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シュタットベルケ(STADT WERKE)とは?|地方創生注目ワード

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シュタットベルケ(独|STADT WERKE 英|public utilities)とは、ドイツにおいて、電気、ガス、水道、交通などの公共インフラを整備・運営する自治体所有の公益企業(公社)です。シュタットベルケはドイツ語で直訳すると"町の事業"を意味する言葉です。

2000年前後のドイツの電力・ガス自由化後に大手企業が業界再編する中、公社であるシュタットベルケは地域密着のサービス提供と一定以上のコスト競争力により大手にも負けず、地域顧客を獲得してきました。その数はドイツ全体で約1,400社に上り、電気事業を手がけるシュタットベルケは900社を超え、ドイツの電力小売市場で約20%のシェアを維持しています。

(図はクリックすると拡大します)

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なぜ今、シュタットベルケが注目されるのか

シュタットベルケは法的に明確な定義はあるわけではないですが、公有であること、集約的で総合的なインフラ関連サービスの運営などが定義の基準となると言われています。公共事業を総合的に運営することで、資金調達、顧客管理・技術運転などで相乗効果を作り出す目的があります。これらにより市民に適切な価格での公共サービスの提供を保証しつつ、利益が出ない事業に対して、収益事業の利益で内部相互補助をする事も可能になります。これは節税にもつながると考えられています。

日本ではドイツから約20年近く遅れて、2012年にFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を導入、2016 年から電力小売全面自由化を開始しており、電力に関わる環境が大きく変化しています。このような背景から、新電力関連ビジネスも生まれてきており、その中には、地域に新たな雇用を生み出し、地域経済の活性化につながるものも少なくありません。ドイツのシュタットベルケでは、電力小売りで黒字を維持し、その収益で他の公共サービスの赤字を補填しているケースがみられるため、日本で電力自由化が進むと共に、再生エネルギーの分野はもちろん、地方創生やまちづくりの文脈でも注目度が増しています。

シュタットベルケの取組内容

  1. 地域資源の活用
    地域の水力発電所やバイオマス発電所などの運営 ・廃棄物処理炉やコジェネレーションから発生する熱の利用 など

  2. 地域雇用の創出
    直接雇用、間接雇用、誘発雇用合わせて5,600人分の雇用を創出(Stadtwerke Duisburg AG)など

  3. 地域に密着したサービス
    住居内の電気配線であっても障害が発生したら技術者を派遣。停電によって冷凍庫内の食品が損傷を受けた場合には損失額の補填を訴求可(Manheim市のMVV Energie)など

シュタットベルケの経済規模(共同組織加盟企業の合計)

業種 売上高(億円) 従業員数(人)
電力 70,049 63,019
ガス 35,846 33,643
5,446 9,638
合計 111,341 106,300

出典:経済産業省「平成28年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2017)」より
(注)内容は2013年時点、1ユーロ=140円で換算

人口減少・超高齢化・税収減少の日本において益々注目されるしくみ

人口減少、少子高齢化が進む日本では、税収が減少し公共サービスの劣化が懸念されます。さらに、日本の公共インフラは1970~90年頃に建てられたものが多いため、現在建設後30~50年と建替えの時期を迎えた施設が多くあり、建替えのために予算が多々必要になる見込みです。
そのような中、地域密着の公共サービス提供を目的に、複数のサービス提供を1つの事業体で行なうことで、受益者負担の形をとるシュタットベルケという形態は非常に期待されています。また、環境省の第五次環境基本計画案では、地域資源を活用した持続可能な地域づくりが重点戦略に掲げられており、日本政府の政策にも合致しているといえそうです。

日本でも、地域に密着した日本のエネルギー企業の事例は増加しており、今後もますます注目されていくでしょう。

(図はクリックすると拡大します)

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▼地域に密着した日本のエネルギー企業の事例

いこま市民パワー
(奈良県生駒市)
生駒市と大阪ガス、南都銀行、生駒商工会議所、(一社)市民エネルギー生駒で設立し、エネルギーの地産地消を目指す。事業収益を株主配当せず、コミュニティサービスとして地域に還元する。
みやまスマートエネルギー
(福岡県みやま市)
市内で発電した太陽光発電の電気を通常より1円/kWh高く買電し、需要家への売電も実施することで電気の地産地消を目指す。水道とセットで毎月50円引、生活総合支援サービス(見守りなど)に申し込むと 300円/月の還元など各種割引が存在。
ローカル エナジー
(鳥取県米子市)
米子市と地元5企業で設立し、市内のゴミ焼却発電や太陽光発電等から電力を調達。 8割が地産電源。
とっとり市民電力
(鳥取県鳥取市)
鳥取市と鳥取ガスが共同で設立し、エネルギーの地産地消を進め、地域の経済循環と活性化を図る。
サーラコーポレーション
(愛知県豊橋市)
中部ガスを中心としたサーラグループはエネルギーの他、住宅販売、車販売、カルチャースクールなど生活全般サービスを地域密着で提供。

出典:経済産業省「平成28年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2017)」より
(※いこま市民パワーの事例はアミタ(株)が追加)

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アミタグループは、地域の持続性を高める統合支援サービス「BIOシステム」を提供しています。地域の未利用資源を活用したコンパクトな自立型の地域づくりを、ビジョン策定からインフラの設計・運営、産業・雇用創出支援まで、トータルで支援します。

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