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コラム

「清掃廃棄物」(排水処理設備を清掃したときに出る汚泥等)は、誰がどのように処理すればいいのか?BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

photoIvanBanduraonUnsplash.jpg元・行政担当者、BUNさんによる廃棄物管理解説コラム。アミタ社員が、廃棄物管理に関する素朴な疑問をBUNさんにお尋ねしていきます。今回は、「清掃廃棄物」の排出事業者責任についてです。

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Photo by Ivan Bandura on Unsplash

Q.清掃廃棄物の処理について、貯水タンクや排水処理設備を清掃したときに出る汚泥を清掃業者に処分してもらっていますが、何か問題はあるでしょうか?自社が排出事業者にならなくてもよいでしょうか?

A. 貯水タンクの汚泥などは、施設の所有者や管理者が排出事業者として、委託契約書の締結やマニフェストの交付といった排出事業者の責務を果たし、適切に処理を依頼しましょう。

アミタ石田:前回の掘削廃棄物についての質問の時は、掘削工事から排出される廃棄物の排出者は、原則掘削工事の元請業者となっていましたね。掘削工事の場合、元請業者が運搬する行為は「自ら処理」にあたるので、許可は不要ですよね。今回の質問も、清掃業者の「自ら処理」ということで何も問題は無いのではないですか?

BUN:それがそうでもないんです。「工事」と「清掃」は違う考え方をとっているんです。古い疑義応答なのですが次のものがあります。

[昭和57年通知、改正最終平成6年衛産第20号問14通知]
問 清掃業者が事業場の清掃を行った後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清掃業者であると解してよいか。
答 当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。清掃業者は清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。
[昭和54年通知、改正最終平成10年衛産第37号問31通知]
問 建築物の清掃業者が清掃後の廃棄物を処理する場合当該業者は廃棄物処理業の許可が必要と解するがどうか。
答 お見込みのとおり

アミタ石田:えぇー、「清掃系の廃棄物は清掃業者が排出者ではなく、元々の施設の所有者、占有者、管理者が排出者になる」ということですか!建設系廃棄物とは全く逆なんですね。
でも、BUNさん、単なる掃き掃除なら、そうかもしれませんが、今回の質問は「貯水タンクの清掃」ですよね。こういった専門技術を要するような行為でも同様に考えてもいいのでしょうか?

BUN:これもだいぶ古い疑義応答ですが、次の通知がありました。

[平成5年通知、改正最終平成6年衛産第93号問12通知]
問 下水道管理者から下水管渠の清掃を委託された者が清掃に伴って排出された汚泥を自ら運搬する場合、当該者は収集運搬業の許可が必要であると解してよいか。
答 お見込みのとおり

BUN:「下水管渠の清掃」などは「貯水タンクの清掃」よりもっと専門的な特殊技術や機材が必要だと思われますが、通常の掃き掃除と同様に元々の施設の所有者、占有者、管理者が排出者になるという考え方をとっています。ですから、貯水タンクの汚泥などは、施設の所有者や管理者が排出事業者として、委託契約書の締結やマニフェストの交付といった排出事業者の責務を果たし、適切に処理を依頼しましょう。

残置廃棄物について

ちなみに、清掃廃棄物と同じ考え方をとっているものに「残置廃棄物」があり、これは昨今問題となった事案もあってか、平成26年と平成30年に改めて通知が出されています。

[平成30年通知]
1.残置物の処理責任の所在について
建築物の解体に伴い生じた廃棄物(以下「解体物」という。)については、その処理責任は当該解体工事の発注者から直接当該解体工事を請け負った元請業者にある。一方、建築物の解体時に当該建築物の所有者等が残置した廃棄物(以下「残置物」という。)については、その処理責任は当該建築物の所有者等にある。このため、建築物の解体を行う際には、解体前に当該建築物の所有者等が残置物を適正に処理する必要がある。(以下、中略)

2.残置物の適正な処理を確保するための方策について
解体物は木くず、がれき類等の産業廃棄物である場合が多い一方、残置物については一般家庭が排出する場合は一般廃棄物となり、事業活動を行う者が排出する場合は当該廃棄物の種類及び性状により一般廃棄物又は産業廃棄物となる。
都道府県及び市町村におかれては、一般廃棄物に該当する残置物の処理について関係者から相談があった場合等には、当該市町村における一般廃棄物処理計画に沿った処理方法(適切な排出方法、市町村が自ら処理しない廃棄物については連絡すべき一般廃棄物処理業者等)を示すなど、適正な処理が実施されるよう指導されたい。(以下、中略)

3.その他
リフォーム工事など、建築物の解体以外の場合においても、当該建築物の所有者等が残置した廃棄物については、その処理責任は当該建築物の所有者等にある。(後略)

アミタ石田:この通知にも明確に書いてありますね。「特に建築物の解体工事の時は注意しなさい」と。
通知から、「解体工事から排出される木くずやがれき類等の排出者は、解体工事の元請業者であるが、解体工事に入る前から廃棄物として存在していたものは、その建築物の所有者、占有者等である」と読めます。
となると、一般家屋の場合は、解体工事に入る前に不要だとして残されている学習机や応接セットなどは一般廃棄物になるってことですよね。

BUN:そうですね。平成30年の通知には、そのことをダメ押しのように記載しています。

アミタ石田:そうなると、残置された学習机や応接セットなどは住民が、一般廃棄物として一般廃棄物処理業者や市町村に処理を委託しなければならないし、解体工事から出てくる廃プラや木くず、がれき類は元請業者が産業廃棄物処理業者と委託契約書を取り交わし、マニフェストを交付して処理を委託しなければならないってことですね。

BUN:そのとおり。もちろん、建設系廃棄物については、元請が「自ら処理」として自分で運搬も可能ですが。ちなみに、引っ越しの時に残される廃棄物についても残置廃棄物の考え方をとっています(省令第2条第10号、「転居廃棄物」、平成15年「引越時に発生する廃棄物の取り扱いマニュアル」参照)。引っ越しの時に出てくる廃棄物の排出者は引っ越し業者ではなく、あくまでも元々の所有者が排出者ですよってことですね。

アミタ石田:難しいですね。ただ、こんなに明確に通知で書いているのなら、今回の質問に対しては「清掃行為から出てくる廃棄物の排出者は元々の施設の所有者、管理者である」でいいですね。

BUN基本的にはそう考えてください。でもね、実は最近ちょっと例外的な形態も「清掃」には出てきているんです。

清掃廃棄物「原則的には元々の施設の所有者、管理者」の例外とは?

アミタ石田:どんなパターンですか?

BUN:フローリング床って言うんですか?ワックスでコーティングした床を清掃する時は、一旦、強力な薬剤(強酸、強アルカリが多いらしい)で古いワックスを剥ぎ取ってから、改めて新しいワックスがけをするらしいのです。この工程では、床に着いていたごみももちろん一緒に集まりますが、質・量ともに清掃業者が持ち込む薬剤の方が課題になります。

アミタ石田:そうですね。いくら仕上がりがきれいになるからと言って、強酸、強アルカリの清掃廃液を流して良いことにはなりませんし、その後の処理が問題になりますね。

BUNもちろん清掃廃液は、薬剤を持ち込んだ清掃業者が適正に処理することになるのですが、その清掃廃液は誰が排出者か?

アミタ石田:単に床に付着していたごみよりも、やはり質・量ともに清掃廃液の方が課題なのですから、清掃業者が排出事業者とした方がすっきりしますね。もともと清掃業者が持ち込んだ薬剤が主なんですから。

BUN:そうですね。そういったこともふまえてのことと思いますが、東京都の大田区では数年前から、「前述のような単に排水口には流せないような清掃廃液については、清掃業者が排出者であり、産業廃棄物として適正な処理をすることを求める」としています。こうした自治体もあるということですね。

アミタ石田:そうなるとBUNさん、清掃廃棄物についてはどのように判断してよいのでしょうか?

BUN単純な掃き掃除は言うに及ばず、相応の技術が求められるレベルの「清掃」まで、清掃で集められる廃棄物の排出者は、元々の施設の所有者、管理者である、とまずは考えるべきでしょう。
しかしながら、清掃業者が持ち込む薬剤の方が質・量的に主である、という清掃廃液などの場合は、清掃業者が排出者と考えられるケースもあります。
結局のところ、掘削廃棄物の時にも述べましたが、「排出事業者とは一塊、一括の仕事を支配管理できる存在」という例の概念で判断するしかない、ということになります。

アミタ石田前述の事例にすっぽりと当てはまるようなら、そのように判断し、不明な点が多いようなら地元の行政に相談してみる、というのが妥当のようですね。ありがとうございました。

講師プロフィール(執筆時点)

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

聞き手プロフィール(執筆時点)

pro_ishida.png石田 みずき(いしだ みずき)
アミタ株式会社
サステナビリティ・デザイングループ マーケティングチーム

滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。メールマガジンの発信、ウェブサイトの運営など、お役立ち情報の発信を担当。おしえて!アミタさんへの情熱は人一倍熱い。

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