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コラム

産業廃棄物処理委託契約書を徹底解説!
~法律、通知の規定から実運用まで~中編
佐藤泉先生の「廃棄物処理法・環境法はこう読む!」

eac1af683b6ad436983c397c4608c564_s.jpg「産業廃棄物処理委託契約書を締結する場合、どのような点に気を付けたらよいのか。」
日頃から、契約書に関するお悩みをよくお聞きしますが、法定記載事項、覚書、変更や追加があった際の対応方法など、疑問をいただきやすいポイントがいくつかあります。今回は、産業廃棄物処理委託契約書の作成について、前中後編の3回に分け、実運用も含めて解説します。中後編では、実運用について紹介します。

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3. 委託する産業廃棄物の種類及び数量

処理委託契約書を締結する段階で、排出事業者が委託する産業廃棄物の種類及び数量を正確に把握していることは少ないと思います。個々の廃棄物の種類及び数量は、排出する段階で確定することが多いからです。したがって、委託する産業廃棄物の種類及び数量は、排出予定のものとなります

産業廃棄物の種類については、処理業者の許可の範囲であれば、念のためできるだけ多くの予定物を記載することが可能であり、これにより契約変更の手間を省くことができます

数量については、種類ごとに年間予定量、月間予定量、○○トンから○○トン、1回あたり約〇袋というような幅のある記載も可能です。現実に排出量が契約書の数量と異なっていても、常識的には契約違反や法令違反になるのではなく、個別の連絡やマニフェストで確認することで足ります。排出事業者は処理委託契約書に記載した廃棄物を必ず排出して委託する義務を負うわけではなく、処理業者も記載された廃棄物を必ず受託する義務はありません。なぜならば、契約書において、保証するという文言が使われないからです。

【追加・変更時の対応とポイント】

種類及び数量は排出予定のものとなります。これらは、幅のある記載が可能です。
それでも変更が必要な場合は、覚書や契約の巻き直しを行いましょう。

4. 処分・再生委託の場合、その所在地、処分・再生方法、施設の処理能力

処分を委託する場合には、処分施設の所在地等の情報を契約書に記載する必要があります。契約書には処分業者の許可証が添付されており、許可証には所在地、処分方法、施設の処理能力が記載されています。したがって、許可証の記載を契約書本文に転記してもよいですが、添付許可証の通りと記載しても問題ありません。

また、処分施設は複数記載しても問題ありません。例えばA中間処理業者が、3つの処理施設を有している場合、契約書にはこの3つの処理施設を並列的に記載することが可能です。許可証の通りと記載する場合でも、この3つの処理施設が記載されている許可証を添付することで足ります。複数の処理施設を契約書に記載した場合、個別の廃棄物排出の際に、処分業者は排出者に対し、どの処理施設で処分するか連絡し、排出事業者はこの連絡に基づきマニフェストに処理施設を記入して処理委託を行います。

【追加・変更時の対応とポイント】

許可証には所在地、処分方法、施設の処理能力が記載されています。したがって、許可証の記載を契約書本文に転記してもよいですが、添付許可証の通りと記載しても問題ありません。

5. 輸入廃棄物である場合にはその旨

廃棄物を外国から輸入する場合、環境大臣の許可が必要であり、許可の段階で認められた処理施設で確実に処理される必要があります。

実務的には、排出者が輸入廃棄物を処理委託することはまれです。輸入廃棄物でない場合には、輸入廃棄物ではないという記載をする義務はありません

6. 中間処理委託の場合、最終処分場所在地等の情報

排出者は、法第12条第7項に基づき、産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの一連の処理工程が適正に行われるために必要な措置を講ずる努力義務があります。この排出事業者の努力義務を容易にするため、契約書上に最終処分所在地の情報を記載することが義務付けられたものと思われます。排出者は、マニフェストのE票を受領した際に、契約書記載の最終処分場であるかを確認します。

中間処理業者の施設で委託された廃棄物の全量が再資源化される予定の場合、最終処分の場所等の記載は、たとえば「乙において再資源化」「乙において再生」等記載すればよいでしょう。

しかし、循環型社会では、再資源化・再生が重要となっているため、複数の中間処理行程で徐々に再生・再資源化が行われることが多く、最終処分場の場所の記載方法が難しくなっています。そのため、どう記載するか、また頻繁な変更にどう対応するか、排出者、中間処理業者双方にとって負担となっています

複雑なケースでは、中間処理業者は、中間処理に際して、事前選別、異物の除去、事後選別を行い、売却できる資源は売却します。売却できない残渣は、選別した素材ごとに二次の中間処理業者に処理を委託し、その処理業者がさらに多様な再資源化をします。最終的な残渣が出た場合には、三次の中間処理業者が焼却処理等を行って、埋立処分量を減らし、四次の最終処分業者である埋立最終処分場へと処理委託されます。このように、減量・再資源化は、複雑で網状なルートをたどり、個々のルートに流れる量が確定できないため、単純に一つの埋立最終処分の場所を記載することが困難です。

また、近時は、中国等の輸入規制により、プラスチックやミックスメタルの資源価値が下落し、再資源化のルートが変化しています。再資源化は、需要と供給のバランスに左右されやすく、これを固定することは再資源化を妨げる結果になりかねません。さらに焼却施設・最終処分場は、たとえ契約をしていても、能力の関係から安定的に受け入れをしてくれるとは限らないため、中間処理業者は複数のルートを予備的に確保しています。このような事情により、中間処理業者は排出者に対し、事前に固定的な処理ルートを開示することが困難です。したがって、最終処分の場所等の情報は、排出事業者に対する情報提供にすぎず、必ずこの最終処分場へ搬入するという確約は不可能なケースが増えています

東京都がWEB上で公開しているモデル契約では、「当該廃棄物に係る最終処分の場所の所在地(住所、地名、施設の名称など)、最終処分の方法及び施設の処理能力は、別表1の最終処分欄の通りとする。」(第8条第1項)とされています。また「別紙1に記載する最終処分の場所等に変更が生じた際は、乙は遅滞なく甲に通知し、必要な情報を本書に添付しなければならない。」(第8条第3項)とされています。これは、最終処分の場所に変更が発生した場合、覚書等の契約書を締結する必要はなく、処分業者からの通知文で足りるという解釈だと思います。最終処分場の場所は、最終処分予定地に関する情報提供であるため、このような記載の仕方は適法だと思います

今後、日本において循環型社会を構築するうえで、処理ルートの流動性はますます高まると思います。したがって、例えば、優良業者については、処理ルートをWeb上で公開することにより、最終処分の場所等の記載が省略できるとともに、E票の運用を免除する等の法改正が望ましいと思います。

【追加・変更時の対応とポイント】

変更に備え、最終処分の場所を別表として、契約書に添付する方法も可能です。

7. 委託契約の有効期間

委託契約の有効期間の書き方は自由です。一般的には、1年契約で、その後の1年ごとの自動更新にすることが多いようです。定期的に委託先を見直すという趣旨で、3年契約にして、自動更新の条項を入れないという例もあります。建設廃棄物の場合には、個別工事の予定工期を記載している例もあります。工事で工期の延長がありうる場合には、「工期延長の場合には、排出者が別途連絡する日まで契約期間は自動的に延長される」というような文言を入れておくと便利でしょう。

委託契約は、個別の廃棄物排出の前に締結する義務があります。事後契約は、廃棄物処理法違反ですが、たとえ事後となっても契約関係を明確化することは意味があるので、契約書を作成することをお勧めします。委託契約の有効期間中にマニフェストが返送される必要はありません。廃棄物の排出、委託の時点で、委託契約書の有効期間内であれば適法です。

排出者は、ある廃棄物処理業者と委託契約の有効期間中であっても、他の廃棄物処理業者と契約を締結することは可能です。すなわち、排出者は、契約書締結済みの処理業者に個別の委託しなければならないという義務はありません。また、処理業者も、委託契約の有効期間中であっても、排出者からの個別の委託を受ける義務はありません。処理業者は、保管量が増えている、施設が定期点検や修理等で使えない等の理由で、受託を断ることができるのであり、排出者に対しこれによる補償を支払う義務はありません。

【追加・変更時の対応とポイント】

自動更新の条項によって、有効期限を自動で延長できます。便利ではありますが、「契約書の内容について、覚書等が必要な変更があるか」など、定期的に内容を見直すようにしましょう。

(後編につづく)

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執筆者プロフィール

佐藤 泉(さとう いずみ)氏
佐藤泉法律事務所 弁護士

環境関連法を主な専門とする。特に、企業の廃棄物処理法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等に関連したコンプライアンス体制の構築、紛争の予防及び解決、契約書作成の支援等を実施。著書は「廃棄物処理法重点整理」(TAC出版)など

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