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専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(通知)をどう読むか~専ら物の半世紀を振り返る~佐藤泉先生の「廃棄物処理法・環境法はこう読む!」

Image by Pexels from Pixabay.png 令和5年2月3日に、専ら物に関する新しい通知がありました。昭和46年の廃棄物処理法施行時から現在に至るまで、専ら物の扱いに関してはいくつかの判断・解釈があります。10分で振り返ってみましょう。

目次
  1. 令和5年、新通知の意味
  2. 昭和46年、廃棄物処理法施行当時の通知
  3. 平成3年、再生事業者登録制度の新設
  4. 平成21年、店頭回収への展開
  5. 裁判例
  6. 専ら物をめぐる今後の解釈
1.令和5年、新通知の意味

 今回の「専ら物」に関する新通知(環循適発第2302031号、環循規発第2302031号 令和5年2月3日)の内容は、以下のとおりです。

専ら再生利用の目的となる一般廃棄物又は産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分(以下「処分等」という。)を業として行う者については、その業を行うに当たって廃棄物処理業の許可は要しないとされている(法第7条第1項ただし書及び第6項ただし書並びに及び第14条第1項ただし書及び第6項ただし書)。また、事業者が、その一般廃棄物又は産業廃棄物の処分等を他人に委託する場合には、これらの者に委託できるとされており(法第6条の2第6項及び第12条第5項)、この場合には、産業廃棄物管理票の交付を要しないとされている(法第12条の3第1項)。
このことは、専ら再生利用の目的となる廃棄物以外の廃棄物の処分等を主たる業として行っている者であっても同様であり、当該専ら再生利用の目的となる廃棄物の処分等については、廃棄物処理業の許可は要しない。ただし、専ら再生利用の目的となる廃棄物であっても、それが再生利用されないと認められる場合には当該許可が必要であることに留意されたい。
なお、法に定められた規制を越える要綱等による運用については、必要な見直しを行うことにより適切に対応されたい旨「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について」(平成9年12月26日付け衛環318号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)において周知しているが、専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについても上記の法の内容を踏まえ、適切な運用に努められたい。

参考:専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(環境省)

上記通知の第2段落は、一般廃棄物処理業者及び産業廃棄物処理業者は許可の品目に紙くず・繊維くず等がなくても、専ら物の収集運搬・処分を無許可で扱うことができることを明らかにしています。一方で、専ら物であっても再生利用されない場合には、廃棄物処理業の許可が必要だとしています。また、上記通知の第3段落では、自治体の行き過ぎた規制は自粛して欲しいとの意見が付されてます。

この通知の背景として、一部の自治体では一般廃棄物処理業者及び産業廃棄物処理業者に対して、専ら物の取扱いを禁止する運用が行われていました。また、廃棄物処理業者が専ら物を扱う場合には、処理料金を徴収してはいけないという行政指導もあったようです。このような自治体の運用は、専ら物の無許可制度は古紙などの専業業者に限定されるという、従来の通知を踏襲した扱いだと考えられます。

しかし、事務所から排出される段ボールや雑誌・新聞などを、産廃や一廃の収集運搬のついでに回収することは効率的です。また、再生資源であっても運送費は必要であり、処理料金を徴収せざるを得ません。資源として転売する場合には、一旦保管して、ある程度量が溜まってから売買することが通常です。せっかく専ら物の制度があるのに、廃棄物処理業者が資源物回収をできないとして、苦情が寄せられていたという実態があると思われます。その意味で、新通知は廃棄物処理業者の救済措置でしょう。

2.昭和46年、廃棄物処理法施行当時の通知

 専ら物の特例は、廃棄物処理法が制定された昭和45年から現在まで一度も改正されていません。当初の通知(昭和46年10月16日環整第43号)は、この制度について次のように記載しています。

産業廃棄物の処理業者であっても、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すなわち古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維を専門に扱っている既存の回収業者等は、許可の対象とならないものであること。

参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について(環境省)

この通知には、以下の特徴があります。
まず「一般廃棄物の専ら物」について何も触れていません。次に「専門に扱っている既存の回収業者等」とは誰なのか。法律の解釈として「専業者」「既存業者」に無許可という特権を与える制度は、憲法上の営業の自由に反します。日本国民は、誰でも自由に仕事を選択できます。許可が必要とされる領域には、許可を取得することが必要です。しかし許可が必要でない領域に参入障壁はないはずです。

さらに「古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維」という産業廃棄物の種類が特定されています。しかし、産業廃棄物の種類は「紙くず」「金属くず」「ガラスくず」「繊維くず」です 。古紙と紙くずは同じなのか。この微妙なずれが、気になります。

3.平成3年、再生事業者登録制度の新設

 平成3年の廃棄物処理法改正により、法の目的に「廃棄物の排出抑制」が加わり、市町村は区域内全域に一般廃棄物処理計画を定めること、その柱として一般廃棄物の減量化、再生利用を位置づけることが必要とされました。廃棄物処理法が循環型社会に適合するように変容する、大きな転機が訪れたのです。

この改正に伴い、廃棄物再生事業者登録制度(法20条の2)が新設され、廃棄物の再生を業として営んでいる者は、一定の基準を満たす場合に都道府県の登録を受けて「登録廃棄物再生事業者」と名乗ることができるようになりました。そして、市町村は、この登録業者に一般廃棄物の再生に関して必要な協力を求めることができるようになったのです。

この改正は、廃棄物の削減と資源循環促進の観点から、専ら物を扱う事業者の優良化と認知度の向上、排出事業者及び市町村との連携強化を図ったものと評価できます。しかし、再生事業者とは誰なのか 、対象物は何か、許可制度との関係はどうなのか、不透明な状況は維持されたままでした。

4.平成21年、店頭回収への展開

 廃棄物削減に向けた意識の高まりにより、特に繊維製品の店頭回収が広がるようになりました。しかし、小売店は資源の再生を事業としているわけではありません。そこで、内閣府主導の規制改革会議は、平成21年3月31日閣議決定で、以下のような法解釈を示しました。

複数の企業が環境への取組として、衣料製品を始めとする古繊維のリサイクルのために店頭回収を試みている。しかし、回収した古繊維の取扱について地方公共団体の見解にばらつきがあるため、全国展開できないという問題が発生しており、古繊維の回収が進まないという指摘がある。したがって、古繊維は、廃棄物処理法に定めのある「専ら再生利用の目的となる廃棄物(いわゆる専ら物)に当たる場合、収集運搬及び処分業の許可は不要であり、例えば衣類の販売等、ほかの業を主として行っていても、同様に業の許可は不要であることを周知する。

参考:規制改革推進のための3か年計画(内閣府)

この解釈は、衣料製品の店頭回収の可能性を広げています。また、専ら物の例外は既存の専業者に限られるという点を覆したことは、重要です。 ただし「衣料製品は、古繊維か」「古繊維は専ら物か」という疑問には"そうとも考えられる "という程度で明確には答えていません。

5.裁判例

 専ら物の範囲が法律上不明確であることから、不適正処理や無許可営業が問われた複数の裁判事案で、被告人から「これは専ら物だから、無許可で収集運搬・処分しても適法だ」という反論が繰り返されてきました。私が調査した限りでは、裁判所が対象物を専ら物と認定して、無罪とした事例はありませんでした。刑事事案は、現場が不法投棄に近い状態が多いからでしょう。
ちなみに昭和56年1月17日最高裁判所第二小法廷判決では、専ら物について以下のように判断しています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律一四条一項ただし書にいう「もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」とは、その物の性質及び技術水準等に照らし再生利用されるのが通常である産業廃棄物をいうと解するのが相当である。

この事案で、被告人は1540トンの廃タイヤを収集して、複数の場所に野積みしていました。したがって、専ら物という主張自体、無理があったと思います。しかし、裁判所は専ら物を四品目に限定するという解釈は採用していません。最高裁は、廃棄物の定義について、客観的要素と主観的要素を総合的に考える総合判断説を採用しています。しかし、専ら物の定義については、その性質及び技術水準等を重視しており、客観説に近いと思います。なお、専ら物は廃棄物であり、有償売却の事実は必要ありません。

6.専ら物をめぐる今後の解釈

 今回の新通知では、専ら物を四品目に限定していません。しかし、環境省の意図として専ら物を四品目以外に拡大するという趣旨ではないと考えられます。

専ら物の拡大は、廃棄物処理法の根幹である、一般廃棄物・産業廃棄物の区分、処理業の許可制度、積替え保管の制限、マニフェスト制度、再委託禁止などの規制を骨抜きにする危険があります。したがって、環境省及び自治体は簡単に容認することはできないと思います。

しかし、少量の資源を回収して売却することは、循環型社会にとって必要なビジネスモデルです。静脈産業と動脈産業の連携を活性化させるために、専ら物の制度をどう活用するか。

今回の新通知は、新たな課題を浮き彫りにしていると思います。

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執筆者プロフィール

佐藤 泉(さとう いずみ)氏
佐藤泉法律事務所 弁護士

環境関連法を主な専門とする。特に、企業の廃棄物処理法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等に関連したコンプライアンス体制の構築、紛争の予防及び解決、契約書作成の支援等を実施。著書は「廃棄物処理法重点整理」(TAC出版)など

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