Q&A
担当者が押さえておくべき産廃契約書の印紙代算出の3つのポイント 
廃棄物処理委託契約書は、「文書の種類」と「契約金額」によって収入印紙の金額が変わります。今回は印紙代の算出時の3つのポイントをご紹介します。
※本記事は、2018年11月に執筆した記事を加筆しています。
注目!消費税額は印紙税の記載金額に含まれますか?(2019年10月25日追記)
消費税の増税もありましたが、消費税額を印紙時の記載金額に含むか、含まないかは、「消費税がどのように契約書内で記載されているか」によって異なります。詳しくは、国税庁の通知をご覧ください。
【関連情報】国税庁ウェブサイト「No.7124 消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額」
そもそも廃棄物処理委託契約書に印紙は必要?
廃棄物処理法では、処理委託契約書の印紙に関する定めはありません。しかし、印紙税法の観点から、印紙の貼付が必要となります。現在、印紙税法では20種類の文書が課税の対象とされていますが、廃棄物処理に関する契約書は、以下の3種類となります。
・ 1号の4文書:収集運送委託に関する契約書
・ 2号文書:処分委託に関する契約書
・ 7号文書:継続的取引の基本となる契約書
※契約期間が3か月以内で、更新の定めがないものを除く
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また、これらはそれぞれの文書ごとに、契約金額によって印紙代が定められています。最新情報は、国税庁のWebサイトから確認できます。例えば、2019年10月時点での印紙代は下記の通りです。7号文書の場合は、一律4,000円となります。
▼1号の4文書の印紙代一覧(2019年10月時点)
記載された契約金額 | 印紙税額 |
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上 10万円以下 | 200円 |
10万円を超え 50万円以下 | 400円 |
50万円を超え 100万円以下 | 1000円 |
100万円を超え 500万円以下 | 2000円 |
500万円を超え 1000万円以下 | 1万円 |
1000万円を超え 5000万円以下 | 2万円 |
5000万円を超え 1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え 10憶円以下 | 20万円 |
10憶円を超え 50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
※印紙税額は、1通又は1冊につき
▼2号文書の印紙代一覧(2019年10月時点)
記載された契約金額 | 印紙税額 |
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上 10万円以下 | 200円 |
10万円を超え 50万円以下 | 400円 |
50万円を超え 100万円以下 | 1000円 |
100万円を超え 500万円以下 | 2000円 |
500万円を超え 1000万円以下 | 1万円 |
1000万円を超え 5000万円以下 | 2万円 |
5000万円を超え 1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え 10憶円以下 | 20万円 |
10憶円を超え 50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
※印紙税額は、1通又は1冊につき
(出典:国税庁Webサイト「印紙税額の一覧表(第1号文書から第20号文書まで)」より、アミタ株式会社が作成)
知っておきたい!印紙代算出時の3つのポイント
上述の通り、契約金額によって印紙代が定められています。そのため、同様の取引内容であっても、契約金額の記載方法が異なれば、印紙代は変わります。
- ポイント1 ―処理委託量について
契約金額は、処理委託量に、単価と契約期間をかけたものとなります。
契約金額=「処理委託量(数量)」×「受託者に支払う料金(単価)」×「契約期間」 |
複数の処理委託先との取引を行うなど、ある処理委託先への廃棄物の処理委託量が月毎に変動する場合は、「10t~50t/月」など、幅をもたせた記載になることがあります。この場合は、50tという最大処理委託量で印紙代を算出すべきと感じますが、国税庁のウェブサイトによると、「記載された契約金額等が最低金額と最高金額の両方である場合は、最低金額が契約金額になる」とされています。そのため、最小の委託量にて、印紙代を算出して問題ありません。
●月間の最大委託量が50tにて計算した場合... ●月間の最小委託量が10tにて計算した場合... |
(1号の4文書の場合)
- ポイント2 ― 契約期間について
同様の取引内容であっても、契約期間が12カ月のものと3か月のものでは、印紙代が変わってきます。
例えば、「月間50t」×「運搬単位tあたり1万円」の場合、 ●契約期間を12カ月間にすると... ●契約期間を3カ月間にすると... |
(1号の4文書の場合)
- ポイント3― 契約の範囲について
契約書を1つに統合する、あるいは分けることで、印紙代が変化します。
例えば、同じ委託先に廃棄物A・Bを収集運搬委託し、廃棄物Aが20万円、Bも20万円という場合、両方を1つの契約書に記載しても50万円を超えないため、分けるよりも1つにした方が、全体の印紙税は少額になります。一方、廃棄物Aに係わる契約金額が300万円、Bも300万円という場合、1つの契約書に両方を記載すると、契約金額は600万円となり、印紙税は1万円です。これを2つの契約書に分ければ、2,000円×2=4,000円となります。
▼合計金額40万円の契約書の例 |
▼合計金額600万円の契約書の例 |
(アミタ株式会社作成)
以上、印紙代算出時のポイントをお伝えしました。印紙代の見直しも必要ですが、契約書の締結時には、まず、法定記載事項などに記載漏れがないか十分な注意が必要です。契約書の定期的な見直しをおすすめします。
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参考情報
- 国税庁ウェブサイト:「契約書や領収書と印紙税(平成30年5月時点)」
- 国税庁ウェブサイト:「記載金額の計算」
執筆者プロフィール(執筆時点)
佐藤 拓磨(さとう たくま)
アミタ株式会社 カスタマーホスピタリティグループ西日本チーム
山形大学大学院理工学研究科機械システム工学専攻博士前期課程修了。大学では農業系副産物の工業分野での利活用に関する研究を行う。現在はアミタ株式会社お客様サポートセンターに所属し、西日本エリアの非対面での廃棄物リサイクル営業に従事。