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オフィスのお引越し(その4) ― 許可業者で無い人物にも委託できる?・後編(家電リサイクル法と広域認定制度)BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

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さて、「オフィスの引越し」をテーマにお送りしてきましたが、今回が最後になります。

ここまでは、「そんなこと知ってるよ」という方もいらしたかと思いますが、今回の話をご存じの方は、もう「廃棄物処理法の達人」と名乗ってもいいかもしれません。突き詰めていくと、それほどマニアックな話です。

その3」では、許可の不要な人物として「有価物として(裏取引が無く)買い取ってくれる人」と「専ら再生業者」を紹介しましたが、その他にも許可が不要な場合があります。

まずは普及している制度として「家電リサイクル法」があります。リサイクル法には、この他に容器包装リサイクル法、食品リサイクル法、自動車リサイクル法、建設リサイクル法があるのですが、「オフィスの引越し」に関係してくるのは、この家電リサイクル法だけでしょう。

「家電として製造された」4品目は家電リサイクル法の対象になる

家電リサイクル法の対象となるのは、

  • テレビ
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • クーラー

の4品目(関連する冷凍庫、乾燥機等も該当)です。

ここで、「オフィスから出てくるものは家庭用として使用されていたのではないから該当にならないのでは?」と思われた方もいるかもしれませんね。しかし、この「家電リサイクル法」では、事業所から排出される場合も該当します。すなわち、「家電として製造された」4品目は家電リサイクル法の対象になるのです。

これらは、他の粗大ゴミや産業廃棄物などのように「適正に処理すればよい」と言うことではなく、処理基準の中で「リサイクル率」が規定されています。これを達成するための制度として、家電販売店には「引き取りの義務」、排出者には「引き渡しとリサイクル料金負担の義務」が規定されています。

したがって、オフィスの引越し時にテレビや冷蔵庫が不要となったときには、通常他の廃棄物とは別個に家電販売店に引き渡すことになります。

使用済みパソコンは広域認定制度によって許可不要に

これと似たような「物」なのですが、不要なパソコンはどうなるでしょうか?実は、パソコンは家電リサイクル法の対象にはなっていませんし、「パソコンリサイクル法」なんていう法律もありません。

簡単に説明すると、パソコンは資源循環法の中で「循環すべき製品」とされていて、メーカー等の自主的努力により、リサイクルフローが確立されました。そのため、廃棄物処理法上では、都道府県の産業廃棄物処理業の許可、市町村の一般廃棄物処理業の許可が不要となる「広域認定制度」で認定を受けているのです。

これはつまり、大臣が認めた「許可不要のお墨付き」ということですから、当然処理料金を徴収することが可能です。 この広域認定を取得した後に販売されたパソコンにはリサイクルシールが貼られていて、処理料金の先払い(いわゆるデポジット制度)が採用され、不要となったあかつきには、パソコン販売店に持参すれば「無料」で引き取ってくれます。(先に支払っているというだけで、実質「無料」ではないのですが・・・)

なお、広域認定を受けている物品は今では数多く存在しています。環境省のホームページで公開していますから、興味のある方は一度ご覧ください。

ここまでお話してきたように、オフィスの引越し時には、産業廃棄物なのか一般廃棄物なのか、指定業種に該当するか、専ら4品目であるか、再生利用に使われているか、家電リサイクル法や広域認定制度に該当しないか等、

様々な例外対応があるということを頭に入れておき、委託先の許可状況や、必要な契約条件等をしっかりと確認することが大切です。

これで皆さんも「廃棄物処理法の達人」として頼れる存在になれますね。

■BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

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執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
株式会社アミタ持続可能経済研究所 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も勤める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。 元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)

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