再資源高度化法が規定する処分業者の責務とは。排出事業者も無関係ではない理由

処分業者の要件

1.産廃処理業者に対する新たな規制

再資源高度化法(再資源化事業等高度化法、再資源化高度化法)というと、認定制度の話がどうしても目立ちます。もちろん、そこはこの法律の大事な柱ですが、処分業者の立場から見ると、もう一つ見逃せない柱があります。今までは処分業者への強制的な規制は廃棄物処理法で規定してきた、別の言い方をすれば、「産廃処理業者は廃棄物処理法に従っていれば一応のことは出来た」と言っても過言では無いと思います。

ところが、廃棄物処理業者への責務を廃棄物処理法以外の法律で規制したのです。そのことについて、今回は取り上げたいと思います。法的根拠については、文末に付けました再資源高度化法第6条、第8条~第10条、第38条、第40条を参照してください。

再資源高度化法では、処分量の多い産業廃棄物処分業者に対して、再資源化の実施状況を把握し、報告し、公表されることまで含めた責務を課しています。環境省も、この法律のポイントの一つとして、特に処分量の多い産業廃棄物処分業者について、再資源化の実施状況の報告と公表の制度を設けたと説明しています。

2.「特定産業廃棄物処分業者」とは

法律第10条は、産業廃棄物処分業者のうち、その処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当する者を、特定産業廃棄物処分業者としています。具体的な要件は施行令で定められていて、前年度の産業廃棄物の処分(再生を含み、埋立処分・海洋投入処分を除く)量が1万トン以上である者、または前年度の廃プラスチック類の処分(同上)量が1,500トン以上である者です。要するに、処分業者の中でも、処理実績が大きい層をまず押さえにいった制度設計です。

では、そのような業者は全体のどのくらいいるのでしょうか。

環境省資料では、産業廃棄物の処分量が1万トン以上の者は、産業廃棄物処分業者全体の約27パーセントとされています。廃プラスチック類の処分量が1,500トン以上の者は、全体の約25パーセントとされています。数だけ見れば、四分の一強です。

けれども、この数字だけではこの制度の狙いは見えてきません。大事なのは次です。その約27パーセントの業者が、処分量全体の約93パーセントを占めると整理されています。私もこの数字を見るまでは、これ程産廃処理業界の寡占が進んでいるとは実感していませんでした。つまり、数としては一部でも、実際の処理実績の大半はそこに集中しているわけです。法律がまずこの層に報告、公表の責務を課したのは、かなり実務的な考え方だと思います。

特定産業廃棄物処分業者に該当すると、毎年度、産業廃棄物の種類や処分方法ごとに、処分した数量や再資源化した数量などを環境大臣に報告しなければなりません。そして、その内容は公表の対象になります。

ここは、単なる事務負担の話として読むと少し外します。

この制度が求めているのは、再資源化をしているかどうかだけではありません。自社がどれだけ再資源化を進めているかを、数字で把握し、外に向けて説明できる状態にしておくことです。処分量の大きい業者ほど、排出事業者にも、地域にも、業界全体にも与える影響が大きい。だから、適正処理をしていればそれで終わりではなく、再資源化の実績まで見える形にしてくださいというのが、この法律のメッセージなのだろうと思います。これは報告・公表制度の趣旨からみた私の整理です。

特定産業廃棄物処分業者の要件の考え方

出典:環境省資料

3.「特定処分業者」に該当しなくても

では、特定産業廃棄物処分業者に当たらない処分業者には、責務はないのでしょうか。

廃棄物処分業者に求められていること(環境省 再資源化事業等高度化法 広報サイト)

法律第8条は、環境大臣が廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項を定めるとしています。条文の書き方は、特定産業廃棄物処分業者だけに限っていません。つまり、再資源化の高度化を進めるうえで、どういう方向を目指すべきかという基本の物差しは、まず廃棄物処分業者一般に向けられているわけです。

その判断基準の内容も、なかなか示唆的です。

省令では、循環資源の回収の促進、再生資源や再生部品の需要の把握、再資源化の実施状況の開示、温室効果ガス排出量の削減、従業員への研修などが挙げられています。読むと分かるのですが、これは単に設備を入れなさいという話ではありません。再資源化を回せる事業運営にしていくこと、もっと言えば、回収、処分、再資源化、情報開示、人材育成まで含めて、事業の体質を少しずつ変えていくことを求めているのです。

すべての処分業者に対しては、第8条の判断基準を通じて、再資源化の高度化に向けた方向づけがある。そのうえで、処理実績が大きい一部の業者には、第10条・第38条・第40条で、報告、公表、場合によっては勧告までを伴う一段重い責務が課される。 そういう二段構えの制度だと理解すると、かなり分かりやすくなります。環境省も、特定産業廃棄物処分業者の再資源化の状況が判断基準に照らして著しく不十分な場合には、勧告の対象になると案内しています。

処分業者の世界には、小規模な事業者も少なくありません(年間の産業廃棄物処分量1万トンという基準で見れば、1万トン未満の業者数は4分の3程度になる訳ですから)。そうした中で、いきなりすべての処分業者に同じ重さの報告義務を課すのではなく、まずは処分量の大きい層を対象にして、数字の把握と公表を求める。他方で、業界全体には判断基準を示して、進むべき方向はそろえる。要するに、業界全体を動かしたいけれど、責務の重さは実態に応じて段階をつけるという考え方です。約27パーセントの業者が約93パーセントの処分量を担っているという数字を見ると、その設計の理由も納得しやすいでしょう。

再資源高度化法は、特定産業廃棄物処分業者だけを特別扱いする法律ではありません。
処分業者全体に再資源化の方向を示し、その中でも影響の大きい業者には、実績を数字で示し、社会に説明する責務を上乗せした法律です。第8条から第10条をそう読んでいくと、この法律は認定制度だけの法律ではなく、処分業者の役割そのものを少しずつ変えていこうとしている法律なのだろうと感じてきます。

4.排出事業者との関わりは

ここまで、読んで下さった排出事業者の方には「なんだ、うちには関わりない制度の話だったな」と思われた方はいましたか?

そうじゃないんです。ヒントは第38条 (再資源化の実施の状況の報告)の第2項にあります。

2 産業廃棄物処分業者(特定産業廃棄物処分業者を除く。)は、(中略)再資源化を実施した産業廃棄物の数量その他環境省令で定める事項を環境大臣に報告することができる。

とあるんです。

特定産業廃棄物処分業者は「報告」は義務なんですが、特定で無い業者は義務も無いのに、なぜわざわざ報告なんてするんだろうか?そんな奇特な業者いるんだろうか?と思いませんか。

実は、排出事業者側にはプラ資源法(プラスチック資源循環法、プラスチック資源循環促進法)の規定等で「再資源化の努力を義務」付けているんです。さらに、特定の製造者には再資源化物を利用する義務まで規定しているんです。と、なると相手先の産廃処理業者として「再資源化等を適正に行える業者」を選ばなければなりませんよね。だから、自分とお付き合いのある業者は「どの程度再資源化に取り組んでいるか」を承知しておく必要が出てくるんです。

それがプラ資源法であったり、資源有効利用促進法であったりするんです。
(なお、この話はまた別の機会で取り上げたいと思っています)

よって、再資源高度化法の処分業者の取組は直接、間接的に排出事業者にとっても必要な情報となるということです。

5.今回のまとめ

  1. 再資源高度化法では産業廃棄物処分業者の規定もある
  2. 特定産業廃棄物処分業者とは産業廃棄物処理実績が1万トン以上、または廃プラスチック類が1500トン以上
  3. 特定産業廃棄物処分業者は業者数としては約1/4だが、処理実績では約9割を占める
  4. 特定産業廃棄物処分業者には実績報告の義務と、その公表制度があり、再資源化の取組が著しく不十分な場合には勧告、命令の規定まである
  5. 特定に該当しない産業廃棄物処分業者にも努力規定がある

参考条文:再資源化高度化法

(廃棄物処分業者の責務)
第六条 廃棄物処分業者は、その再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、再資源化の実施の状況の開示に努めなければならない。

(廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項)
第八条 環境大臣は、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化を促進するため、環境省令で、次に掲げる事項に関し、廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとする。
一 物の製造、加工又は販売の事業を行う者の再生部品又は再生資源に対する需要の把握並びに当該需要に応じた質及び量の再生部品又は再生資源の供給に関する事項
二 再資源化の生産性の向上のための技術の向上に関する事項
三 再資源化の実施の工程から排出される温室効果ガスの量を削減するための当該実施に用いられる廃棄物処理施設(一般廃棄物処理施設(廃棄物処理法第八条第一項に規定する一般廃棄物処理施設をいう。第二十条第二項第五号において同じ。)又は産業廃棄物処理施設(廃棄物処理法第十五条第一項に規定する産業廃棄物処理施設をいう。同号において同じ。)をいう。以下同じ。)における設備の改良又はその運用の改善に関する事項
四 処分を行う廃棄物の数量に占める再資源化を実施する量の割合に関する目標の設定及び当該目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する事項
五 その他再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の促進に関し必要な事項
2 前項に規定する判断の基準となるべき事項は、基本方針に即し、かつ、再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の状況、再資源化事業等の高度化に関する技術水準その他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。

(指導及び助言)
第九条 環境大臣は、再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施を促進するため必要があると認めるときは、廃棄物処分業者に対し、前条第一項に規定する判断の基準となるべき事項を勘案して、再資源化事業等の高度化について必要な指導及び助言をすることができる。

(勧告及び命令)
第十条 環境大臣は、産業廃棄物処分業者であって、その処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当するもの(以下「特定産業廃棄物処分業者」という。)の再資源化の実施の状況が、第八条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該特定産業廃棄物処分業者に対し、その判断の根拠を示して、再資源化の実施に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。

(再資源化の実施の状況の報告)
第三十八条 特定産業廃棄物処分業者は、毎年度、環境省令で定めるところにより、産業廃棄物の種類及び処分の方法の区分ごとに、その処分を行った産業廃棄物の数量及びその再資源化を実施した産業廃棄物の数量その他環境省令で定める事項を環境大臣に報告しなければならない。
2 産業廃棄物処分業者(特定産業廃棄物処分業者を除く。)は、環境省令で定めるところにより、産業廃棄物の種類及び処分の方法の区分ごとに、その処分を行った産業廃棄物の数量及びその再資源化を実施した産業廃棄物の数量その他環境省令で定める事項を環境大臣に報告することができる。

(報告事項の公表)
第四十条 環境大臣は、第三十八条第一項又は第二項の規定により報告された事項について、環境省令で定めるところにより、公表するものとする。

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執筆者プロフィール(記事執筆時点)

ながおか ふみあき

長岡 文明

BUN環境課題研修事務所 主宰

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も勤める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。
元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)

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