
廃棄物管理の実務で押さえておきたい基本を、テスト形式で振り返ります。今回は「廃棄物の区分」「建設廃棄物の排出事業者」「WDS(廃棄物データシート)」「両罰規定」の4つのテーマを取り上げます。日々の運用で意外と誤解しやすいポイントを、一つずつ一緒に確認していきましょう。
【問題】業種で変わる廃棄物の区分
まずは、すべての廃棄物管理の出発点となる「廃棄物の区分」についての問題です。同じ品目でも、排出する業種によって産業廃棄物か一般廃棄物かが変わることがあります。
| 問題:産業廃棄物と一般廃棄物の区分に関する次の記述のうち、最も正しいものはどれか。 ①廃プラスチック類や金属くずは、製造業など特定の業種の事業活動から生じた場合に限り産業廃棄物となる。 ②紙くずや木くず(木製パレットを除く)は、業種を問わず、事業活動から生じたものはすべて産業廃棄物となる。 ③繊維くずは、建設業や繊維工業など特定の業種以外の事業活動から生じた場合は、事業系一般廃棄物に該当する。 ④廃棄物の区分は排出した業種とは関係なく、品目だけで産業廃棄物か一般廃棄物かが決まる。 |
正解:③ 繊維くずは、建設業や繊維工業など特定の業種以外の事業活動から生じた場合は、事業系一般廃棄物に該当する。
解説
- ①について:廃プラスチック類や金属くずは、どの事業者から生じた場合でも産業廃棄物になります。業種を問わず産業廃棄物となるため、「特定の業種に限り産業廃棄物」というのは誤りです。
- ②について:紙くずは、建設業に係るものや、パルプ、紙または紙製品の製造業などの事業活動に伴って生じた場合に産業廃棄物になります。木くずは、建設業に係るものや、木材又は木製品の製造業などの事業活動に伴って生じた場合に産業廃棄物になります。これらは業種限定のある産業廃棄物と呼ばれます。業種を問わずすべて産業廃棄物になるわけではありません。ただし、貨物の流通に使った木製パレットの木くずは、業種を問わず産業廃棄物です。
参照元:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行について」 - ④について:紙くずや木くずなどは特定の業種や事業活動に伴って生じた場合に産業廃棄物になる(業種限定のある産業廃棄物)ため、品目だけで区分が決まるとは限りません。
<講師のワンポイント解説>
産業廃棄物20種類のうち、注意が必要なのが「業種限定のある産業廃棄物」です。燃え殻や汚泥、廃プラスチック類、金属くずなどはどの事業者から生じても産業廃棄物になりますが、紙くず・木くず・繊維くずなどは特定の業種や事業活動に伴って生じた場合に産業廃棄物になります。繊維くずを例にとると、建設業や繊維工業など対象業種から出れば産業廃棄物ですが、それ以外の業種から出れば事業系一般廃棄物となります。同様に、食品製造業で発生した紙くずも産業廃棄物ではなく事業系一般廃棄物として扱われます。区分が変われば委託先の許可やマニフェストの要否も変わるため、自社の業種でどの品目が業種限定に当たるかを確認しておきましょう。
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【問題】建設廃棄物の排出事業者
廃棄物の区分を押さえたところで、次は「誰が排出事業者になるか」についての問題です。特に建設廃棄物は、排出事業者が法律で明確に定められています。一般の産業廃棄物とは異なる特徴があり、思い込みによる誤りが起こりやすいテーマです。
| 問題:建設廃棄物の排出事業者に関する次の記述のうち、最も正しいものはどれか。 ①建設工事に伴い生じる廃棄物の排出事業者は、原則として当該建設工事の元請業者である。 ②廃棄物処理法でいう「建設工事」は建物の新築工事のみを指し、解体工事から生じる廃棄物は建設廃棄物には当たらない。 ③建設廃棄物は、排出事業者が自ら処理することは認められておらず、必ず処理業者に委託しなければならない。 ④建設廃棄物は、産業廃棄物ではなく事業系一般廃棄物として取り扱われる。 |
正解:① 建設工事に伴い生じる廃棄物の排出事業者は、原則として当該建設工事の元請業者である。
解説
- ②について:ここでいう「建設工事」は、建設業法で規定されている建設工事よりも広い概念です。土木建築に関する工事であって、建築物その他の工作物の全部又は一部の新築、改築、又は除去を広く含みます。解体工事はもちろん、維持修繕工事や補修工事も含まれます。新築工事のみを指すわけではありません。
- ③について:事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならないとされており(自ら処理の原則)、自ら処理することも認められています。必ず委託しなければならないわけではありません。
- ④について:建設廃棄物には、がれき類や廃プラスチック類、金属くず、木くずなどが含まれ、これらは産業廃棄物に区分されます。一律に事業系一般廃棄物として扱われるわけではありません。
<講師のワンポイント解説>
建設廃棄物の排出事業者は、発注者でも下請業者でもなく、当該建設工事の元請業者と法律で定められています。ここで押さえておきたいのが、対象となる「建設工事」の範囲です。建設業法上の建設工事よりも広い概念で、新築だけでなく解体工事や維持修繕工事、補修工事も含まれます。元請であれば排出事業者として、発生した産業廃棄物を適正に処理する責任を負います。工事に関わる場合は、まず自社が元請・下請・発注者のどの立場かを確認しましょう。
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【問題】WDS(廃棄物データシート)
排出事業者と処理業者の間では、適正処理のための情報共有が欠かせません。次は、その情報伝達に使われる「WDS(廃棄物データシート)」についての問題です。「WDSを交付しさえすればよい」という思い込みに注意しましょう。
| 問題:WDS(廃棄物データシート)に関する次の記述のうち、最も正しいものはどれか。 ①WDSは、処理業者が排出事業者に対して処理方法を通知するために作成・提供する書類である。 ②廃棄物処理法は、産業廃棄物の適正処理に必要な情報の提供を排出事業者に義務付けているが、必要な情報が契約書に記載されていれば、WDSという様式そのものを契約書に添付する義務はない。 ③PRTR法の対象事業者(第一種指定化学物質を届出している事業者)が、その第一種指定化学物質を含む廃棄物の処理を委託する場合、「含まれている旨」だけを伝えれば足りる。 ④WDSには法令上の有効期限が定められており、期限が切れると委託基準違反となる。 |
正解:② 廃棄物処理法は、産業廃棄物の適正処理に必要な情報の提供を排出事業者に義務付けているが、必要な情報が契約書に記載されていれば、WDSという様式そのものを契約書に添付する義務はない。
解説
- ①について:WDS(廃棄物データシート)は、排出事業者が処理を委託する廃棄物の情報を委託先(処理会社)に提供するための書類です。処理業者が作成する書類ではありません。
- ③について:PRTR法に基づく対象事業者が排出する廃棄物に、届出を行っている第一種指定化学物質が含有等している場合、その第一種指定化学物質の名称及び数量又は割合を明記することが求められます。「含まれている旨」だけでは足りません。
- ④について:WDSに有効期限自体は定められていませんが、廃棄物の性状や取扱い情報に変更があった場合は最新情報へ更新し、契約書等へ反映する必要があります。
<講師のワンポイント解説>
WDSで最も懸念されるのが、「WDSという様式を交付すること」が目的化してしまう点です。廃棄物処理法は、性状や取り扱う際の注意事項など産業廃棄物の適正処理に必要な情報を、処理委託契約書に記載して処理会社へ提供するよう排出事業者に義務付けています。WDSは、これらの情報を記載するための参考様式として環境省が作成したものです。必要な情報が契約書に記載されていればWDSを契約書に添付する必要はありません。一方で、記載内容には注意が必要です。PRTR法の対象事業者が届出を行っている第一種指定化学物質が廃棄物に含有等している場合は、その名称及び数量又は割合を明記する必要があります。「含まれている」と伝えるだけでは不十分な場面があるため、必要な情報を具体的に、漏れなく共有することを意識しましょう。
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【問題】廃棄物処理法の両罰規定
最後は、「違反したら誰が罰せられるのか」に関わる両罰規定についての問題です。担当者個人の行為が会社全体の責任につながる仕組みを、正しく理解しておきましょう。
| 問題:廃棄物処理法の両罰規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 ①両罰規定とは、従業員等が事業主の業務に関して違反行為をしたときに、行為者を罰するほか、事業主(法人等)に対しても刑罰を科す規定である。 ②廃棄物処理法の罰則のほとんどに両罰規定が適用される。 ③不法投棄など一部の違反については、法人に対して3億円以下の罰金が科される場合がある。 ④両罰規定は、会社が従業員に違反を指示した場合に限って適用され、会社の指示がなければ法人が罰せられることはない。 |
正解:④ 両罰規定は、会社が従業員に違反を指示した場合に限って適用され、会社の指示がなければ法人が罰せられることはない。
解説
- ①について:両罰規定とは、従業員等が、その事業主(法人又は個人事業主)の業務に関し、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その事業主に対しても刑罰を科す規定です。
- ②について:廃棄物処理法の罰則のほとんどに両罰規定が適用されます。
- ③について:不法投棄など一部の違反について、法人に対しては3億円以下の罰金が科される場合があります。
<講師のワンポイント解説>
両罰規定でよくある誤解が、「会社が指示していなければ会社は罰せられない」という思い込みです。実際には、会社の指示がなくても、業務に関係した違反であれば会社も罰則の対象になります。会社の業務として社員が違反をしたら、その社員だけでなく会社にも刑罰を科すのが両罰規定です。科される罰金は基本的に個人に対する罰金と同じですが、重大な違反の罰則については法人の罰金刑が大きくなっています。担当者個人の不注意が会社全体の責任につながり得るからこそ、社内での教育・周知が重要になります。
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以上、廃棄物管理の実務理解度テストでした。複雑な廃棄物処理法のルールですが、一つ一つ正確に理解して日々の適正な管理に活かしていきましょう!
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執筆者情報
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みやうち たつろう
宮内 達朗
アミタ株式会社 サステナブルBPO事業部
立命館大学大学院社会学研究科を卒業。アミタ株式会社に入社後、環境に関するテレマーケティングやセミナー企画・運営などの業務に携わる。その後、関西・九州エリアにて廃棄物管理などを中心とした企業環境部に対する戦略支援業務に従事し、現在は廃棄物管理業務アウトソーシングサービスの開発・運用を担当している。
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