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CSRレポートの内容を様々なステークホルダーへ効果的に伝えるためには、どんな手法がありますか?

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前回のコラムの通り、企業のCSR情報の公開は、網羅性や重要性(マテリアリティ)から、共感や中立性、社会性といったオープンでソーシャルな情報発信が企業の信頼性やブランドを高める時代となってきました。つまり、一方的に情報を押し付けるレポート形式から対話型のコミュニケーション形式へとシフトしていく仕掛けと手法を取り入れることが重要であると言えるでしょう。

海外のCSR先進企業による映像コンテンツの有効活用

その効果的な手法として海外では、映像コンテンツを自社サイトで有効に活用しています。かつて株式会社TREEでは、世界のCSRレポートを調査・分析した結果、CEOによる長期的なコミットメントがレポートを構成する最も重要な要素として挙がりましたが、海外ではこうした長期的なビジョンや目標を、CEO自らが投資家や顧客に向けて、明確に伝える映像コンテンツを積極的に公開しています。

事例1:ゼネラル・エレクトリック
世界的大企業であるGE社も、ホームページでトップの動画メッセージを公開し、企業のビジョンを伝えています。次のURLで見ることができます。 http://www.gereports.com/brilliant-iron/

また、同時にESGの視点からは、環境への取り組みや社会的活動等は、映画やミュージッククリップに匹敵するクオリティでコンテンツ化する海外企業も少なくありません。単なる企業PR映像ではなく、視聴者が積極的に見たくなり、それを人に伝えたくなる様な映像コンテンツ化が成功の鍵と言えます。

事例2:Unilever Sustainable Living Plan 2012
作品名「The Power of Partnerships」など、映像としても作りこまれた作品で自社の取り組みを伝えています。次のURLで見ることができます。 http://www.unilever.com/sustainable-living/news/sustainable-living-videos/index.aspx

事例3:Marks and Spencer 自社映像コンテンツ紹介サイト
世界各国にフランチャイズ展開するイギリスの小売業Marks and Spencer社も、持続可能な企業活動を目指す自社ミッションについて印象に残る映像で紹介しています。 http://corporate.marksandspencer.com/howwedobusiness

情報伝達力で比較すると、映像情報は活字の5,000倍と言われていますが、CEOの表情や肉声で伝えるメッセージは、まさに共感の観点から、最も訴求力の高い有効な手段かもしれません。
つまり、顧客や取引先等が抱える社会的な問題や課題を映像コンテンツとして伝え、ソーシャルメディア等の活用により、対話型のコミュニケーションを行うことはCSR活動も重要なテーマであり、その手段として映像コンテンツはとても有効なツールなのです。

双方向の対話による顧客とのエンゲージメント強化

また、対話型コミュニケーションをエンゲージメント強化の施策に繋げていくためにも大切なテーマとして、ソーシャルメディアの本質を理解した企業情報発信コンテンツの設計力と運用力を忘れてはなりません。

企業活動が社会にもたらす影響度の大きなテーマについては、企業利益を優先する前に、その問題解決を行っていく中立的な立場としてのストック型情報発信手法の導入が必要となってきます。

同時に、それを視聴した顧客自身が自ら考えたり、コミュニティに参加するプラットフォームを整備することで、通常の顧客接点以外においても、企業のサービスや商品を体験させる機会を提供し、ファン化させるまでの双方向のコミュニケーションの場を提供することは、非常に重要な施策と言えます。

事例4:スターバックスによる双方向コミュニケーションサイト
「My Starbucks Idea」では、もはや動画などメディアの特性を通じて伝えるだけでなく、双方向のコミュニケーションが志向されています。次のURLで見ることができます。http://mystarbucksidea.force.com/apex/ideaHome

米国では、こうした双方向コミュニケーションのインフラやソーシャルメディアを活用したコミュニティ戦略により、社会的な課題や問題を企業と顧客とがと協働で進めていく手法が注目されています。
企業は、顧客との対話を"オープン"にしていくことで、CSR広報力やブランド価値を高めるだけでなく、従来の商品企画開発コストや販売サービスコスト、顧客応対コスト等の大幅な削減にも寄与しているのです。

また、最近ではソーシャルメディア"リスニングツール"として、TwitterやFacebookの声を収集、分析、評価するソリューションも数多く提供されており、企業のレピュテーション(評判)をモニタリングする企業も増えてきています。

ソーシャル時代に適応したCSRレポート作成とコミュニケーション戦略

これからの企業活動は商品やサービスを売るためだけの利益追求だけではなく、地球レベルにたった企業活動によって社会的な問題を解決する製品やサービスの提供や、技術や人材に投資する姿勢こそ映像コンテンツやソーシャルメディアで伝え、その結果、訴求すべき重要なコンテンツをCSRレポートに掲載するといった導線誘導により、CSR情報の発信と拡散を加速化させることが重要となります。

自社Webサイトのメディア化や映像コンテンツの有効活用、また、ソーシャルメディアと連携や顧客との双方向のコミュニケーションによる顧客体験の場を提供する仕掛け作りと共に、CSRレポートを作成するとマーケティング戦略が重要であると言えます。

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執筆者プロフィール
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水野 雅弘 氏
株式会社 TREE 代表取締役 マーケティングコンサルタント
Green TV Japan 代表兼ファウンダー
一般社団法人 グリーンエデュケーション 代表理事

1988年の会社設立以来、金融業界を中心に大企業のマーケティング戦略コンサルタントとして企業150社以上の実績を保有。2004年から3年間は、約30社の企業が参加するCSR情報を中心とした企業の非財務情報開示のための研究会主宰。
2006年以降は、環境意識啓発のための環境映像専門のWeb TV "Green TV "の日本代表を務め、企業の環境活動、CSR・広報のための映像や中央省庁の政府広報映像を数多くプロデュース。
2009年には、経済産業省が主催する2050年研究会の構成員として参加し、世界のCSR優良事例やCSR情報開示促進のためのITプラットフォームや、あるべきCSRレポートのあり方を報告書として提言。

現在は、新しい社会価値を創造するために、これからの経済指標となるべきグリーンエコノミー、地域経済の活性化や発展のための事業プロデュース、Green TV の運営と併せて、企業の戦略的環境広報のコンサルティングに従事。Green TV では、現在、1,000本近くの環境やCSRをテーマとした国内外の映像コンテンツを無料配信中。

株式会社TREEウェブ企業サイト:http://www.tree.vc
Green TV Japanメディアサイト:http://www.japangreen.tv

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