
廃棄物管理の実務で押さえておきたいポイントを、テスト形式で確認していきましょう。今回は「保管基準」「処理業の許可」「行政への報告」という、排出事業者が日常的に向き合う3つのテーマを取り上げます。うっかり誤解しやすいポイントを、一つずつ一緒に確認していきましょう。
【問題】産業廃棄物の保管基準について
まずは、日常的な業務である産業廃棄物の保管基準についての問題です。掲示板の設置など、見落としやすいポイントを確認していきましょう。
| 問題:排出事業者の産業廃棄物保管基準に関する次の記述のうち、最も正しいものはどれか。 ①廃棄物処理法ではねずみの生息や蚊などの発生の予防措置は特に求められていない。 ②産業廃棄物の保管場所の掲示板には、管理者の連絡先を記載しなければならない。 ③屋内であっても掲示板の設置は必要だが、掲示板の大きさに関する基準はない。 ④屋外で保管する場合は、容器で保管するときでも廃棄物処理法で積上げ高さの制限がある。 |
正解:① 産業廃棄物の保管場所の掲示板には、管理者の連絡先を記載しなければならない。
解説
- ①について:廃棄物処理法ではねずみの生息や、蚊・ハエその他の害虫の発生がないようにすることとされています。
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産廃の置き場(保管場所)の囲いはロープでも良いのですか? - ③について:屋内であっても屋外であっても、掲示板の大きさは縦横それぞれ60cm以上という基準があります。
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産業廃棄物の保管場所には看板(掲示板)の設置が必要ですか? - ④について:屋外であっても容器で保管する場合は廃棄物処理法上の積上げ高さの制限はありません。
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廃棄物を安全に保管する方法・ポイントは?|産業廃棄物 保管まとめ
<講師のワンポイント解説>
選択肢②のとおり、産業廃棄物の保管場所の掲示板には、管理者の連絡先を記載しなければならないと定められています。あわせて、掲示板の「産業廃棄物の種類」の欄は、原則として廃棄物の種類名(汚泥、廃プラスチック類等)を記載する欄です。よくある間違いとして、「廃蛍光灯」「廃乾電池」など個別具体的な名称のみを記載しているケースがあります。自社の掲示板の記載内容に誤りがないか、今一度確認してみましょう。
保管場所のルールを確認したところで、次は実際に産業廃棄物の処理を委託する際に欠かせない「処理業の許可」についての問題です。委託先の許可の範囲を正しく理解しておきましょう。
【問題】産業廃棄物処理業の許可について
委託先の許可の範囲を誤って理解していると、知らないうちに無許可業者への委託になってしまうこともあります。自治体ごとの許可の考え方を、この問題で確認しましょう。
| 【問題】産業廃棄物処理業の許可に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 ①東京都八王子市(政令市)に積替え保管施設を保有する収集運搬業者は、東京都ではなく、八王子市から積替え保管を含む収集運搬業の許可を得ている必要がある。 ②産業廃棄物処理業の許可の有効期間は通常5年、優良認定の場合は7年である。 ③特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可(例:特管廃酸)をもっていれば、同じ種類の特別管理産業廃棄物ではない産業廃棄物(例:廃酸)も収集運搬することができる。 ④長野県松本市(政令市)に中間処理施設がある処分業者は、松本市から処分業の許可を得ている必要がある。 |
正解:③ 特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可(例:特管廃酸)をもっていれば、同じ種類の特別管理産業廃棄物ではない産業廃棄物(例:廃酸)も収集運搬することができる。
解説
- ①について:八王子市は政令市であるため、積替え保管施設がある収集運搬業者は、八王子市から積替え保管を含む収集運搬業の許可を得ている必要があります。
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産業廃棄物をいくつかの自治体をまたいで運搬する際の許可|通過する全ての自治体の許可を持つ運送会社への委託が必要ですか? - ②について:優良認定を取得している業者は優遇措置を受けることができ、許可期限が延長されます。
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優良産廃処理業者認定制度とは?活用事例やメリットを解説 - ④について:処分業許可証の許可する自治体は都道府県もしくは政令市(政令市である場合は政令市が許可自治体)となります。
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処理会社の許可と契約書|廃棄物管理の基礎を学ぶ(その2)
<講師のワンポイント解説>
③について、特別管理産業廃棄物の許可と、特別管理産業廃棄物ではない産業廃棄物(通称、普通産業廃棄物)の許可は異なる許可です。それぞれの区分の許可が必要になるため、委託先の許可証を確認する際は区分ごとに揃っているかを確認しましょう。
廃棄物の許可証にはさまざまな内容が記載されていますが、その中でも特に重要な項目が「有効期限」と「事業の範囲」です。有効期限内のものだけが有効で、期限切れのものは無効となります。また、事業の範囲には取り扱うことのできる廃棄物の種類が記載されているため、委託する廃棄物の種類が範囲に含まれているかを必ず確認しましょう。特に許可証が更新された際は、産業廃棄物の種類だけでなく処分方法にも着目し、種類と処分方法をセットで確認することが重要です。
処理業の許可について理解が深まりましたね。最後に、行政への報告に関する問題に挑戦してみましょう。マニフェストの運用にも関わる、実務でつまずきやすいポイントです。
【問題】行政への報告等について
マニフェストの返送期限を過ぎても、最終処分が終わっていれば大丈夫だと思われがちですが、実はそうではありません。行政への報告に関するルールを、この問題で確認しましょう。
| 【問題】行政への報告等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 ①多量排出事業者に該当するか否かは、原則として、事業場ごとに判断する。 ②紙マニフェストの返送期限、または電子マニフェストの処理終了報告の期限を超えた場合でも、最終処分が完了していれば自治体に措置内容等報告書の提出は必要ない。 ③交付等状況報告書は、原則として、事業場ごとに、事業場を管轄する自治体に提出しなければならない。 ④電子マニフェストを導入しており、紙マニフェストを1部も交付していない場合、交付等状況報告書の提出は必要ない。 |
正解:② 紙マニフェストの返送期限、または電子マニフェストの処理終了報告の期限を超えた場合でも、最終処分が完了していれば自治体に措置内容等報告書の提出は必要ない。
解説
- ①について:多量排出事業者とは、前年度の産業廃棄物の発生量が1,000トン以上、または特別管理産業廃棄物の発生量が50トン以上である事業場を設置している事業者と定義されています。なお、建設工事など排出事業所が一定しない場合などは、原則外として管轄自治体内をまとめた量で該当するかを判断することとされています。
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排出事業者の行政への定期報告~多量排出事業者計画・実施状況報告書~ - ③について:紙マニフェストを1部でも交付すると、毎年6月末までに前年度交付分の実績を報告しなければなりません。
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産業廃棄物管理票交付等状況報告書の書き方・記入項目と注意点 - ④について:電子マニフェスト利用の場合は交付等状況報告書の作成は不要です。
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電子マニフェストのメリットとは?
<講師のワンポイント解説>
②について、最終処分が完了していたとしても、返送・報告の期限を越えた場合は措置内容等報告書の提出が必要になります。「最終的に処分が終わっていれば問題ない」と誤解しやすいポイントなので、期限管理を徹底しましょう。
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以上、廃棄物管理の実務理解度テストでした。複雑な廃棄物処理法のルールですが、一つ一つ正確に理解して日々の適正な管理に活かしていきましょう!
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執筆者情報
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みやうち たつろう
宮内 達朗
アミタ株式会社 サステナブルBPO事業部
立命館大学大学院社会学研究科を卒業。アミタ株式会社に入社後、環境に関するテレマーケティングやセミナー企画・運営などの業務に携わる。その後、関西・九州エリアにて廃棄物管理などを中心とした企業環境部に対する戦略支援業務に従事し、現在は廃棄物管理業務アウトソーシングサービスの開発・運用を担当している。
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