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下取りとは?よくある疑問を解説佐藤泉先生の「廃棄物処理法・環境法はこう読む!」

Some_rights_reserved_by_Brett_Jordan.jpg下取りをする場合、廃棄物処理業の許可が不要であると言われていますが、どこまでが廃棄物の「下取り」と言えるのでしょうか。また、無許可営業に問われるリスクはあるのでしょうか。解釈が難しい、下取りについて解説します。

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Some rights reserved by Brett Jordan

参考情報
廃棄物管理の業務改善に関しては「廃棄物管理の業務改善「業務効率化」「コンプライアンス向上」「脱属人化」を目指す」をご覧ください。

廃棄物処理法の規定について

廃棄物処理法には、廃棄物処理業の許可が不要な場合が定められていますが、この中に下取りの規定はありません。したがって、廃棄物処理法の他の規定等が使えるかを、考えてみる必要があります。

まず、対象物が廃棄物に該当しない場合には、その運搬や利用について、廃棄物処理業の許可は不要です。廃棄物に該当するかどうかは、その物の性状、価値等を総合的に判断する必要があるので、具体的な状況から慎重に検討します。

次に、排出事業者が自ら運搬又は処分する場合、及び対象物が、専ら物に該当する場合には、対象物が一般廃棄物であっても、産業廃棄物であっても、その運搬や利用について廃棄物処理業の許可は不要です(廃棄物処理法第7条第1項但書、同条第6項但書、同法第14条第1項但書、同条第6項但書)。

環境省の通知について

環境省は、過去において繰り返し「下取りについては収集運搬の許可が不要である」との通知を出しています。この通知では、有価物や専ら物に限定する記載は特にありません。
まず、昭和54年11月26日付け環整128・環産42号(旧厚生省)「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について」では以下のように記載されています。

「問29 いわゆる下取り行為には収集運搬業の許可が必要か。

 答 新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済のものを無償で引取り、収集運搬する下取り行為については、収集運搬業の許可は不要である。」

最近では、平成25年3月29日付け環廃産発第13032910号「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」の第1、14(2)では以下のように記載されています。

「(2) 新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。」

下取りの可能な範囲をどう判断するか

環境省の通知は、非常に漠然としています。そこでこの趣旨を読み解くことが重要になります。
通知から読み取れる解釈のポイントは、以下の5点です。

▼解釈のポイント

  1. 新しい製品を販売する際に行われること
  2. 商習慣として行われること
  3. 同種の製品で使用済みのものを対象とすること
  4. 無償での引取りが行われること
  5. 収集運搬がなされること

上記のすべてに該当すれば、下取り、いずれか一つでも当てはまらない場合は、下取りとは見なされない(処理業の許可が必要)と考えられる可能性があります。しかし、通知は、性格上、法律と異なり、要件定義はあいまいです。許可不要の条件というよりも、社会通念上許容されている範囲はどこまでかという観点から常識的に解釈することが、重要だと思います。

1.「新しい製品を販売する際」の趣旨/解釈
通知では、新しい製品を販売する際、という限定をしています。これは、新商品の販売の際に、販売業者が不要となる使用済み製品を引き取るというサービスが、社会に定着していることを配慮した記載だと思われます。不用品回収業のように、商品を販売しないで、使用済み製品を引き取るというケースは対象外という趣旨でしょう。

2.「商習慣」の趣旨/解釈
商習慣とは何でしょうか。ビジネス活動であること、さらに一回だけではなく販売業者として反復継続した取り組みであることを示していると考えられます。

つまり、その場の思い付きで使用済みのものを引き取るケースや、元の所有者が、下取りをしなければ買わないぞ、といって無理やり押し付けるようなことは許されません。

3.「同種の製品」の趣旨/解釈
同種の製品はどこまで厳密に考えるべきなのでしょうか。一般的には他社製品でもよい、また機能的に同一であればよいと解釈されているようです。

例えば、テレビの買替えでは、新しい商品にはテレビだけではなくビデオの機能も付いているかもしれません。デスクトップのパソコンをノートパソコンに買い替える場合もあるでしょう。ケーブルなどの付属品も不要となるかもしれません。拡大解釈すると、不用品回収業者のようになってしまいますから、あくまで常識的な買い替えの範囲に限定すべきです。

4.「無償の引取り」の趣旨/解釈
無償であることは重要なポイントです。販売者が廃棄物の処理料金を要求することは、廃棄物処理業を営んでいることになるので、販売業者の通常のビジネスとは言えないでしょう。

5.「収集運搬する」の趣旨/解釈
下取りについては、使用済みの商品を持って帰るという行為が伴います。これらについて「販売者が自社の車で持ち帰る場合のみが下取りである」と限定した解釈もあり得ます。

ただし、実際はどうでしょうか。現在の販売活動では、販売業者が自分の車で配達するという行為はほとんどありません。デパート、家電量販店、家具店、インターネット等で商品を購入する場合、運送業者が実際の配達を行うことがほとんどでしょう。つまり、販売業者は、商品を届けるという行為について、運送業者を売買契約の履行補助者として使っています。したがって、配達した運送業者が、帰り便等を利用して使用済み商品を持って帰るという場合には、販売活動の一環であり、販売業者の履行補助者としての延長上にあるのではないかと思います。したがって、販売業者が、運送業者を履行補助者として下取りを行うことは、下取り通知が認める下取りの範囲内であると私は考えています。ここは解釈が分かれるところかもしれません。

下取りは、法的な位置づけははっきりしませんが、サプライチェーンを利用した廃棄物の排出抑制、リユース・リサイクルの推進には大きな効果があります。適切に運用することは、循環型社会の形成に役立ち、企業のCSRにもつながると思います。

まとめ
  • 下取りについては、廃棄物処理法の規定ではなく、通知にて定められている。
  • 解釈のポイントは下記の5点である。

1.新しい製品を販売する際に行われること
2.商習慣として行われること
3.同種の製品で使用済みのものを対象とすること
4.無償での引取りが行われること
5.収集運搬がなされること

  • 下取りは、法的な位置づけが難しい部分もあるが、適切に運用することで廃棄物の排出抑制やリサイクルの推進につながる。

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執筆者プロフィール

佐藤 泉(さとう いずみ)氏
佐藤泉法律事務所 弁護士

環境関連法を主な専門とする。特に、企業の廃棄物処理法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等に関連したコンプライアンス体制の構築、紛争の予防及び解決、契約書作成の支援等を実施。著書は「廃棄物処理法重点整理」(TAC出版)など

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