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フロン排出抑制法の対象機器は何ですか?また、点検などの義務や罰則について教えてください。

イメージ:業務用エアコン

2015年4月に施行された「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(以下、「フロン排出抑制法」)によって、対象機器の所有者は、機器の点検や漏えい量の報告などが義務付けられています。どのような機器が対象なのか?どのような対応が必要か?気になる対応方法について、一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構(JRECO)の山本氏に解説いただきます。
(ページ下部に、詳細解説セミナー(無料)の情報あり!)

※編集部注記...「填」の表記について、フロン排出抑制法では旧字体にて表記されていますが、本記事では、新字体に統一しています。

法律の対象者と対象機器を教えてください

フロン排出抑制法によって、業務用空調機器及び冷凍冷蔵機器など「第一種特定製品」の所有者は、機器の管理者として点検等の義務があり、また、機器の廃棄時には、「第一種特定製品廃棄等実施者」としての義務が生じます。
(原則は「所有者」が対象ですが、例外として契約書等の書面において、「保守・修繕の債務(法的債務を含む)を所有者以外が負うこと」とされている場合は、請け負った者が管理者となります。例えば、リースによる機器の保守・修繕の責務が、使用者側にあるような場合が挙げられます。)
冷凍冷蔵機器の他、オフィス等の空調機も対象になります。下記の具体例を参考に、この機に対象機器が社内のどこにどれだけあるのか調査を行いましょう。

▼「第一種特定製品」の定義

第一種特定製品...家庭用エアーコンディショナ―(以下、エアコン)、冷蔵庫、カーエアコンを除く、全ての業務用エアコン、冷凍冷蔵装置で冷媒としてフロン類が充填されているもの。

※カーエアコンについては、第二種特定製品として自動車リサイクル法によりフロン類の管理がされている。ただし、車の荷台の冷蔵冷凍機、特殊車両のエアコンは第一種特定製品。
※家庭用エアコンと家庭用冷蔵庫は、家電リサイクル法によりフロン類の管理がされている。それ以外の製品は、第一種特定製品(例えば、冷水機等)。

▼「第一種特定製品」の具体例

名称等 具体例
パッケージエアコン 店舗、工場、事務所に設置されている空調機など
スポットエアコン パッケージエアコンの一種で、室内と室外が別ではなく一体型のもの。
ターボ冷凍機 ビル空調、工業用等比較的大規模の空調。地域冷房、半導体工場などで使用。
チラー(チラーリングユニット) 冷水が循環する一体型ユニット。冷水を必要なところに運んで冷却する。冷凍倉庫、工場のプロセス冷却などで使用。
スクリュー冷凍機 低温用から空調用まで幅広い利用が可能な冷凍機。冷蔵倉庫、冷凍プラントなどで使用。
業務用冷凍庫 レストランやホテルの厨房で使用されるもの。1,000L程度で、4枚開きのものなど。
冷凍冷蔵ユニット スーパーマーケットの集配所やバックヤードに設置されるプレハブ冷蔵庫。
別置型ショーケース スーパーやコンビニで見かける陳列ケース等。大半がこの「別置型ショーケース」に該当する。
内蔵型ショーケース コンデンシングユニットが内蔵されている。卓上型で小型のものが多い。アイスクリームストッカー、牛乳用ショーケースなど。
冷水機 飲料水機など。卓上型と置型がある。
輸送用冷凍冷蔵ユニット 冷凍車の冷凍室の冷却装置など。車のエンジンで圧縮機を回し冷却する。

▼「第一種特定製品」の設置場所の例

具体例
オフィスやビルなどの商業施設(空調機等)
スーパーマーケット・コンビニエンスストア・食料品店・ドラッグストア等の小売店
工業製品の工場や研究施設
食品工場の冷凍倉庫
鉄道・船舶・航空機の交通機関
空調設備を備えたビニールハウス等の施設
役所・学校・病院・イベントホールなどの公共施設
どのような義務がありますか?

「第一種特定製品」の所有者及び管理者(以下、所有者等)には、フロン排出抑制法によって下記の義務が定められています。

▼第一種特定製品の所有者等の義務(フロン排出抑制法 第16~26条より)

  • 第一種特定製品の所有者等は「第一種特定製品の管理者の判断の基準となるべき事項」(下記参照)に基づき、管理する第一種特定製品について点検等を実施する。
  • 所有者等のうち一定以上(二酸化炭素換算で、1,000t以上)フロン類を漏えいさせた者は、算定漏えい量等を国に報告する。

点検について、全ての第一種特定製品は、3カ月に1回以上の頻度で簡易点検を行うことが法によって義務付けられています。ただし、下記の製品については、定期点検が必要となりますので、注意してください。

▼定期点検について

製品区分 圧縮機の定格出力 点検頻度
冷蔵機器及び冷凍機器 7.5kW以上 1年に1回以上
エアコンディショナー 50kW以上 1年に1回以上
7.5kW以上50kW未満 3年に1回以上

▼第一種特定製品の管理者の判断の基準となるべき事項(フロン排出抑制法 第16条)

  1. 機器を適切に設置し、適正な使用環境を維持し、確保すること
  2. 機器を点検すること
  3. 機器からフロンが漏れ出た時に適切に対処すること(繰り返し充填の禁止)
  4. 機器の設備に関して、記録し、保存すること
    ※遵守状況については都道府県知事が監督(指導・助言、勧告、命令)

その他、対象機器の製造メーカーや回収業者にもそれぞれ義務が定められています。使用時だけでなく、製造から廃棄まで、様々な立場の関係者がフロン排出の抑制に取り組むことが求められています。

▼フロン類に関する関係者の義務

対象者 義務の内容
フロンメーカー
(フロン排出抑制法 第9~11条より)
フロン類の製造業者等は、国が定める「フロン類の製造業者等の判断の基準となるべき事項」に従いフロン類代替物質の製造等、フロン類の使用の合理化に取り組む。
製品メーカー
(フロン排出抑制法 第12~15条より)
指定製品の製造業者等は、国が定める「指定製品の製造業者等の判断の基準となるべき事項」に基づき指定製品に使用されるフロン類による環境影響度の低減に取り組む。
第一種フロン類充填回収業者
(フロン排出抑制法 第27~49条より)
第一種特定製品に冷媒としてフロン類を充填、回収することを業として行う者は、「第一種フロン類充填回収業者」として、都道府県知事に登録を受ける必要がある。省令で定められた充填基準・回収基準に従って、充填・回収を行う
第一種フロン類再生業者、フロン類破壊業者
(フロン排出抑制法 第50~73条より)

第一種特定製品に冷媒として充填されているフロン類の再生を業として行う者は「第一種フロン再生業者」として、国(環境大臣及び経済産業大臣)から許可を得る必要がある。

第一種、第二種特定製品に冷媒として充填されているフロン類の破壊を業として行う者は、「フロン類破壊業者」として、国(環境大臣及び経済産業大臣)から許可を得る必要がある。

第一種フロン類再生業者・フロン類破壊業者は、引き取ったフロン類について、省令に定められたフロン類の再生基準・破壊基準に従って再生・破壊を行う

規制強化が迫る!罰則について

罰則については、以下が定められています。さらに、2018年12月、環境省は機器の廃棄時の回収が予定通りの数値に達していない現状を受け、企業への罰則を強化すると発表しました。現在、法改正の検討が始まっています。具体的には、1回の違反で直ちに罰金などを科せる制度作りなどが挙げられており、2019年の国会での改正案成立が目指されています。

▼罰則の一覧(フロン排出抑制法第103~109条より)

概要 罰則
フロン類のみだり放出 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
命令違反
(指導・助言・勧告・命令を経て、命令に違反した場合)
50万円以下の罰金
虚偽報告、検査拒否
(報告徴収にたいする未報告、虚偽報告、立入検査、収去の拒否、妨げ、忌避)
20万円以下の罰金
算定漏えい量の未報告、虚偽報告 10万円以下の過料

以上、フロン排出抑制法についてお伝えいたしました。
最新動向としては、上記の通り「法による規制強化」が話題となっております。そこで、2019年1月に下記の通り、弁護士の香川氏をお招きし、罰則規定について特別講演を行います。本記事でご紹介できなかった詳細や最新動向を盛り込み、さらに詳しく学べる絶好の機会となっております。ご参加をご検討ください。

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執筆者プロフィール

mr.yamamoto.png山本 隆幸(やまもと たかゆき)氏
一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構
企画・調査部

早稲田大学社会科学部を卒業して、住宅関係企業で30数年勤務した後に、JRECOに就職する。前職では、個人の夢や希望をかなえる仕事に従事しておりましたが、これからの将来を考えたときに「子どもや孫への環境をどのように維持していけるのか」を考えて、現職に就くことを決め、今日に至る。

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