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コラム

産業廃棄物処理委託契約書を徹底解説!
~法律、通知の規定から実運用まで~前編
佐藤泉先生の「廃棄物処理法・環境法はこう読む!」

190625image.jpg「産業廃棄物処理委託契約書を締結する場合、どのような点に気を付けたらよいのか。」
日頃から、契約書に関するお悩みをよくお聞きしますが、法定記載事項、覚書、変更や追加があった際の対応方法など、疑問をいただきやすいポイントがいくつかあります。今回は、産業廃棄物処理委託契約書の作成について、前中後編の3回に分け、実運用も含めて解説します。前編では、法律や通知の規定を中心にお伝えします。

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まずはおさらい!廃棄物処理法の規定

廃棄物処理法では、排出事業者は、一般廃棄物について、処理委託契約書を締結する義務がありません。同法第6条の2第6項は、一般廃棄物処理委託基準として、排出事業者は許可業者に対して収集運搬又は処分を委託しなければならないとのみ記載しており、契約書の締結義務を記載していないからです。

一方、排出事業者は、産業廃棄物については、処理委託契約書を締結する義務があります(同法第12条第5項、第6項、施行令第6条の2第4項、施行規則第8条の4、第8条の4の2)。排出事業者が契約書を締結しないで廃棄物を処理委託した場合、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはこれを併科するとの罰則規定があります(法第26条第1号)。このように、産業廃棄物の契約書締結義務は、排出事業者に強制されています。産業廃棄物の専ら物についても免除規定はありません。

法律で定められている記載事項は、以下のとおりです。

  • 委託する産業廃棄物の種類及び数量
  • 運搬委託の場合、運搬の最終目的地所在地
  • 処分・再生委託の場合、その所在地、処分・再生方法、施設の処理能力
  • 輸入廃棄物である場合にはその旨
  • 中間処理委託の場合、最終処分場所在地等の情報
  • 委託契約の有効期間
  • 処理料金
  • 受託者が許可業者の場合にはその事業の範囲
  • 積替え保管を行う場合には所在地等の情報
  • 安定型産業廃棄物について、積替え保管を行う場合、混合の可否
  • 適正処理のために必要な情報(性状、荷姿、石綿含有、水銀使用製品等)
  • 委託契約の有効期間中に、情報に変更があった場合の伝達方法
  • 受託業務終了時の受託者への報告に関する事項
  • 委託契約を解除した場合の処理されない廃棄物の取り扱いに関する事項

また、委託契約書には、処理業者の許可証を添付することが義務付けられており、5年間の保存義務があります。

なお、e文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)により、処理委託契約書及びその添付書類は、電磁的方法(インターネット取引、メール送信、ファックス送信等)により、処理委託契約書を電磁的に作成し、保存することが認められています。

環境省の通知

環境省(旧厚生省)の通知(平成4813日 衛環第233号)第25では、委託する産業廃棄物の種類及び数量について、法令で定める種類ごとに記載するが、一体不可分の場合には種類を記載するとともに混合物として一括して数量を記載してもよいとされており、数量については計量による把握が原則であるが、車両台数、容器個数の併記等により、契約当事者が了解できる記載で代えることができるとしています。

また、契約書には法的記載事項を網羅する必要があるが、具体的な表現は、法令の趣旨に反しない限り、契約当事者に委ねられているとしています。

さらに、水銀規制が導入された際の通知(平成2988日 環循適発第1708081号、環循規発第1708083号)第28では、水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等に係る情報の伝達について、施行の際に締結済みの委託契約書については、更新時に記載すること、自動更新規定を含む契約書については覚書等により規定することが望ましいとの記載があります。

これらの環境省の通知内容は、法律の趣旨に反しない限り、契約の記載方法は当事者が理解する方法でよいということだと思います。民法の、契約自由の原則及び排出事業者責任から考え、委託の内容を特定することが重要です。

実際の運用

多くの排出事業者は、全国産業循環資源連合会(旧全国産業廃棄物連合会)が作成している「産業廃棄物処理委託契約書の手引き」、日本建設業連合会等6団体が作成している「建設廃棄物処理委託契約書様式及び記入例、東京都環境局が作成しているモデル契約書等を参考に作成しています。それぞれの書式は、業界の特性等を考慮して工夫されていますが、遵法体制を構築するうえで、必要不可欠な記載事項は何かを把握しておくことが重要です。

ほとんどのひな型は、単発の委託契約ではなく、継続的な取引を前提とした基本契約となっています。したがって、契約途中に、記載事項の変更が発生することが多く、この事務処理が排出事業者と処分業者間の負担となっています。そこで、廃棄物処理法の趣旨を尊重しつつ、合理的な契約書の運用が必要です。

それでは、実際の運用についてのポイントを紹介します。

  1. 排出事業場の記載
    排出事業場は、マニフェストの法定記載事項ですが、収集運搬委託契約及び処分委託契約においては法定記載事項ではありません。
    しかし、収集運搬委託契約では、積み込み場所を特定しなければ、添付すべき許可証を特定できません。したがって、収集運搬委託契約では、排出事業場の記載がある契約書がほとんどです。書き方としては、具体的な排出事業場の住所・名称等を記載する方法だけでなく、東京都及び神奈川県の各事業所というように複数の排出事業所を包括的に記載することが可能です。

    【追加があった場合の対応】
    契約途中で、排出事業場が追加された場合には、排出事業者が処分業者に対し追加した事業場を通知して、収集運搬業者がこれを承諾した場合、双方が契約書と一緒に通知した書面を保管するという方法も可能でしょう。これに伴って、許可証の追加添付が必要になった場合には、収集運搬業者にPDFファイル等で送ってもらい、排出事業者の契約書に添付する形等が可能です。
    排出場所が委託契約書において特定されていなくても、マニフェスト交付の際に、マニフェストの記載によって特定されるため、廃棄物のトレーサビリティは担保されています。

  2. 運搬の最終目的地
    運搬の最終目的地は、収集運搬委託契約の法定記載事項ですが、同一の契約で複数の最終目的地を記載することが可能です。例えば、同一の排出事業者が、A処分業者とB処分業者双方と取引があり、C収集運搬業者にその双方への運搬を委託する場合には、運搬の最終目的地をAとBの2か所の処理施設として記載できます。

    【変更・追加があった場合の対応】
    排出事業場の追加と同様、運搬先の変更・追加があった場合には、排出事業者からの通知に基づき、双方が変更を確認して、通知した書面を契約書と一緒に保管することが可能でしょう。運搬の最終目的地が多い場合には、これらの情報を別紙の形式で契約書に添付し、追加や変更に応じて、随時別紙を更新していくことで、委託基準は順守できると思います。
    運搬の最終目的地が委託契約書において特定されていなくても、マニフェストの記載により、排出時点で必ず特定されることになります。

(中編へ続く)

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執筆者プロフィール

佐藤 泉(さとう いずみ)氏
佐藤泉法律事務所 弁護士

環境関連法を主な専門とする。特に、企業の廃棄物処理法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等に関連したコンプライアンス体制の構築、紛争の予防及び解決、契約書作成の支援等を実施。著書は「廃棄物処理法重点整理」(TAC出版)など

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