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工場排水に関するリスクと事故防止策、企業の環境取り組みについて教えてください。

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先日、埼玉県草加市の古綾瀬川で川の色がエメラルドグリーンに変色し、魚が大量死するという事件が発生しました。企業による河川汚染事例は過去にも多くあり、社会的にも大きなインパクトを与えています。そこで今回は、排水リスクや企業の環境取り組みについてご紹介いたします。

工場排水に係るリスクを低減する方法

国土交通省の発表によると平成28年(1月~12月)に一級水系で発生した水質事故は969件あり、1週間に約19件の頻度で水質事故が発生したことになります。また、上水道の取水停止を伴った甚大な水質事故が年間14件発生しました。

上水道の取水停止を伴う大規模な事故としては、2012 年 5 月に発生した利根川水系の浄水場でホルムアルデヒドが検出された事故があります。中間処理会社による中和処理後の排水が原因となった本件では、千葉県の約35万世帯の一時断水など影響が広範囲に及び、中間処理を委託した排出事業者の化学メーカーは1都4県(千葉、埼玉、東京、茨城、群馬)から損害賠償請求を受け、企業イメージも大きく損なう結果となりました。

本件で排出事業者に事故の責任が追及されたのは、汚染の原因となった委託廃棄物についての適切な情報を、排出事業者が処分会社に提供していなかったと見られたためです。その他にも下記のような事故が発生しています。

▼過去の水質事故事例

発生場所 発生時期 事故概要 原因として考えられる事案
埼玉県(古綾瀬川) 2017年11月 塩化銅溶液が流出。水系の魚類がへい死。
  • 廃液タンクの破損
    化学品製造工場より、タンクの亀裂が原因で廃液が流出。
山形県(天王川) 2003年6月 アンモニア漏えいにより、水系の魚類がへい死。
  • 配管の点検による事故
    半導体素材工場においてアンモニア貯蔵タンクのガス抜き配管ピット内の点検中、アンモニア(6.9L、濃度 25%)が配管ピットにこぼれ、洗浄水とともに流出。
利根川水系 2008年3月 周辺の浄水場から、ジオキサンが検出。
  • 廃棄物処理会社が排出した処理水
    受け入れた廃液を活性汚泥処理等により処理し、その処理水を秋山川に放流する下水道に投入していたが、ジオキサンは廃棄物処理及び下水処理(活性汚泥)では浄化処理できず、公共用水域に流れ込んだと考えられる。
神奈川県(矢指川) 2008年8月 濁水により、水系の魚類がへい死。
  • 廃棄物処理会社による不法投棄
    処理会社が、強酸性の廃棄物を不法投棄した。

出典:環境省ウェブサイト「公共用水域における水質事故への対応について
埼玉県ウェブサイト「県政ニュース報道発表資料

自社の排水処理や設備点検を問題なく行っていても、処理委託先から漏えいするケースがあります。委託先の中間処理後の排水や、埋立処分場からの浸出水や放流水について、どのように処理されているのか、現地確認の際に確認しておきましょう。特に一級河川など、飲料用の取水を実施している河川に放流が行われている場合は、事故によって取水停止につながるリスクがあり、対策の強化がより重要になります。

▼確認項目の例

  • 排水がどのようなルートを通じて排出されていくのか。
    (河川放流の有無、放流する河川における取水の有無など)
  • 液体タンクや配管の付近に、河川があるかどうか。
    (老朽化による破損等が発生した際に、河川に流入する危険性はあるかどうか)

また、廃棄物の中間処理を行う際は、中間処理後の廃液・排水を全てリサイクル原料として再生するなど、そもそも河川放流をしないという選択肢も検討してみましょう。根本的なリスク低減を実現するため、定期的な処理方法の見直しをお勧めします。

工場排水のリスクを防ぎ、プラスの活動に変えていくためには?

工場排水に関しては、放流先の環境を自社の活動が影響を及ぼし得る範囲と捉えて、プラスの活動に結び付けている事例もあります。

例えば、生物多様性の観点が挙げられます。2010年にCOP10で定められた愛知目標を先駆けとして、ISO14001にも2015年改訂の際に生物多様性及び生態系の保護への活動が盛り込まれました。さらに、SDGsでも生物多様性の保全がこれまで以上に重要視されています。こうした背景から、生物多様性に関する取り組みを重要視する企業が増えていますが、具体的な取り組みに悩む企業もまだまだ多いのが現状です。

そうした中、工場排水が及ぼす環境影響に着目する企業が増えています。国や自治体が定める基準よりも厳しい自社水質基準を設けて、工場の排水処理機能を高め、取水した水よりもきれいな水にして放流する工場はすでに数多くあります。水を汚すのではなく、工場を「浄水機能」として位置づけているのです。

自社の工場敷地内だけでなく、排水放流先の河川等における水生生物の生息状況調査を実施する企業や、周辺の美化活動に積極的に取り組んだり、工場排水を利用したビオトープ作りに取り組んでいる企業もあります。排水のみならず、取水も含めて工場の環境影響と捉えれば、以前にご紹介したソニーセミコンダクタ社での「地下水涵養」 のような取り組みにも広げられるかもしれません。

アミタは、工場周辺の自然資本を増幅させる企業の取り組みを支援しています!

171121_001.pngアミタグループは、大手企業を中心に、生物多様性の調査・分析や、その保全に貢献する製品開発など、数々の支援実績があります。周辺の里地・里山・田園と連携した生物多様性の保全・向上施策など、地域社会の持続性に貢献する本質的なCSV戦略の立案・実施をご支援しますので、ぜひご相談ください。ご相談はこちら

参考情報

国土交通省:「平成28年全国一級河川の水質現況(平成29年7月7日発表)

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執筆者プロフィール

Mr_fukatsu.jpg武津 雄太(ふかつ ゆうた)
アミタ株式会社 カスタマーホスピタリティグループ
東日本チーム チームリーダー

環境業務全般のコンサルティングを実施。製造業を中心とした廃棄物管理のマネジメントシステムの導入支援、廃棄物処理業者選定の仕組みづくりの支援、廃棄物リサイクルルートの構築支援等、幅広いソリューション提案実績を持つ。

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