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生ごみを制すれば、「ごみ」を制す2|ゼロ・ウェイストに取り組むステップ#1 初心者向け企業・地域を変える!?「ゼロ・ウェイスト」の可能性

P2200531_by Starr.jpgごみはすべての人に関わりがある事柄といって過言ではありません。そして今までは、個人、自治体、企業にとって、できるだけコストと労力を割きたくない事象でもありました。しかし今、この「ごみ」が、世界の資源枯渇・生態系破壊などの環境問題への意識の高まりと共に、可能性ある資源として注目されています。また、コミュニティ内すべての構成員が関わる共通課題として、まちづくりへの参画を促すきっかけとしても注目されています。

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本コラムでは、日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い、徹底資源化を実施している徳島県上勝町での実績がある特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミーの理事長 坂野 晶様に「ゼロ・ウェイスト」の可能性と、具体的な進め方について連載していただきます。前回のコラムでは、出てしまった生ごみを有効活用する【資源活用】のアプローチについてご紹介しました。今回は、「そもそも出さないようにする」や「出す量を減らす努力をする」【発生抑制】のための取り組みを見ていきましょう。

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【発生抑制】食品ロスを減らせ!

実は、家庭における生ごみ自体の発生量が減少傾向にあるのに対し、食べ残し・手付かず食品の比率が増加しているという統計があります。これら食品廃棄物のうちの可食部、つまり調理くずなどではない、食べられるはずのもののことを「食品ロス」と呼び、近年大きく問題として取り上げられるようになってきました。事業系と一般家庭からのものを合わせた日本における食品廃棄物のうち、約39%が食品ロスです。量にすると約646万トン(2015年度)。これは、世界全体での食料援助量(約320万トン)よりも多いと聞くと衝撃的です。

食品ロスの【発生抑制】に取り組もうとすると、様々なアプローチが考えられますが、大きく分けると事業者が取り組む範囲のことと、消費者が取り組めることに分けられます。消費者が取り組めることは限られているのでは?という声も聞こえてきそうですが、上述した食品ロス量の約半数は家庭から出ているものです。単純に「食べ残しを減らそう」「食材を使い切ろう」というスローガン的な啓発活動以上に、もっと私たちにも出来ることがあります。さらに、近年では様々なサービスの新展開によって、個人で取り組めることの幅も増えてきています。

家庭でできる食品ロス対策

家庭から出る生ごみのうち、39%が食品ロス、さらにそのうちの半分以上は「手付かず食品」です。そのため、いかにすでに家にあるものを無駄にせず使い切れるか、余分に買いすぎないかが食品ロス削減には重要なポイントとなりそうです。

誰でも家庭で取り組めることとしては、冷蔵庫の中身を確認してから買い物に行くなど「あるものを二度買いしない」ことや、計画を立てて買い物に行き、期間限定品や値引き品などの衝動買いをしないことが挙げられます。しかし個人で意識するだけでは、なかなか実際の成果に繋がりません。そこで、こうした取り組みを支えるサービスとして、様々なアプリが生まれています。例えば、買い物リストを入力し、買い物のメモとしても使いつつ、家にあるものも登録して二重買いを防ぎ、さらにそれら食材のリストを元にレシピ提案までをしてくれるアプリ。そして、すでに家にある食品を使い切るための仕掛けとして、余りものの食材を入力すると、それらを使ったレシピを人工知能が提案してくれるアプリなどもあります。

2017年に神戸市で行った食品ロスの調査では、毎日家庭で出た食品ロスを記録していくだけで、自分たちが出す食品ロスを意識し、減らそうと考えるようになり、実際に減ったというデータもあります。やはり今すでに家にある食材などの「見える化」を手助けしてくれ、さらにその活用方法をアドバイスしてくれるツールが役立つと言えるでしょう。その他にも、冷蔵庫の中をスマホから見ることが出来るカメラや、賞味期限を管理してくれるアプリなどもあります。

事業所でできる食品ロス対策

また、家庭での食品ロスを減らすだけでなく、個人で事業所での食品ロス削減に貢献できる仕組みもあります。飲食店などで、その日の天候などが原因となって売れ残りが発生しそうな場合に、その余らせてしまいそうなメニューを割引提供する情報をアプリ等で共有するという仕組みです。飲食店側が登録し、利用者はスポットで近場の店舗が提供する情報をチェックして利用できるのがTABETEという仕組み。また、利用者も登録し、近場の店舗からの余剰食品を月額定額でテイクアウトするというのがReduce GOという仕組みです。どちらも、店舗側としては廃棄してしまう可能性のある食品の食べてもらえる可能性を広げられ、利用者側は遜色ない美味しい食品を比較的安価で購入でき、食品ロスの削減にも貢献できるという、店舗も利用者も環境にも「三方良し」の仕組みと言えます。

消費者にも取り組めることが増えてきている一方で、事業者が取り組めることの範囲は非常に大きな影響力を持ち得ます。消費者に届く以前の、生産から貯蔵、加工、流通・小売りまでの間に多量の食品破棄が発生するためです。事業者からの食品ロス発生量約357万トンという数値は、食品リサイクル法に基づいて年間100トン以上の食品廃棄物を排出する事業者が行う義務的報告内容を元に算出されたものです。元となるデータが食品廃棄物を100トン以上排出する事業者に限定されており、さらにその内訳の可食部と不可食部の割合は排出事業者へのアンケートに基づいて算出しているため、全ての事業者の実態を反映しているかどうかは不明瞭です。また、生産段階で農家において出荷されずに破棄された「食べられたはずの野菜」などはそもそもこの数字には現れていません。

商慣行の見直しによる発生抑制

事業者として食品ロスを削減するには、そもそもの商慣行の見直しが必要になります。例えば、商品が出来てから小売りに卸すまでの期間、小売から消費者に販売するまでの期間、消費者に渡ってからの期間で、生産から賞味期限までの全期間を3等分するという「3分の1ルール」。これは、小売に卸すまでに賞味期限までの期間の3分の1の期限を過ぎるとその商品は破棄対象となる(同じく、小売において賞味期限までの期間の3分の2の期限を過ぎると破棄対象となる)ため、まだ賞味期限までは十分に期間がある商品でも、大量に破棄されてしまうという結果を生んでいる仕組みです。他にも、製造過程において受注から納品までの期間が短すぎるために、過剰に見込み生産をして大量の食材を破棄しているといった状況も生まれています。これらは、例えば賞味期限ベースの納品期限において、どれだけの期間を残すかを短く設定する(日本は3分の2残しですが、それを3分の1残しにするなど)、食品加工工場への発注から納期までの期間を、受注生産で無理なく行えるように、需要予測など他の仕組みを発展させることによって改善するなどの見直しが必須です。

残念ながらまだこれらの仕組みを転換させていくための抜本的な解決策は生み出されていません。しかし、「#食べ物を棄てない日本計画」など出来る範囲のことから、こうした構造上の問題に取り組み始めている動きも生まれています。需要予測もしかり、一定時期を過ぎたら必ず破棄対象になってしまうようなストック食材への対策しかり、この分野にはまだまだ多くのビジネスチャンスが眠っていそうです。もちろん生産者から消費者まで、誰しもまだ食べられる食材を無駄にしたいとは思っていないはずですから、これを機に自分の事業や活動、取り組める範囲から出来ることをぜひ考えてみてはどうでしょうか。

2回にわたり、生ごみのテーマを扱いましたが、次回からは生ごみ以外の資源活用についてご紹介していきます!

執筆者プロフィール

sakano_akira.jpg坂野 晶(さかの あきら)氏
特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミー
理事長

大学で環境政策を専攻後、国際物流企業での営業職を経て現職。日本初の「ゼロ・ウェイスト」宣言を行った徳島県上勝町を拠点に、同町のゼロ・ウェイストタウン計画策定や実装、ゼロ・ウェイスト認証制度の設立、企業との連携事業など政策立案や事業開発を行うとともに、国内外で年間100件以上の研修や講演を行いゼロ・ウェイストの普及に貢献する。

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