
2026年の廃棄物処理法改正により、新たに「ヤード許可」制度が誕生することから、関係者の間では「我が社にも新たな規制がかかるのでは?」と漠然と不安に感じている方もいらっしゃるようです。
ところが、新しくできた条文を読んでもなかなか判らない。そこで、今回はヤード許可の対象になっている制度について、改めて見ていこうと思います。
参考記事:スクラップヤード規制をどう読むか|各法制度が扱う「物」と「行為」の再整理
条文の確認
まず、新たな許可制度の条文を確認しておきましょう。法律に不慣れの方は、あとで見直すことにしてとりあえず飛ばし読みで結構です。
(要適正保管使用済金属・プラスチック物品保管業)
第二十四条の七 要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管(譲渡のためのものに限る。第五項第二号ヘ及びト、第二十四条の十二第一項並びに第二十四条の十四第一項第三号を除き、以下この節において同じ。)を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管の用に供する事業場の敷地面積が政令で定める面積以下である者その他要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管を適正かつ確実に行うことができる者として政令で定める者については、この限りでない。
(要適正再生使用済金属・プラスチック物品再生業)
第二十四条の十五 要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び当該再生のために行う保管(完成品の製造における工程の一部として行われる要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び当該再生のために行う保管を除く。第二十四条の二十及び第二十四条の二十一第一項を除き、以下単に「再生及び保管」という。)を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び保管の用に供する事業場の敷地面積が政令で定める面積以下である者その他要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び保管を適正かつ確実に行うことができる者として政令で定める者については、この限りでない。
このように新たな許可制度として「要適正保管使用済金属・プラスチック物品保管業」と「要適正再生使用済金属・プラスチック物品再生業」の2つが誕生しました。
この文言が長い上に度々登場することになりますので、私は「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」の対象物を略して「要適金プラ」と呼んでいます。また前者を「要適金プラ保管業」、後者を「要適金プラ再生業」と略しています。(あくまでも、BUNさん流略語です)
さて、この「要適金プラ」の制度を知るためには4つの階層類型を知っておくと整理がしやすいです。
1.有価物と廃棄物
世の中(この議論におけるという趣旨ですが)の金属とプラスチックは、まず大きく2つに分かれます。
1つは、廃棄物である「金属くず・廃プラスチック類」と有価物である「金属・プラスチック物品」です。
廃棄物である「金属くず・廃プラスチック類」については、廃棄物処理法スタートの時点から規制の対象であり、他者の物を扱うときは「金属くず・廃プラスチック類」の許可が必要なことは皆さんお分かりのとおりです。

要適金プラの階層類型①(BUNさん整理のもと、アミタ作成)
この区分は今回改正された第1条「目的」と第2条「定義」に登場します。
(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、廃棄物並びに要適正保管使用済金属・プラスチック物品及び要適正再生使用済金属・プラスチック物品の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。(2項~6項略)
7 この法律において「使用済金属・プラスチック物品」とは、使用を終了し、収集された物品で、その全部又は一部が金属又はプラスチックから成るもの(廃棄物並びに放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
8 この法律において「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」とは、使用済金属・プラスチック物品であつて、適正でない保管(譲渡のためのものに限る。)が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な保管と生活環境の保全上同等の保管(譲渡のためのものに限る。)を要するものをいう。
9 この法律において「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」とは、使用済金属・プラスチック物品であつて、適正でない再生及び当該再生のために行う保管が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な再生及び保管と生活環境の保全上同等の再生及び当該再生のために行う保管を要するものをいう。
第二条第7項で「「使用済金属・プラスチック物品」とは、・・(廃棄物・・・を除く。)をいう。」と規定しましたので、要適金プラは「廃棄物では無い」、したがって「有価物」となります。
2.「使用済み」と「用途を廃していない」
次の階層として「使用済み」と「用途を廃していない」に分かれます。
この「使用済み」と「用途を廃していない」については、今回の改正で「廃止」された「有害使用済機器」制度がつくられた平成30年の通知で解説しています。

要適金プラの階層類型②(BUNさん整理のもと、アミタ作成)
「使用を終了し」とは、機器が全体として機能せず、かつ本来意図されている用途として使用できない状態になっていることをいうこと。なお、部品等の機器の一部のみが使用可能であっても、機器が全体として機能していない場合にあっては、使用を終了していると解して差し支えないこと。ただし、仮に機器の一部が機能しない場合であっても、修理が予定されている場合は、「使用を終了」しているとは いえないこと。
(環循適発第18033010号 環循規発第18033010号 平成30年3月30日)
まず、「用途を廃していない」ですが、たとえば扇風機を使用していたがエアコンを入れたので、扇風機が不要になった。しかし、中古扇風機として買い取って貰った。つまり、「扇風機」は引き続き同じ用途である「扇風機」として価値がある。この状態を「用途を廃していない」と表現しています。
一方、扇風機が不要になったので、これを解体して鉄くずとして売り渡す。これは「鉄くず」として価値があっても、「扇風機」としては「用途を廃している」となります。これが「使用済み」と表現しています。
扇風機ではなくなりましたが、鉄くずとして価値がありますので、あくまでも「有価物」の範疇です。
3.「要適正」なのか「要しない」のか
「適正」を「要しない」というと変な感じですが、「適正でない保管・再生が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある」という、前述の第2条第8項、第9項の表現から逆読みすると「適正な保管・再生を要しない」とは、この許可制度により廃棄物と同等の保管・再生規制を課す必要がある物品には該当しない、つまり「それほど注意しなくてもリスクは少ない」「法令で規制するまでのことは無い」という状態を指していると捉えて良いようです。

要適金プラの階層類型③(BUNさん整理のもと、アミタ作成)
4.許可が必要か、許可の対象外か
最後の階層として、取り扱い者やその行為によって許可が必要か、要適金プラではあるが許可不要か、が分かれます。
これは図には示していませんが、2種類ありまして、1つは「極めて小規模等」と、もう一つは「みなし許可」です。
これは冒頭で紹介した第二十四条の七と第二十四条の十五を改めて見ていく必要があります。
4-1.「極めて小規模等」
まず、第二十四条の七の「要適金プラ保管業」について見ていきましょう。
「(譲渡のためのものに限る。第五項第二号ヘ及びト、第二十四条の十二第一項並びに第二十四条の十四第一項第三号を除き、以下この節において同じ。)」
とあります。「譲渡のためのものに限る」と出てきます。つまり、「自分で使うために保管している」という状態は許可の対象から外す、ということです。多少語弊があるかもしれませんが、ちゃんとした製造事業者が原料や部品として自社が使用するために保管している、という状態の「保管」は許可対象外、ということです。
次の
「第五項第二号ヘ及びト、第二十四条の十二第一項並びに第二十四条の十四第一項第三号を除き」
というのは、一部の欠格要件、産廃処理業許可等との特例調整、輸出後の適正確保等の極めて特殊なケースを除くという規定なのですが、ここを深入りするとますます訳が分からなくなりますので、「極一部の例外はあるが譲渡のためのものに限る」としておいてよろしいかと思います。
次が、「ただし」書きにある「事業場の敷地面積が政令で定める面積以下」です。具体的には政令が出てみないと判りませんが、おそらく100平方メートル程度、10メートル四方程度に設定されるのではないかと思われます。
次に、第二十四条の十五の「要適金プラ再生業」ですが、
「完成品の製造における工程の一部として行われる(中略)再生及び当該再生のために行う保管を除く。」
とあり「要適金プラ保管業」と同じように、ちゃんとした製造事業者が原料や部品として自社が使用するために行う再生・保管は許可対象外、ということです。他の規定も「保管業」とほぼ同じです。
4-2.政令で定める者と既存許可者
第二十四条の七、第二十四条の十五ともに「政令で定める者については、この限りでない。」とありますので、政令で列挙される人物も要適金プラ保管業、再生業の許可は不要となります。これは、おそらく各種リサイクル法等により認定等を受けて「廃棄物処理業の許可不要」とされている人物になるようです。
これとは別に、実は、もう一つ許可が不要となることを規定している条項があるんですね。それが、次です。
(一般廃棄物処分業者等に係る要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び保管についての特例)
第二十四条の十九 次の各号に掲げる者は、第二十四条の十五第一項の規定にかかわらず、同項の許可を受けないで、それぞれ当該各号に定める許可に係る一般廃棄物、産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の処分及び当該処分のために行う保管と生活環境の保全上同等の要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び保管に該当する行為を行うことができる。
一 一般廃棄物処分業者 第七条第六項の許可
二 一般廃棄物処理施設の設置者(第八条第一項の許可を受けた者に限る。) 当該許可
三 産業廃棄物処分業者 第十四条第六項の許可
四 特別管理産業廃棄物処分業者 第十四条の四第六項の許可
五 産業廃棄物処理施設の設置者 第十五条第一項の許可
これはいわゆる「正規の廃棄物処理業許可業者」です。「本来、有価物よりも扱いが難しい廃棄物を適正に扱える許可を取得している人物なんだから、改めて有価物である要適金プラの許可を取ってもらうまでも無いだろう」という趣旨のようです。
まとめ
いかがでしょうか?「要適金プラ」に関する「4つの階層類型」という趣旨がおわかりいただけたでしょうか。
同じ事ですが分岐図でも念入りに示してみましょう。

要適金プラの階層類型④(BUNさん整理のもと、アミタ作成)
まず「金属・プラスチック」は廃棄物と有価物に区分されます。廃棄物となった「金属・プラスチック」は金属くずと廃プラスチック類になり廃棄物として許可の対象です。(他人の廃棄物を扱うときは)
有価物である「金属・プラスチック」は「用途を廃しているか」「使用用途を廃していないか」に分かれます。「使用用途を廃している物」は「要適金プラ」と「適正保管を要しない」に分かれます。
そして、要適金プラは取り扱う者や行為によって許可の要否が分かれます。
なお、産業廃棄物の場合は排出事業者にも許可業者にも同じ処理基準が適用になりますが、要適金プラの場合は、要適金プラ保管基準は要適金プラ保管業、再生業の許可業者(「許可業者とみなす」人物を含みます)にしか適用になりません。要適金プラの基準は許可業者以外には適用にならないのです。もちろん、基準が適用にならない人でも、性状的に同じ物体を保管するなら、要適金プラ基準に則った保管をするにこしたことはありません。
以上でお分かり頂けたと思いますが、今回の改正で登場した「要適金プラ」に関するルールが適用になる人は、極めて限られた人になりそうです。
ご自分の会社で「金属・プラスチック」を扱っている方は、前述の「分岐図」で、「我が社の金属・プラスチックはどこに該当しているか」を確認しておけば安心出来るのではないでしょうか。
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著:長岡 文明 発行:(一社)産業環境管理協会
廃棄物担当者のために書き下ろした一冊! 廃棄物処理法の基礎から実務に必要な知識までを凝縮。気になる各種リサイクル法の解説も掲載。
執筆者プロフィール(記事執筆時点)

ながおか ふみあき
長岡 文明
BUN環境課題研修事務所 主宰
山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も勤める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。
元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)
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