スクラップヤード規制をどう読むか|各法制度が扱う「物」と「行為」の再整理

スクラップヤード規制をどう読むか|各法制度が扱う「物」と「行為」の再整理

令和8年の廃棄物処理法改正で、いわゆる「スクラップヤード」が許可制になりました。

この対象となる「物」は「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」と規定されているのですが、長いので私はこれを省略して「要適金プラ」と呼称しています。以降、ここではそのように記載していきます。

類似の「物」や「行為」があり、混乱しやすいことから改めて、廃棄物処理法と古物商、金属商、ヤード業者の区別や相違点、類似点について整理してみます。ここでの説明は、文献等によって表現が多少異なる場合があることをご承知ください。なお、古物商と金属商に関する部分は、一般財団法人地方自治研究機構のホームページに掲載された解説と、その原典とされる冨高幸雄著「日本鉄スクラップ業者現代史」を参考にしています。

わかりにくくしている要因

金属商は全国一律の法律ではなく、一部の自治体条例に基づく制度です。そのため、制度自体が存在しない自治体も多く、あっても内容や用語が異なることが、まず一つの要因です。

さらに、廃棄物処理法で対象となる「廃棄物」は、現在は総合判断説に基づき、「物の性状」「排出の状況」「通常の取扱い形態」「取引価値の有無」「占有者の意思」の五つの要素を総合的に見て判断するとされています。この考え方に基づき、いわゆる3.19通知(※)により廉価買取であっても廃棄物処理法が適用される場合がある一方で、専ら再生四品目のように、廃棄物であっても許可不要として扱われるものもあります。こうした例外的な運用が、線引きを分かりにくくしている背景にあります。

以下では、関係する主な制度ごとに、「対象となる物」と「対象となる行為」を簡潔に整理します。

※3.19通知:「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について」(平成24年3月19日 環廃企発第120319001号,環廃対発第120319001号,環廃産発第120319001号)

1. 廃棄物処理法

廃棄物処理業の対象となる物は、廃棄物処理法が定める「廃棄物」です。対象となる行為は、他人の廃棄物の処理を業として行うことです。ここでいう処理とは、収集運搬と中間処理、最終処分を指します。

廃棄物であるかどうかは前述の総合判断説により判断されます。3.19通知では、家電リサイクル法対象四品目などについて、廉価買取であっても廃棄物と判断される場合があると整理されています。また、法施行当初からの通知運用により、専ら再生四品目については「廃棄物であっても許可不要」とされてきたことも、全体像を分かりにくくしている一因です。なお、この2つの運用については最後に改めて取り上げます。

まとめると、「他人の廃棄物について料金を取って反復継続的に処理する行為」が、廃棄物処理法上の業許可の対象になるといえます。

2. 古物営業法

古物商は、古物営業法に基づく制度で、昭和24年に制定された法律です。盗品等の売買を防止することが目的で、所管は警察です。

古物営業法では、施行規則で定める13種類の古物を「中古品として買い取り、その用途のまま中古品として取引する行為」が許可の対象となります。大型船舶や極めて重量のある機械、盗難の割に見返りが小さい空き缶などは、そもそも古物の範囲から外されています。また、処理料金を徴収して受け取る行為や、仕入れ時と販売時で用途が異なる行為も古物営業法の対象外です。

例えば、中古自転車を買い取り、中古自転車として販売する行為は古物営業法の古物商に該当しますが、買い取った中古自転車を解体して鉄くずとして販売する行為は古物営業法の対象にはなりません。

整理すると「13種類の中古品を買い取り、その中古品として売り渡す行為」が古物営業法の許可対象となります。

3. 金属くず営業条例

廃棄物処理法と古物営業法の規制範囲を重ね合わせてみると「古物営業法の13品目に該当しない鉄くず等を買い取り、売り渡す行為」は、どちらの法律の許可対象にもならない領域が生じます。

戦後間もない時期には、金属くず取引の規模は現在ほど大きくありませんでした。しかし、その後の鉄くず価格の高騰などを背景に、一部地域では鉄くずの売買がビジネスとして成立し、盗難も発生するようになりました。

このため、窃盗が多発した地域を中心に、盗品転売防止を目的として、金属くず営業条例が一部の自治体で制定されてきました。条例は自治体ごとに内容が異なりますが、おおむね「古物営業法で許可の必要な13種類に該当しない金属くずを買い取り、売り渡す行為」が、金属くず営業条例による許可の対象と整理できます。

4. 金属盗対策法

令和7年6月には、「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」が制定されました。いわゆる金属盗対策法であり、太陽光発電施設の金属ケーブル窃盗など、増加する金属盗に対応するための法律です。

この法律では「特定金属くず買受業」という届出制度を創設し、一定の金属くずの買受けを行う事業者に対して、届出や本人確認等の義務を課しています。特定金属くずに該当する金属は、当初は銅を中心としており、今後政令で対象が追加される仕組みですが、当面は「銅のみ」が対象になるようです。

位置づけとしては、古物営業法を補完する警察所管の窃盗対策法令と理解できます。

5. 有害使用済機器制度(廃止済み)

平成29年の廃棄物処理法改正で導入され、平成30年に施行された有害使用済機器保管等届出制度は、令和8年改正で廃止されることになりました。ここでは制度の整理のために、過去形で概要のみ触れます。

この制度は、家電リサイクル法4品目と小型家電リサイクル法28品目の合計32品目について「使用を終了し、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、適正でない保管が行われた場合に人の健康又は生活環境に被害を生じるおそれがあるもの」を有害使用済機器と定義し、廃棄物ではない有価物の保管や処分を業として行う者に届出義務と保管基準等を課していました。

有害使用済機器は有価物として扱われるため、仕入れは買い取り、販売も有価で行うことが前提となり、廃棄物処理法の業許可の対象とはならないと整理されていました。また、中古品としてそのままの用途で販売する古物営業法の古物とも性格が異なります。一方で、正規の一般廃棄物処理業または産業廃棄物処理業の許可を有する者については、別途の届出を不要とする扱いでした。

6. ヤード業者対策条例

有害使用済機器制度が導入された後も、スクラップヤードでの火災や環境被害が多発したことを受け、特に状況が深刻な一部の自治体では、いわゆるヤード業者対策条例が整備されてきました。

これらの条例は、廃棄物処理法、古物営業法、金属くず営業条例のいずれでも十分にカバーされていなかった領域、すなわち「古物営業法の13種類に該当しない金属くずやプラスチックくずなどを、有価物として買い取り、売り渡す行為」と、それに伴う保管や再資源化などを行う場所の環境対策を主な対象としています。福島県の「福島県特定再生資源の屋外保管の適正化に関する条例」(令和7年1月1日施行)は、その代表例の一つです。

これらのヤードでは、有価物と称するプラスチックくずやバッテリー、ケーブル等が屋外で大量に保管され、騒音、振動、悪臭、汚水の発生に加え、火災や盗難のリスクが問題となってきました。そのため、自治体条例により保管方法や施設構造に一定の基準を課す動きが広がりました。

7. 要適正保管使用済金属・プラスチック物品制度(要適金プラ)

令和8年の廃棄物処理法改正では、こうした有価物スクラップの火災や環境被害を踏まえ、要適正保管使用済金属・プラスチック物品、いわゆる要適金プラを新たに法制度として位置づけました。

対象となる物は、有価物として取り扱われる金属くずやプラスチックくずなどであり、廃棄物処理業許可の対象ではありませんが、火災や環境被害のリスクが高いと考えられるものです。対象となる行為は、これらの物の保管と再資源化であり、一定の規模や形態で業として行う場合には、都道府県知事の許可と保管・再資源化基準の遵守が求められます。

専ら再生四品目や有価スクラップが、廃棄物処理法の枠外で大規模に保管されてきた領域を、環境保全と火災予防の観点から新たに法規制の枠に取り込む制度と理解できます。

なお、一般廃棄物処理業又は産業廃棄物処理業の許可を有し、当該許可の範囲内で取り扱う者については、要適金プラ保管業、再生業の許可は不要としています。

物と行為の整理

以上を整理すると、主に次のように分けて考えることができます。

制度名対象となる物主な対象行為
廃棄物処理法廃棄物処理料金を取って他人の廃棄物を処理
古物営業法施行規則で定める13種類の中古品中古品として買い取り中古品として販売
金属くず営業条例古物営業法の13品目以外の金属くず金属くずを買い取り売り渡す行為
金属盗対策法特定金属くず(銅等)特定金属くずの買受け
ヤード業者対策条例プラスチックくず等の有価スクラップ屋外保管と売買、環境対策
要適金プラ制度有価の金属・プラスチックスクラップ保管と再資源化行為

専ら再生・3.19通知と要適金プラの矛盾

専ら再生四品目の通知は、古紙やくず鉄などを「専ら再生利用の目的となる廃棄物」と位置づけ、廃棄物であっても許可不要とする緩和措置として運用されてきました。

また、いわゆる3.19通知は、家電リサイクル法対象品目などについて、たとえ廉価買取であっても、性状や排出状況、通常の取扱い形態などを総合判断すれば廃棄物と評価され得ることを明確にし、「有価だから廃棄物ではない」という単純図式を否定してきました。
しかし、現実には「有価物」「専ら再生」を理由に、一部の悪質な人物による大量保管や雑多なスクラップ混在のヤードが長年廃棄物処理法の外側に置かれ、その結果として火災や環境被害が多発してきたのが実情です。改正法で要適金プラの許可制度を創設したことは「リスクが高いなら有価物でも法の枠内で規制する」という方向への明確なかじ切りであり、従来の専ら再生制度や3.19通知に基づく実務整理との関係について、新たな整理を迫るものとなっています。

あくまで私見ですが、今後、要適金プラ制度の運用が進む中で、専ら再生通知と3.19通知の双方について、適用範囲や位置づけの見直し、ひいては通知そのものの改正が検討されるのではないか、と考えています。

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執筆者プロフィール(記事執筆時点)

ながおか ふみあき

長岡 文明

BUN環境課題研修事務所 主宰

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も勤める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。
元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)

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