J-オイルミルズに聞く|廃棄物管理から気候変動対応へ――環境経営を全社ごとにする企業の歩み

J-オイルミルズ様がアミタのSmartマネジメント(インタビュー当時名称:e-廃棄物管理)を導入した背景には、従来的な公害・廃棄物対策から地球温暖化対応へという環境業務の激変がありました。2008年夏のトラブルを機にわずか半年余りで導入に至ったスピードの秘訣は、本社と現場の密な意思疎通にあります。


環境経営を掲げるには、全社的な一体感の醸成が欠かせません。本記事では、J-オイルミルズの執行役員矢崎氏、マネージャー新保氏、次長酒井氏(それぞれ取材時点)に、導入までの背景や効果を伺いました。

環境業務は公害対策・廃棄物管理中心から地球温暖化対応へ激変

アミタ

ここ2~3年の環境に対する業務の変化を感じますか?

矢崎氏

CSR(企業の社会的責任)という全社的な幅広い取り組みの中で、環境への取り組みの重要性は変わりません。2003年頃から日本企業が取り組んでいるCSRの取り組みという点で言うと、日本の特徴として、1つの取り組みについて一時期集中して強化した後、しだいにトーンダウンしてしまうことがままあります。今は大きな波の後、各企業それぞれの取り組みベースができあがってきて、特にCSRと言わなくてもその活動が企業に落とし込まれて維持されている段階だと思います。今年10月頃ISO26000が発行される予定ですので、それをきっかけに日本の企業が今後のCSRの取り組みをどのように展開していくかが求められますが、重要課題として環境を位置づける点は変わらないでしょう。

新保氏

変化は相当感じますね。私が環境の仕事に就いたときは大気や水質等の古典的な問題でした。それから廃棄物の問題、こんなところが環境関連の分野かなと思っていたのですが、僅か数年で最大の関心事は地球温暖化へ、あっという間に変わってきましたからね。

酒井氏

以前からISO14001業務を担当していたのですが、廃棄物管理で大きな変化がありました。「e-廃棄物管理」のようなITを活用した環境マネジメントの導入もそうでしょうね。当時からマニフェストチェックは現場でやっていたのですが、「e-廃棄物管理」の導入前のあるとき、マニフェストのE票の返送期限が迫っていたので確認したところ、担当者が「伝票がない」と言い出して。結局問題なかったのですが、担当者に確認すると有価物と認識していたようです。


新保氏

現場では有価物化のテスト期間のつもりでいたのでしょう。もうその時点で有価物になったと思いこんでしまい、結果、マニフェスト管理のずさんさが出てしまった。いい加減でトラブったのではなくて、前向きに有価物化に取り組んでいるつもりでいたのです。自治体によっては有価物の判断が違っていたことも影響していたのでしょう。そこで、弊社全体の方針として廃棄物管理の徹底を推進していくためのツールが必要だったのです。


アミタ

弊社の「e-廃棄物管理」を導入いただきました。担当者が独自で管理している現場が多い中、混乱はなかったですか?


トラブル発生から短期間で環境マネジメントシステムを導入。本社と現場の意思疎通密度がスピードの秘訣

新保氏

導入にあたって全員一致ではないですが、概ね現場は積極的に賛同してもらいました。現場の環境に対する意識の違いかもしれません(笑)。廃棄物のリサイクル率は99.2%ですが、以前から環境に対する意識がとても高いのです。それが土台にあって、廃棄物管理のIT化についても、積極的にやってみようじゃないか、ということになりました。

酒井氏

「e-廃棄物管理」を選んだ理由は、弊社が合併会社で基本的な考えは3社とも同じでも細かいところは少しずつ違っており、それを1つにまとめていくという命題がありました。まず取り組んだのがISO14000の全工場導入でしたが、廃棄物管理についても全社統一していきたいということで今回の話も上がってきました。またリサイクル処理などの業務で日頃からお世話になっているのがアミタグループというところが大きかったと思います。そのときは環境に対するコンサルティングで相談させてもらった経緯があり、これを機会に廃棄物管理のシステムを各工場に導入して一括管理しようということになりました。実際に業務をやっている各工場の環境管理責任者に確認し、その賛同を得て「e-廃棄物管理」を入れたのです。2008年の夏ごろにトラブルが発生して12月にはご相談して、2009年4月スタートでしたから、即決でしたね。


アミタ

現場へのコンセンサスはある程度トップダウンで進めていったのでしょうか?


新保氏

当社は工場長に権限が委譲されており、現場の意見をよく聞いております。「e-廃棄物管理」が立ち上がったばかりでしたが、改善していけば良いシステムになるだろうという直感がありました。また、弊社の社風として割と新しい物好きかもしれません。環境関連やその他の廃棄物処理法の改正があったとき、情報を共有できるシステムを1年ぐらい前に急遽導入し、それから今回の廃棄物管理システムとステップを踏んできたので、そんなに抵抗がなく使えれば便利だと思ったのでしょう。また「e-廃棄物管理」は単独のシステムとして十分役に立つと思ったからです。当社の基幹システムは重厚長大で廃棄物の管理を入れるのも費用がかかりますし(笑)。


酒井氏

最初は現場も使い方が分からなく意見も出なかったですけど、使うに従って「もうちょっとこうしたら便利だね」というような意見が積極的に出てくるようになりました。実際、私も工場の担当者にこのシステムについて聞いてみたのですが、良い反応が多いですね。弊社の都合で全部は改善できないにしても、すでに4回バージョンアップしているという話を聞いているので、全部が自社工場の思うようにいきませんけれども、改善案を出そうということをいっています。また、「e-廃棄物管理」は予め登録した情報を選ぶだけなので、入力が大変楽でした。弊社の工場によっては、マニフェストの月間発行枚数が100枚ぐらいのところもありますので、そうした廃棄物発生量の大きな工場では何度も同じ情報を入力するシステムでは大変だったと思います。


矢崎氏

他にも業務の標準化や担当者の世代交代の際の引き継ぎに、こういうシステムは非常に有効な手段ですので、良いシステムを導入していただいたなと認識をしています。

企業が環境経営を謳うには全社的な一体感の醸成が大切

アミタ

今後の御社の取り組みは?


矢崎氏

弊社のCSRはまだまだスタートしたばかりですので、社内すべての組織に対して、取り組みの重要性をきっちり啓発していきたいと思います。工場をはじめ、全社の組織が実際に取り組むうえで、全体が統括される必要があり、品質委員会や環境委員会は、品証・環境部が開催して全社の取り組みを推進しています。その中で、私の役割は社員それぞれの活動がスムーズに進むようなベース作りをすることだと考えております。他社の取り組み事例を参考に、当社でもこんなことできるのではないかという提案をするとか。


アミタ

本社と現場の関係はどのようにお考えになってらっしゃいますか。


矢崎氏

環境について、工場は非常にセンシティブですし取り組みもきっちりやっています。しかしながら、営業部門や本社部門などは、まだまだ自分のことと思ってない部分が多いのです。社長の佐々木も、やはり環境経営を謳うには全社的な取り組みが必要であり、環境意識を高めて、生産部門以外のところでも行動を起こせるような必要があるのではないかと考えています。


アミタ

今後、アミタグループへ期待することを教えてください。


矢崎氏

アミタグループの研修は非常に勉強になり、環境について考える良いきっかけになっています。弊社内の講師の研修も必要ですが、やはり外部の広い目で見て、ポイントを突いた研修は非常に有効ですので、今後も継続してお願いしたいと思っています。


新保氏

環境関連の企業様はたくさんありますが、御社のようなメールマガジンの発行など、情報分野に対する取り組みが熱心な環境企業が少なく、さらにグレードアップしてほしいと思っています。

酒井氏

まだ会社全体が統一されているわけではないので、その横軸をきちっと管理して統一していき、「e-廃棄物管理」のような良いものがあれば積極的に取り入れていきたいと思っております。

アミタ

御社の今後の環境活動により一層お役立ちできるように努めてまいります。お時間いただきまして、ありがとうございました。

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話し手プロフィール(取材時点)

矢崎氏

株式会社J-オイルミルズ 執行役員

酒井氏

株式会社J-オイルミルズ 次長

新保氏

株式会社J-オイルミルズ マネージャー

執筆者情報

  • おしあみへんしゅうぶ

    おしアミ編集部

    アミタ株式会社

    おしえて!アミタさんの編集・運営担当チーム。最新の法改正ニュース、時事解説、用語解説などを執筆・編集している。