ESG経営とは?~企業価値を高めるためのポイント、メリット、事例を解説~ | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
「おしえて!アミタさん」は、未来のサステナビリティ経営・まちづくりに役立つ情報ポータルサイトです。
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

Q&A

ESG経営とは?~企業価値を高めるためのポイント、メリット、事例を解説~

Image_by_Gerd_Altmann_from_Pixabay

近年、世界中で注目されている「ESG経営」。なぜ企業がESG経営に取り組むのか、社会的背景を踏まえた本質的な理由から深掘りし、メリットから導入のポイントまで解説します。

目次

ESG経営とは

ESG経営とは、気候変動問題や労働問題など世界的な社会課題が顕在化している中、企業が長期的な成長をしていくために「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の要素を考慮した経営のことを指します。

ESGとSDGsの違い

SDGs(持続可能な開発目標)は2015年の国連総会で採択され、持続可能な世界を実現するために、共通の目標やターゲットを定めた2030年までの国際目標です。

一方、ESGは2006年に国連が「責任投資原則(PRI)」を提唱したことをきっかけに、新たな「投資判断=企業の長期的な存続を評価するための指標」として注目し始めました。機関投資家の間で、ESGの観点が薄い企業はリスクを抱えた企業であり、長期的な成長ができない企業だという認識が急速に広がってきています。

その他、ESG、SDGs、CSV、CSRの違いは「いまさら聞けないESG」をご参照ください。

ESG経営が重要視される社会的背景

現代社会はIT革命や環境制約、経済のグローバル化などのメガ・トレンドが絡み合い、不確実性が高く未来が予測しにくいVUCAの時代になり、企業の持続性が一層厳しく問われるようになりました。

※VUCA<ブーカ>とは、「Volatility」(変動性)「Uncertainty」(不確実性)「Complexity」(複雑性)「Ambiguity」(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。

そのため、企業は中長期的なリスクと機会へ対応する必要が出てきました。そこで注目されたのがESG経営です。

▼持続可能な企業の条件

sustainability2.png

出典:アミタ株式会社

企業が「なぜ」ESG経営に取り組むのか。単に世の中や投資家から注目されているからと形式的に取り組んでしまうと企業の持続性が低下してしまう恐れがあります。

ESG経営のメリット

ESG経営に戦略的に取り組むことで期待できる効果についてまとめました。

  • 意識の改革
    長期ビジョンの策定、シナリオ分析などを通じて「現在の延長線上に想定される未来」が必ず訪れるという思い込みを取り払うことができる。

  • 新しい考え方・手法が社内で受容されうる土壌づくり
    バックキャスティングなどの手法で高い目標を立てることがイノベーションを促進し、これまで社内になかった新しい考え方・手法を取り入れる契機となる。

  • サステナビリティの必要条件の強化
    SDGsを意識し社会課題の解決を本業と結び付けることによって、過去の社会には存在しなかった新しいビジネスチャンスを獲得することが可能になる。

  • ESG投資の獲得
    年々規模が拡大するESG市場の投資を呼び込むことで、企業は持続可能な経営と長期的成長が期待でき、優秀な人材の確保や社内外のステークホルダーとの関係性強化につながる。また機能的価値を提供する企業から、社会的価値を提供する企業へと、その存在意義をシフトすることができる。

ESG経営における課題とは 
  • 長期的な取り組みが必要
    ESG経営自体が、企業による社会貢献という長期目標であるため、施策に対する成果が得られるまで十分な時間を要するという点も課題といえます。
    成果を可視化する方法としては、ESGのうち組織内部の課題解決となる「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の施策を重点的に推進するといった方法が有効です。

  • 明確な定義や指標がない
    ESG経営という言葉の歴史はまだ浅く、明確な定義や価値判断を実施するための指標などもないのが実情です。
    そういったことから、ESG経営の取り組み度合いや効果を判断することも難しく課題点はまだまだあるといえます。

アミタの見える化サービスでは、ESG経営における組織の現状を客観的に評価し、移行に伴うリスク&機会調査・診断報告書、及び今後のロードマップの策定を支援しております。

ESG経営の企業事例

多くの企業がESG経営を取り入れ始めています。では、実際にどのような取り組みや対応をしているのでしょうか。日本の企業事例をご紹介します。

  • AGC株式会社
    AGCでは、2021年1月に「サステナビリティ委員会」を設置しています。環境や社会をはじめ、サステナビリティに関する取り組みを加速するために2005年から発足していたCSR委員会を発展させた形となります。AGCは2050年までにカーボン・ネットゼロを目指して、サステナビリティに取り組んでおり、具体的には、温室効果ガス排出量削減のためにガラス溶解工程において使用する重油をCO2排出量がより少ない天然ガスへ移行させるほか、独自の技術で建物のエネルギー効率に貢献する複層ガラスの開発なども挙げています。また、サプライチェーンの中での取り組みとして、ガラス輸送にかかるCO2を削減するためにIoTを導入た輸送計画を立てることで、輸送効率の向上を図っています。

  • 花王株式会社
    花王はESG戦略として「Kirei Lifestyle Plan」を掲げて、花王のESGビジョンとそのビジョンに対してどのようなアクションを起こすのかということを表しています。2021年5月に発行された花王サステナビリティデータブックには、重点取り組みテーマの選定プロセスが具体的に記載されており、ESG戦略を描くうえでの参考にできるのではないでしょうか。特徴的なのは、78に絞った重要テーマを社外のステークホルダーや社員に評価してもらうという方法です。実行の前段階から消費者やサプライヤー、株主など社外を巻き込むことでESG戦略がその企業だけのものではなく、関係者のものになり得ます。また、ESGの推進における組織とその役割も明確に提示されています。社長執行役員が委員長を務めるESG委員会、ESG担当部門の責任者が委員長を務めるESG推進会議、社外有識者が委員長を務めるESG外部アドバイザリーボードなどESGを継続していくための組織体制が築かれています。
ESG経営における情報開示の重要性とは

ESG投資では、財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)といった非財務情報を重視し、投資先企業を選定します。そのため、企業の社会的価値を可視化するものとして非財務情報の開示は重要視されています。

また、非財務情報の可視化を目的とし、設立されたものとしてTCFDやTNFDがあります。
TCFDは主にバリューチェーン(価値連鎖網=モノと仕事の流れ)全体における自然関連の情報開示でTNFDは主にサプライチェーンにおけるCO2発生量と管理に係る情報開示のことです。
どちらも企業が社会的、環境的リスクを明確にすることを促し、信頼性の確保へ寄与しています。

これにより、投資家やその他のステークホルダーは、企業のサステナビリティに対する取り組みを評価し、意思決定に反映させることができます。
社会的評価の獲得や企業価値の向上ということから、ESG経営における情報開示は重要性が高いことといえるでしょう。

ESG投資に効果的なESG経営のポイントとは

ESG投資の浸透に伴い、企業がESG経営について情報開示を進めることは、企業そのものの価値向上や資金調達に効果的に働くと考えられます。ここではESG投資の概要と、ESG投資を見越したESG経営を行うにあたってのポイントをご紹介いたします。

  • ESG投資とは
    ESG投資とは、ESGの要素を投資に反映させたもので、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)といった非財務情報も考慮した投資のことです。
    経済産業省では、「特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています」と定義しています。

ESG投資がさかんになったきっかけとしては、2015年9月、日本国民の年金を管理・運用する機関である年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)が、「ESG に配慮した責任投資を行うこと」を宣言した「PRI(国連責任投資原則)」に署名したことがあげられます。

  • ESG投資に対して企業が取り組むべきESG経営のポイントは?

    投資家がESG投資を行う際用いるベンチマークとしては、以下のようなものがあります。
    ・DJSI(Dow Jones Sustainability Index)
    ・CDP(Carbon Disclosure Project)
    ・TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)

    特にCDPについては、支部が東京にあり、導入する日本企業も増加してきております。
    そういった指標を踏まえ、グローバルで重視されている視点としては、以下の3点と考えられます。

    ①長期的なビジョン・目標を打ち出しているか
    ・ 環境制約が本業にどういう影響をおよぼすのか、客観的な視点でリスク分析を行っていること
    ・ リスクをマネジメントしていくための戦略、および適切な指標・目標を設けていること

    ②ライフサイクル全体で排出削減に取り組んでいるか
    ・ 自社の上流・下流(スコープ3)の排出量を見える化し、削減に取り組むこと
    ・ 削減を進めるにあたり、サプライヤー企業やエネルギー供給事業者等との対話、協働を積極的に行うこと

    ③再エネ活用および普及に積極的であるか
    ・ 自社で再エネ利用を促進することのみならずステークホルダー(サプライチェーン全体)に働きかけていること

ESG経営において、上記ポイントを押さえ、明確な情報開示を実施することで、企業価値の向上、効果的な資金調達へつながるでしょう。

ESG経営におけるESG評価(ESGスコア)とは
  • ESG評価とは
    対象企業のESGに関する情報を収集し、ESG評価機関が構築した評価基準に従ってスコアリングしたもののことです。
    代表的なものとして、CDP(Customer Data Platform)などがあります。

  • ESG評価誕生の背景
    ESGに関する情報は数値化が難しく、また非財務情報であることから明確な基準や指標がありませんでした。そこで、投資家やステークホルダーが企業を評価する際の材料として、ESG評価機関が外部専門機関として集計、分析しESGスコアとして開示して提供するようになり、ESG評価が誕生いたしました。

  • CDPとは
    CDPとは、2000年に発足したロンドンに本部を置く国際的な非営利団体のこと。
    世界主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価し、これらの結果を機関投資家向けに開示しています。情報開示の項目としては、「気候変動」「フォレスト(森林)」「水セキュリティ」があります。

    CDPとは?よくある疑問に回答!
ESG経営を取り入れるポイント・考え方の注意点

ESG経営の取り組みにおいては「バックキャスティング」や「シナリオ分析」という考え方・手法が重要だとされています。

バックキャスティング 「未来」を起点として、そこから逆算して「今」何をすべきかを考える手法。これと対をなすのが、「フォアキャスティング(forecasting)」思考であり、「現在」の状態から、「未来」に向けて何をすべきかを考える手法となる。
シナリオ分析 事業を取り巻く外部環境要因がどのように変化するかは未来予測が難しいので、複数の条件で予測を立てておき、ある程度幅を持たせて事業計画を立てるという考え・手法。外部環境要因がどのように変化しても着実に「望ましい未来」に向かっていけるように備えておこうという意味を持つ。

一方で「現代社会がVUCAであるということは、複数のシナリオを立てても、そのような未来が本当に訪れるかどうかの可能性は未知数だ」という意見もあります。
しかし、それでもシナリオを立てるメリットはあります。全く予測していなかった未来に対処することと、多少予測が外れていたとしてもある程度予測していた未来に対処することには大きな差があるからです。
世の中の実例としては、TCFD( The FSB Task Force on Climate-related Financial Disclosures 気候変動関連財務情報開示タスクフォース、 以下 TCFD)のシナリオ分析が挙げられます。TCFDにおいても気候変動に関するシナリオ分析の開示が求められていますが、これらは「予測は難しいが、備えるべきである」という上記の考えに基づいています。

※TCFDの詳しい情報はこちらをご参照ください。

また、ESG経営を取り入れる際に、企業の担当者が陥りやすい注意すべき考え方があります。

  1. ESGは追加的に取り組むものではない
    現在、企業価値を評価する「ものさし」が、製品中心の機能的価値(高い性能・コストパフォーマンス)から価値中心の社会的価値(社会課題の解決・豊かなライフスタイル・共感できる魅力的な価値観)へと変化しています。
    ESGやSDGsを軸にし、事業を通じて社会に提供する価値を、機能的価値から社会的価値へと視座を上げていかなければ、未来の顧客の支持は得られません。
  2. 企業にとってESGに取り組むことは目的ではなく手段である。
    ESG経営を通じて「企業文化をアップデート」することで、外部環境に適応するスピードを上げ、生産性を上げることができます。

企業がESG経営に取り組み、競争優位を築いていくには、企業理念→ビジョン策定→計画というトップダウンでの取り組みが必要だと考えます。

事業ビジョンや戦略を策定したい、専門チームの力を借りたい方へ、アミタのビジョン/戦略/計画策定支援では、現状と未来の2軸で外部・内部環境を分析し、事業方針と課題を明確化します。また、方針と課題を基に移行戦略を検討、部署横断のタスクフォース組成や、開発用リソースを確保するための業務代行など、推進体制の整備を行います。

▼ESG経営の構成イメージ

ESGmanegiment1.png

出典:アミタ株式会社

<関連記事>

最後に

広い視野でESG経営を捉え、VUCAな時代に適応できるよう企業体質をアップデートし、本質的な意味での企業価値の向上を実現しましょう!

事業創出プログラム「Cyano Project(シアノプロジェクト)」を提供

「Cyano Project(シアノプロジェクト)」は、企業が「イノベーションのジレンマ」に陥ることなく、時代や社会の変化に合わせて新たな価値を創出し、経営と社会の持続性を高めることを目的とした約3年間の事業創出プログラムです。

cyanoPJ.png

合わせて読みたい

このページの上部へ