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知らないと怖い!「混合廃棄物と総体物」、付着、一体不可分の廃棄物の扱い【後編】 初心者向けBUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Some rights reserved by _-0-_.jpg前回は、いくつかの通知を元に、総体・混合物の考え方を整理しました。
今回は、実際の事例をもとにどのように判断すればいいか、その考え方をまとめます。廃棄物処理法違反のリスクにつながる、よくご質問をいただくテーマですので、しっかり確認しておきましょう。

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「混合」と「総体」の基準を悪用した例

前回の記事でご紹介したように、混合物と総体の判断基準として、5%以上の比率での混在なら「混合物」、5%未満の混在なら「総体として95%以上の物」と通知で示されていました。こんなに分かり易い判断基準はなかったのですが、これを悪用する者が登場してしまったんです。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律解釈上の疑義について
平成4年9月18日 生衛第901号 佐賀県保健環境部長照会

(1)(前略)穴の中に、廃油付着のドラム缶及び前処理した廃油混じりの土砂を入れ(埋め立て)、覆土をせず、その上に同様に前処理した廃油混じりの土砂を野積みの状態にしていた行為は、(中略)不法投棄に該当するか。

(2)(1)の場合、廃油混じり土砂の廃油及びドラム缶付着の廃油の油分が5パーセント未満である場合はどうか。
〔昭和51年11月18日 環水企第181号・環産第17号通知(油分を含むでい状物の取扱いについて)との関係はどうか。〕

佐賀県の悪徳業者が、廃油と土砂を混ぜて、不法投棄をしたんですね。この業者、相当「勉強」していたらしく、次のような抗弁(言い訳)をしたようなんです。

「国(当時は厚生省)は、5%以上で混在していたらそれぞれ異なる廃棄物種類であるパーツごとの「混合物」、5%未満の混在なら95%以上の物の「総体」として扱うと言っている。また、自然、天然の土砂は廃棄物処理法の対象外である。そうであれば土砂が95%以上占める場合、全体として「土砂」、総体として「土砂」。すなわち「総体として」廃棄物処理法の対象外、となるはずだ。」

当然こんな詭弁を許せるはずがありませんので、この疑義照会に対して国は次のように回答しました。

平成4年10月15日 衛産第69号佐賀県保健環境部長宛 厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長回答

2 (2)について
(この)通知「油分を含むでい状物の取扱いについて」は、油分を含むでい状物(以下「油でい」という。)について、油でいが排出された時点における廃棄物の処理及び清掃に関する法律上の取扱いを示したものであり、廃油に土砂を混合させることにより生じた混合物の油分が5パーセント未満になったものを土砂として取扱うこととしたものではない。

したがって、廃油に土砂を混合したもの及び廃油が付着したドラム缶について(1)の行為を行った場合、当該行為は不法投棄に該当する。

せっかく、良心的な排出事業者の疑問・お悩みに答えるために出した通知だったのに、それを悪徳業者が悪用したことにより、再び明確な基準・目安は無くなってしまいました。

この事件以降、国(旧厚生省、環境省)は明確な混在比率を公式に通知していません。そのため、現在の実際の運用は自治体によって微妙な違いがあります。

「混合」「総体」どのように考えればいいか

自治体の解釈によるため、なかなか統一的なことは申し上げにくいのですが、次のようなことかと思われます。

  1. 大原則は「容易に分別可能な物は極力分別して排出する」。
  2. 基本は「構成しているパーツ、パーツで考える」。すなわち「混在物」として2つ、3つの廃棄物の組合せとして取り扱う。
  3. それ以降の廃棄物の処理に支障がない「物」が「わずかに付着している」程度のものであれば、大多数の物の「総体物」として判断される。

混在ではなく総体物として判断される廃棄物について、いくつか例を挙げましょう。

  • 木造家屋の解体で排出され、焼却炉に投入される「木くず」に、わずかに釘が刺さっている。これを目くじら立てて「木くずと金属くずの混在物」とはせずに「総体木くず」として扱う。
  • 通常の事業所から「セロハンの窓付きの紙封筒」が排出された時は、多くの市町村では「セロハンは廃プラスチック類だから産業廃棄物。セロハンをはがしてからでないとクリーンセンターでは引き取らない」などと些細(野暮?)なことは言わずに「付着程度」の「総体紙くず」として「一般廃棄物」「みなし一般廃棄物」として受け入れられる。
  • ジュースを飲んだ容器(ペットボトル、瓶、缶)にわずかにジュースが残っていたとしても、ジュースに注目して「廃酸、廃アルカリの許可も取れ」とは言わない。
  • 作業着を廃棄するときに、油汚れが付いているからと言って「廃油」の許可までは要求しない。

これらの例からも分かるように、いわゆる「付着」程度なら「総体」として扱うことが一般的です。

しかしながら、混在比率が「微量」だからと言って、全て「総体物」として扱われるかと言えば、そうではありません。
典型的な「物」は有害物です。例えば人体に有害なトリクロロエチレンやカドミウムなどは、汚泥や廃酸にパーセント未満で混入している場合でも、それは「トリクロロエチレンを含んだ汚泥」「カドミウムを含んだ廃酸」のような判断をすることになります。
前述の「セロハンの窓付きの紙封筒」でも、紙くずのリサイクルを実施している市町村によっては、リサイクルに支障が出るとして、厳密に分別を呼びかけている自治体もあります。

せっかく、ここまでお読みいただいた皆さまには恐縮なのですが、結局このテーマには「特効薬」的、統一理論はありません。生活環境保全上の支障の度合いや社会通念に照らして、ケースバイケースで判断していくしかない課題です。もし、判断に迷うような「物」があるときは、地元の行政窓口に相談してみて下さい。

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執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社
特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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