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「廃棄物」の定義とは、またそれに関わる総合判断説とは何ですか?

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廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法)において、廃棄物とは「汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)」と定義されています(※参照1)。ただしそれだけでは廃棄物該当性の判断は難しいため、現在は総合判断説という考えが使用されています。今回は「廃棄物とは何か」というテーマに関して、2つのポイントをご紹介します。

(※参照1) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条1項

1:廃棄物は固形状又は液状のものであるー気体は廃棄物ではない

廃棄物とは「固形状又は液状のもの」であるため、工場から発生する排気ガスやCO2などの温室効果ガスなどは廃棄物ではありません。ただし、廃掃法以外の法律(地球温暖化対策推進法、大気汚染防止法、フロン回収破壊法など)の規制対象となりますので注意が必要です。

2:廃棄物は汚物又は不要物であるー総合判断説を使用して考える

昭和45年に制定された廃掃法の中で、廃棄物とは「汚物又は不要物」であると定義されました。しかし、ある「もの」が「汚物又は不要物」か否かを判断することはとても難しいことです。そのため、昭和52年に法の改正が行われ、廃棄物に該当するか否かは、「占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきもの」とされました。(※参照2)この総合的に勘案すべきという考えは、通常「総合判断説」と呼ばれるもので、廃棄物該当性を考える際の大事な判断基準となっています。

またどのような点について総合的に考えればよいのか、行政処分の指針について記載された通知では、以下の5つを勘案すべき要素として示しています(※参照3)。

総合判断説 5つの要素まとめ

  1. 物の性状:利用できる品質であり、生活環境保全上支障が発生する恐れがないこと
  2. 排出状況:排出が計画的で、排出までに適切な保管や品質管理がなされていること
  3. 通常取扱い形態:製品としての市場があり、通常は廃棄物として処理されていないこと
  4. 取引価値の有無:有償譲渡がされており、かつ客観的に見て取引に経済的合理性があること
  5. 占有者の意思:適切に利用もしくは他人に有償譲渡する意思があり、放置・処分する意思がないこと

(※参照2) 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について」(昭和52年3月26日環計37号)
(※参照3) 通知「行政処分の指針について」(平成25年3月29日環廃産発第1303299号)

総合判断説が使われた判例

例えば、おからの廃棄物該当性が争点となった裁判があります。産業廃棄物処分業の許可を取得していない会社が、「おから」について処理料金を得て収集運搬し飼料を作っていたことで、無許可営業の罪で起訴された事例です。

当該企業は、「おから」の処理に関しては飼料および肥料を製造したものであって、廃掃法に定める「不要物」には該当せず無許可営業には当たらないと主張しました。しかし、最高裁判所はおからが非常に腐敗しやすいこと、世間一般では大部分が無償または処理費の支払いを受けて引き取られていること、争点となる事案についても処理費用を徴収して処理を行っていることなどを踏まえ、本件事案については「おから」は産業廃棄物であると判断しました。これらは総合判断説を使用して、判決がくだされています(※参照4)。

(※参照4) 判例:最高裁判所第二小法廷決定(平成11年3月10日) リンク先:裁判所ウェブサイト

その他にも、排出事業者が処理費を払っていても取引価値があると判断された判例が存在します。

最後に

法律上の廃棄物に該当する場合、廃掃法にしたがって適切に対応する必要があります。適切な対応を怠ると、罰則等の処罰を受ける可能性もありますので、皆さんの職場から排出されるものが「廃棄物であるか、廃棄物でないか」は重要なポイントと言えます。いざという際に慌てないように改めて法令を見直し、日頃から最新情報を入手できるように注意しましょう。

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執筆者プロフィール

ishida.jpg石田 みずき (いしだ みずき)
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループ マーケティングチーム

京都府出身。滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。大学時代は、一般廃棄物の分別に関する研究を行い、「この世に無駄なものはない」というアミタの理念に共感する。現在は、マーケティングチームにて、非対面の営業・セミナー企画・ウェブサイトの運営などを担当。

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