レベル(D、D-)
自社の現状の把握をしている企業
2) 認識レベル(C、C-)
環境問題が自社の事業にとってどのような影響をもたらすか把握をしている企業
3) マネジメントレベル(B、B-)
環境問題による自社への影響を把握し、その影響を管理している企業
4) リーダーシップレベル(A、A-)
環境問題自体のリスクを緩和させるため行動をしている企業
5)無回答企業(F)
回答要請に対して応じなかった企業

Q.回答にかかる費用は?

A.情報開示をする際には回答事務費用が発生します。企業が回答する質問書の数に関係はありません。金額のレベルに応じて、他企業の回答結果が閲覧できるなど、利用できる機能が異なります。2024年2月現在の回答事務費用は下記の通りです(税抜表示)。

Essential level fee:106,000円
利用可能な機能:通常のサービス範囲
Foundation level fee:275,000円
利用可能な機能:CDP ジャパンイベントの優先的参加権限
Enhanced level fee:702,000円
利用可能な機能:CDPウェブサイトへの組織名の掲載、他社回答閲覧等
Q.企業がCDPの情報開示をするメリットは?

A.CDPは企業が情報開示を行うべき理由として以下を挙げています。企業が回答を要請され、義務として取り組むのではなく将来的に掲げる目標のマイルストーンとしてCDPの回答を捉えることで以下のようなメリットも考えられるでしょう。

・企業の評判の確保と向上
・競争力の強化
・規制が課される前に対策を行う
・リスクと機会の特定
・取り組みの進捗状況の把握とベンチマーキング
最後に...企業に求められる動き

2015年12月に採択されたパリ協定で、気候変動に関する世界共通の目標が掲げられました。この目標達成に向けて企業や投資機関が重要なプレーヤーであることは疑う余地がありません。そのような中で、今後も企業への気候変動対応をはじめとする非財務情報の開示要請は高まり続け、気候変動や資源に関する戦略的な取り組みは、企業にとって不可避なものとなります。

CDPへの対応は、人手や時間の確保、取り組みの成果や効果をいかに出すかという点など、企業側の実情として様々な課題もあると思います。しかし、事業戦略の中での位置付けや、ISO14001対応などの他施策との連動を考えること、気候変動をはじめとする環境対応に関する情報の質やパフォーマンスの向上を通じて、中長期的に企業価値を高める視点を持つことがさらに求められるようになっていくでしょう。

関連情報

アミタでは企業の循環型ビジネスモデルへの「移行」を支援するコンサルティングを提供しております。詳しくは下記よりお問い合わせください。

otoiawase_sustainable.png

執筆者プロフィール(執筆時点)

山田 潔佳(やまだ きよか)
アミタ株式会社
サステナビリティデザイングループ マーケティングチーム

大阪府出身。神戸市外国語大学英米学科を卒業後、2019年度にアミタに合流。大学時代には、食や農への興味からヨーロッパで持続可能な農業に従事。現在も持続可能な社会の実現に向け、アミタで奮闘中。

更新者プロフィール(更新時点)

梅木 菜々子(うめき ななこ)
アミタ株式会社
サーキュラーデザイングループ インバウンドマーケティングユニット

このページの上部へ