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2019年5月のバーゼル条約の改正内容は?汚れたプラスチックごみの輸出規制が強化

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2017年末の中国による使用済みプラスチック等の輸入禁止措置を契機に、世界的に大きな問題となっているプラスチックごみ。このたび、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(以下、バーゼル条約)第14回締約国会議(COP14)(2019年4月29日~5月10日)にて、さらに「汚れたプラスチックごみ」の輸出規制が強化されることとなりました。経済産業省へのヒアリングを基に、改正内容や発効時期についてわかりやすく解説します。

まずは、おさらい!バーゼル条約とは?

バーゼル条約の概要は下記の通りです。有害廃棄物の越境移動による環境汚染などを防ぐことを目的としています。国内では、この条約に対応する法律として、「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」(通称バーゼル法)が施行されています。

▼バーゼル条約の概要

正式名称 有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約
目的 有害廃棄物及び他の廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制について、国際的な枠組みを定め、これらの廃棄物によってもたらされる危険から人の健康及び環境を保護すること
経緯 1980年代に多発した有害廃棄物の越境移動をめぐる事件を契機として、UNEP(国連環境計画)が中心となって発効に至る。
概要 ・有害廃棄物等を輸出する際の輸入国・通過国への事前通告、同意取得の義務付け
・非締約国との有害廃棄物の輸出入の禁止
・不法取引が行われた場合等の輸出者による再輸入義務
・規制対象となる廃棄物の移動に対する移動書類の携帯義務等
締約国 187か国(2019年6月現在)
発効された年 1992年(採択は1989年)
日本の批准 1993年

(出典)経済産業省Webサイト「バーゼル条約・バーゼル法の概要、仕組み、手続き等」、
バーゼル条約Webサイトを基にアミタ(株)が作成

おさえておきたい!改正内容について

今回の「汚れたプラスチックごみ」の規制は、2019年4月19日~5月10日にかけて、スイスのジュネーブにて、開催されたバーゼル条約第14回締約国会議(COP14)で決定されました。経済産業省の発表によると、具体的には、バーゼル条約の対象となる廃棄物の判断基準や範囲を示す附属書II・VIII・IXの見直しに関する議論がなされ、それぞれ以下の通りの決定がなされたとのことです。

附属書 内容 主な改正内容
附属書II
(条約対象)
条約の対象となる「他の廃棄物」のリスト 附属書VIIIとIXを除くプラスチックごみを追加
附属書VIII
(条約対象)
有害な廃棄物を例示するリスト 廃棄の経路や化学的性質などから有害な特性を示すプラスチックごみを有害廃棄物としてリストに追加
附属書IX
(条約非対象)
条約の対象としない廃棄物を例示するリスト リサイクルに適したきれいなプラスチックごみの範囲をより明確化

(出典)経済産業省Webサイト「バーゼル条約第14回締約国会議(COP14)が開催されました」より

この改正内容について経済産業省へヒアリングしたところ、具体的にどの廃棄物が対象となるかは、まだ公表には至っていないとのことです。年内までには公表される見込みです。(今回の締約国会議では、議論はされています。)

また、ヒアリングを基に簡単に解説を加えると、下記の通りとなります。

附属書 内容 主な改正内容 解説
附属書II
(条約対象)
条約の対象となる「他の廃棄物」のリスト 附属書VIIIとIXを除くプラスチックごみを追加 「他の廃棄物」のリストに「附属書VIIIとIXを除くプラスチックごみを追加」とありますが、有害でない廃棄物でも、汚れているものはバーゼル条約の対象とするという意味になります。
これまでは有害な廃棄物のみが規制されていましたが、その枠を超えて、「汚れたプラスチックごみ」の規制を強化しようという動きです。
附属書VIII
(条約対象)
有害な廃棄物を例示するリスト 廃棄の経路や化学的性質などから有害な特性を示すプラスチックごみを有害廃棄物としてリストに追加 具体的な公表はまだなされていません。
「有害な特性を示すプラスチックごみ」の例としては、「鉛」や「砒素」を含むものが挙げられます。
附属書IX
(条約非対象)
条約の対象としない廃棄物を例示するリスト リサイクルに適したきれいなプラスチックごみの範囲をより明確化 具体的な公表はまだなされていません。
今後、汚れたものを規制する流れとなります。例えば、飲み残しのあるペットボトルなどは「リサイクルに適したきれいなプラスチックごみ」にならないとのことです。

そして、特に注意したいのは、今回の附属書の改正は、「汚れたプラスチックごみ」の輸出を禁止するものではないということです。附属書改正の発効以降は、汚れたプラスチックごみの輸出に当たって、輸出の相手国の同意が必要となります。この改正附属書は2021年(令和3年)1月1日から発効されます。
バーゼル条約は、あくまで輸出入の手続きを定めたものであり、今回は、輸出入の手続きの規制対象に「汚れたプラスチックごみ」が定められたということになります。バーゼル条約自体に、「汚れたプラスチックごみの輸出を禁止する」という取り決めはないのです。

廃プラスチック類の今後は?減少する輸出量

環境省の発表によると、産業廃棄物に該当する廃プラスチック類の排出量は、年間約700万tとされています。一方、国外への輸出量について、2017年末の中国を始めとする外国政府による使用済プラスチック等の輸入禁止措置以前は、年間約150 万トン程度のプラスチックくずが資源として輸出されていましたが、2018年の輸出量は年間約 100 万トン程度と発表されており、以前の3分の2まで減少している現状があります。今後、さらに規制が進むことで、より減少すると考えられます。

国内での処理の推進がさらに求められる中で、対策として、産業廃棄物の一般廃棄物処理施設での受け入れが検討されています。環境省は2019年5月20日に「緊急措置としての、各市町村の処理設備における廃プラスチック類の受け入れ」を各市町村に促す旨を公表しました。しかし、報道によれば、「処理の余力がない」「住民への説明や合意が必要」などとして、受け入れに難色や慎重姿勢を示すケースもみられるとのことです。

また、環境省は2019年5月31日に、2030年や2035年等に向けた具体的数値目標を定めた『プラスチック資源循環戦略』を発表しています。2019年6月28日~29日に開催されるG20サミットでは、この『プラスチック資源循環戦略』をもとに、国際的な議論をリードするとしています。逼迫する国内の状況。今後の動向からも目が離せません。

参考情報
執筆者プロフィール(執筆時点)

080822_amita_ishida.jpgアミタ株式会社
環境戦略デザイングループ マーケティングチーム
石田 みずき(いしだ みずき)

滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。メールマガジンの発信、ウェブサイトの運営など、お役立ち情報の発信を担当。おしえて!アミタさんへの情熱は人一倍熱い。

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