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Q&A

カーボンフットプリントとは?算定方法や企業の取り組み事例について

Image by darwisalwan from pixabay

カーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下GHG)の削減の目標を立て、取り組みを進める企業が増えています。ものが作られて捨てられるまでのあらゆる工程でGHGは排出されていますが、目標に向けた取り組みを進めるためには、どの商品がどのくらいのGHG排出の要因となっているのかを知る必要があります。その上で重要な、カーボンフットプリントについてご紹介します。

カーボンフットプリントとは

カーボンフットプリント(Carbon Footprint of Products、以下CFP)とは、商品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクルで排出されるGHGをCO2に換算して、その商品やサービスに表示する仕組みです。
上述したように企業が自社の商品のGHG排出量を知ることができるだけでなく、消費者やユーザーが商品を購入する際によりGHG排出量の少ない商品を選択可能にすることが期待されています。
また、近年の気候変動問題への関心の高まりから、様々なステークホルダーが企業に対してCFP算定を要求し始めており、取り組みを進める企業も増えています。

▼カーボンフットプリントとは

カーボンフットプリントとは.png

出典:カーボンフットプリントプログラム

LCAとの違い

CFPと似ているものにライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment、以下LCA)というものがあります。LCAとは商品やサービスのライフサイクル全体で、あらゆる活動による環境影響を定量的に評価するものです。ここまでの説明だとCFPとの違いが分かりにくいですが、LCAとCFPの違いはGHG算定時の評価対象にあります。CFPはLCA手法をベースにしていますが、GHGが気候変動に与える影響のみを評価対象としています。

▼LCAとCFPの違い

LCAとの違い.png

CFPに取り組む4つのステップ

では、CFPに取り組むにはどのように進めたらよいのでしょうか。企業が取り組みを進める上で、把握するべき情報をまとめた経産省・環境省が発行した「カーボンフットプリントガイドライン」に基づいて説明をしていきます。このガイドラインは製品のCFPを算定し、報告するための要件がまとめられているISO14067やGHG Protocol product standardなどの国際的な基準における規定の解説を示すとともに、これらで明確にされていない部分について取り組みの方針が示されています。これから算定を進めていきたいと考えている企業は、このガイドラインにより算定の全体像をつかむことができます。
ガイドラインによると、取り組みは以下の4つのステップに整理できます。

① 算定方針の検討
まず、CFPの取り組みの目的や用途を明確にします。最初に目的を明確にする理由は、目的に応じた客観性や正確性の程度を判断する必要があるためです。特に、商品が他社製品と比較されることが想定される場合、参照する算定ルールを統一する必要があります。参照するルールとしてはISO14067やカーボンフットプリントガイドラインなどがありますが、自社の状況に合ったものを選択することが望ましいとされています。

▼CFPで満たすべき要件

満たすべき要件.png

出典:経済産業省・環境省

▼STEP1 算定方法の検討

STEP1.png

出典:経済産業省・環境省

② 算定範囲の設定
次にCFPの算定範囲を設定します。基本的に算定単位は「機能単位」で定義しなければならないとされています。機能単位とは、どの程度の性能や効用を得るために、どの程度のGHGが排出されるのかということを示すものです。算定範囲を設定後、対象とするライフサイクルのプロセスや、データの収集期間、除外するプロセスなどを設定していきます。対象とするライフサイクルは最終製品であれば原材料調達から廃棄・リサイクルまで、中間製品であれば原材料調達から製造までが基本となっています。

▼STEP2 算定範囲の設定

STEP2.png

出典:経済産業省・環境省

③ CFPの算定
CFPは算定範囲となるライフサイクルにわたって、対象となる活動量を分析し、その活動から生じたGHG排出量を計算します。計算の際のデータは原則として、全て自社で取得した1次データを収集する必要があり、1次データの収集が難しい場合も可能な限り客観性と正確性の高いデータを使用することが求められます。

▼STEP3 CFPの算定

STEP3.png

出典:経済産業省・環境省

④ 検証・報告
CFPの算定後はデータの信頼性を担保するため、内部検証や第三者検証を実施することが望ましいとされていますが、これらはかかるコストと効果が異なるので目的に応じて適切な方法で検証を行うことが求められます。検証後、結果をCFP算定報告書に取りまとめますが、その際には参照したルールで定められる規定を満たしていることが証明できるよう、透明性を担保し、十分詳細に説明することが重要です。

▼STEP4 検証・報告

STEP4.png

出典:経済産業省・環境省

CFPに関する企業の取り組み事例

ここまでCFPの取り組み方についてご説明していきましたが、環境省が実施する「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参加した企業の取り組み事例を2つご紹介します。

1つ目は株式会社ユナイテッドアローズの取り組みです。同社は自社ブランドのCFPを算定し、ライフサイクル全体におけるCO2排出量の削減策を検討しています。この削減策を導入するとCO2排出量は10.6kgから7.8kgにまで削減できることが試算されています。また、店頭やECサイトにてCFPの算定結果などを掲載し、顧客に向けて取り組みを意欲的に周知することで企業ブランディングも推進しています。

2つ目は東京吉岡株式会社の取り組みです。同社は輸送の際に商品を包むポリエチレン袋を、再度袋に戻すリサイクルの取り組みを進めています。この取り組みの中で使い捨ての場合と、リサイクルをした場合のCFPの算定結果を比較した結果、GHG排出量を約73%削減できることを報告しています。調達と廃棄・リサイクルのプロセスでGHG排出量を抑えることができ、scope3の大幅な削減が期待されています。

最後に

本記事ではCFPの目的と取り組み方、そして企業事例について説明いたしました。脱炭素に関するイニシアチブ対応や情報開示が進む一方、今後は消費者やユーザーが脱炭素に貢献する製品やサービスを選択できる社会を実現するため、製品のカーボンニュートラル化が注目されています。自社の製品やサービスのライフサイクルでどれだけの環境負荷があるのかを把握し、適切に対策を進めることで顧客に選ばれる製品・サービス提供につながることに加え、環境負荷が低い製品の展開は新たな層の顧客との関係性を作るきっかけともなります。CFPの算定は容易ではなく、業務負担の大きさが課題とされていますが、気候変動の影響について「見える化」させることは、カーボンニュートラル化に向けた取り組みを大きく前進させるでしょう。

関連情報
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執筆者情報(執筆時点)

梅木 菜々子(うめき ななこ)
アミタ株式会社
社会デザイングループ 共創デザインチーム

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