ソーシャルシステムの必要性:第2回対談 セールスフォース代表取締役社長 宇陀栄次氏(3/7) | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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コラム

ソーシャルシステムの必要性:第2回対談 セールスフォース代表取締役社長 宇陀栄次氏(3/7)藤原仁志の「対談:攻める!環境部」

前回までの話はこちら 「第2回対談 セールスフォース代表取締役社長 宇陀 栄次氏(2/7)

クラウドコンピューティングの本質は、公共性を帯びた「ユーティリティコンピューティング」

宇陀:自動車部品の再生をやっておられる企業の経営者と話をしていて、藤原さんのおっしゃる話がまさにそうだなと思いました。そういうふうに、世の中の社会全体の最適化をやっていくということは結構これからのビジネスの本質なんだろうなと。大企業も、もちろんそこにも注目していくでしょうけれども、たとえどんな大企業でも1社単独でやることではなくて、いろんな企業が連携していく必要がでてきますね。そうすると、必要な情報というのは社会全体を最適化するものと考えると、それを扱うシステムは、ひとつの「ソーシャルシステム」というべきものになっていきますね。

例えば、電車というのも元来は国がつくったにせよ、やはりみんなが利用しているからこそ成り立っているわけですね。みんながそれぞれに費用を払って、それぞれのメリットを享受して、それで持続しているわけです。それと同じで、今ではいろいろなものが公共性を帯びることが求められてきていると思うんですよ。我々のシステムは、クラウドコンピューティングといって、ちょっと新しい感じで表現していますが、その本質は実はユーティリティコンピューティングという言い方をしていましてね。

第2回対談 セールスフォース代表取締役社長 宇陀栄次氏(3/7)

要は、世の中にある電気、ガス、水道、電話、あるいは公共交通機関だとか道路だとか、そういうのと同じなですね。ITシステムもだんだんそういうものが求められてきているなと。どこかの企業が一つ保有するのではなくて、みんなが共通して使えるようなものがベースとしてあるという。我々自身はその先導的な役割を果たしていると考えています。その意味ではアミタグループさんのような企業がいろいろな企業と連携して、インフラとしてシステムを使っていくという、そういうコーディネーションって本当にすばらしいと思います。

それには弊社のForce.comというプラットフォームを活用されるのが最も適していると思いますね。我々としてもインフラとして活用されるだけのボリュームがあれば、1ユーザー当たりに対しても機能利用料金を安くご提供できるでしょうし。

静脈産業にロングテールマーケティングを活用する時

藤原:そうですね。本当におっしゃるとおりです。 先ほど言いましたが、実は環境ビジネスの40兆円という数字もどこまでを含めていうのか領域の問題もあるのですが、例えば化粧品市場といっても2兆円とか3兆円のレベルですので比較しても環境マーケットは膨大なわけです。

しかし、自動車や化粧品業界などは寡占が進んでいますので1企業で数千億とか1兆円、10兆円という企業が存在するマーケットになっています。環境市場は、ある意味で非常に古いマーケットで、40兆円あっても実質的な環境専業で考えると、弊社が最大手の部類に入ります。せいぜい50億ぐらいの規模で。

では、なぜこうなっているのかというと、理由はさまざまですが、私はこの業界がいわゆるロングテールの市場の集まりということに起因すると思っています。リサイクル市場を取り上げてみても、ロットがまとまってはじめていかに安くできるかという構造になっています。1トン当たり単価×数量が売り上げになる。そうすると大量に1カ所から出てくるものはみんな集めてリサイクルするのは、インセンティブが働くわけです。

ところが、当たり前ですけれども、同じところに行って同じ作業をやっても、500キログラムだとか1トンだとかっていうふうになりますと、わざわざ集めて歩くのにエネルギーとコストをかけるなんて誰もやらないという話なんですね。正確な統計ではないですが、今日本には処理業者が十数万社あるといわれています。

サンプルとって調べてみたのですが、90%以上が1億円未満の売り上げしかない小規模事業者と推定しています。 ただ、ゴミを捨てるという側からすると、捨てたいときに都合よく業者が来てくれて持っていってくれるのが便利だし、いいじゃないのそれでっていう話なんですね。捨てるものに対してそんなにコスト、手間をかけたがらない。まして、この大不況に。ということは、ネット通販のアマゾンさんが実は年に1冊か2冊しか売れない本だけれども欲しい人はものすごくいて、実は売り上げの大半はそこで稼いでいるという考え方と、市場構造が同じだと考えたんです。

でも、現実的にいろいろな地域でリサイクルに取り組まれている方々がそういうものを集めたいと思ったときに、今のやり方では限界があると。もっともっと効率化できる余地があると思います。つまり、どこでどんなものがどれぐらい出ているかという情報がまず把握できたら、それはそれでひとまとめにすればこれだけの市場になるという仮説が成り立つでしょう。

ところが検索すればなんでもでてくる世の中で、静脈分野ってまともな情報がないんです。みんなものを動かすのは一生懸命なんですが、情報を動かすということを誰もやってきていなかったものですから、何がどこにあるのか結局分からないんですね。

私どもは今回御社の機能をお借りしてそれぞれの共通化したデータというのをそれぞれが使いやすいインターフェイス、それぞれのワークフローに落とし込んでいけば、日常の業務に活用していただけるものができるはずだと。

しかも月あたり、例えば数千円とか1万円ぐらいのレベルであれば、地方の小規模な事業者でも負担なく参加いただける。 そうしますと、先ほど宇陀社長がおっしゃったような、社会性のあるデータが蓄積され、それを社会的に意義のある業務として活用する市場環境というのがどんどんできてきます。それは国も活用すればよいですし、皆さんが情報をオープンにしてここにこんなものがあるんだという情報を共有すれば、自分はこれをやるよとか、これはいらないからそっちでやってくれよとか、そういう協働が私はできてくるんじゃなかろうかなと思っています。

弊社はそのようなインフラを創っていければいいなと。ただ、システムや技術面というのは我々がゼロから開発するということはとてもじゃないけれどもできないので、やはり御社が提供されている技術やプラットフォームに期待をよせています。

次回「第2回対談 セールスフォース代表取締役社長 宇陀栄次氏(4/7)」へ続く

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