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高濃度PCB廃棄物の処分期限が迫っていますが、万が一、期限後に発見された場合はどうなるのでしょうか?期限後の処理は可能でしょうか。 初心者向け

Photo by Blaz Erzetic on Unsplash

ポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下、PCB廃棄物)は、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下、PCB特措法)」によって、廃棄までの期限が定められています。
万が一、それまでに高濃度PCB廃棄物を処理できなかった場合や、期限後に自社施設でPCB使用製品が見つかった場合、期限後の処分はどうなるのでしょうか。

▼PCB廃棄物に関する基礎情報については、過去の関連記事をご覧ください。

まずはおさらい!
  • 高濃度PCB廃棄物は、改正PCB特措法によって、国の監督のもと運営される中間貯蔵・環境安全事業株式会社(以下、JESCO)の全国5か所のPCB廃棄物処理施設でしか事実上処理ができない。
    ※低濃度PCB廃棄物は、許可を持つJESCO以外の民間処理業者で処分が可能。
  • また、それぞれのエリアによって、処理までの期限が定められており(下記参照)、処分については罰金等が定められている。

▼PCB廃棄物の処理期限と事業終了期限

対象 JESCOの事業
エリア
処分期間
※計画的処理完了期限の1年前
特例処分期限日
※計画的処理完了期限

事業終了準備期間
※注1

●高濃度PCB廃棄物

大型変圧器(トランス)・高圧コンデンサ等

北海道
東京
豊田
2022(令和4)年3月31日まで 2023(令和5)年3月31日まで 2023(令和5)年4月1日から2026(令和8)年3月31日まで
大阪 2021(令和3)年3月31日まで 2022(令和4)年3月31日まで 2022(令和4)年
4月1日から2025(令和7)年3月31日まで
北九州 2018(平成30) 年3月31日まで 2019(平成31)年3月31日まで 2019(平成31)年4月1日から2022(令和4)年3月31日まで

●高濃度PCB廃棄物

安定器等・汚染物

北海道
(東京)
2023(令和5) 年3月31日まで 2024(令和6)年3月31日まで 2024(令和6)年4月1日から2026(令和8)年3月31日まで
北九州
(大阪・豊田)
2021(令和3) 年3月31日まで 2022(令和4)年3月31日まで 2022(令和4)年4月1日から2024(令和6)年3月31日まで
●低濃度PCB廃棄物 2027(令和9)年3月31日までに処分

(参照)環境省パンフレット「ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品 及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて」(2018年8月版)
※注1:
大型変圧器(トランス)・高圧コンデンサ等は計画的処理完了期限の3年後まで。安定器等・汚染物は同2年後まで。

JESCOの処理事業終了後は、高濃度PCB廃棄物の処分は「不可」

原則として、高濃度PCB廃棄物の排出事業者は(現状で使用中の製品を含め)JESCOの事業エリアごとに定められた「処分期間」(計画的処理完了期限の1年前)までに自ら処分、または処理委託を行うことが義務付けられています。(ただし、高濃度PCB廃棄物を特例処分期限日(計画的処理完了期限と同日)までに自ら処分、又は処分を他人に委託することが確実であり、届出書に環境省令で定める書類を添付の上、都道府県知事に届け出た者は、「特例処分期限日」までの自ら処分、または処理委託が認められます。)高濃度PCB廃棄物の排出事業者は、これらを最終的なデッドラインだと認識しなければなりません。

なお、排出事業者が最終的に高濃度PCB廃棄物を処理委託できる「特例処分期限日」を過ぎた後でも、JESCOの処理施設は直ちに操業を終了するわけではありません。計画的処理完了期限の後には「事業終了準備期間」が設けられています。トランスや高圧コンデンサのような大型機器の場合は計画的処理完了期限から3年間、安定器等の小型機器類や汚染物の場合は同2年間です。これは、「今後新たに生じる廃棄物の処理や処理が容易ではない機器の存在、事業終了のための準備を行うための期間を勘案したもの」とされています。ただし、「今後新たに生じる廃棄物」が想定されているからといって、計画的処理完了期限までに処分や処理委託を完了しなくても何とかなりそう、などとは決して考えないことです。PCB特措法ではPCB廃棄物の保管事業者に対し、環境大臣または都道府県知事が、「現状で使用中の高濃度PCB使用製品を含め、原則として処分期間中に、遅くとも計画的処理完了期限までに処分を完了するように」改善命令を出すことができます。この改善命令に従わなかった場合は3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科が処せられます。
〔PCB特措法10条(期限内の処分)、12条(改善命令)、33条(罰則)〕

では、JESCOの各エリアでの事業終了までに高濃度PCB廃棄物を処分できなかった場合はどうすればいいのでしょうか。その答えは実質的に「永久に処分できません」になります。つまり、危険物としての厳重な保管責任をいつまでも負い続けるか、排出事業者が自ら処分するために莫大な設備投資をして化学処理や高温焼却処分をすることになります。そのようなことにならないためにも、事業地や施設内に高濃度PCBを使用した機器類が未確認のままで残っていないか、徹底的な洗い出しが求められているのです。

安定器は「分別」で処理費用を大幅に圧縮!

高濃度PCB廃棄物の保管者や、現在も稼働中の高濃度PCB使用機器の所有者にとって悩ましいのが、JESCOへの処理委託費が非常に高額なことです。例えば、トランスなどの大型機器で重量が300kgのものは処理費用が150万円、3,000㎏のものは1,100万円以上もかかります。安定器のように重量が10㎏未満の比較的小型な機器類や、PCB液を拭き取ったウエス等の汚染物は、1㎏あたりの処理費用が一律30,800円となります。

【関連情報】JESCOの高濃度PCB廃棄物の処理料金表はこちら

照明などに用いられる安定器は高濃度PCBを使用した小型コンデンサが付属している場合、廃棄する際は高濃度PCB廃棄物として取り扱う必要があります。ただし、安定器にはコンデンサが内蔵されているタイプと、外側に取り付けられているタイプがあります。この「コンデンサ外付け型安定器」の場合は、コンデンサの取り外しにより、コンデンサを外した後の残部材は、処理費用がずっと安い低濃度PCB廃棄物として各県内の処理施設での処理が可能です(取り外したコンデンサのみをJESCOに処理委託します)。ところが、汚染の恐れがなく安全にコンデンサを取り外せる廃安定器が、まるごと高濃度PCB廃棄物として保管されているケースが多いのです。コンデンサを外さない状態で廃安定器をJESCOに処理委託すれば、重量換算で本来は支払わなくてもよいはずの分まで、高濃度PCB廃棄物としての高額な処理費用が必要となります。このため、環境省やJESCOは廃安定器の分別処理を呼びかけ、早期の処理実現を推進しています。下記資料にて、安全上の注意や手順などが紹介されていますので、是非、ご一読ください。

【関連情報】環境省「廃安定器の仕分けの徹底・促進について (Ver.4.0)」(令和元年6月)はこちら

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さいごに

既に高濃度PCB廃棄物の唯一の処理委託先であるJESCOの北九州事業エリア(九州)では2018年3月末の処分期間および2019年3月末の特例処分期限日(計画的処理完了期限)を過ぎています。他のエリアも順次、処分期間、特例処分期限日を迎え、2024年3月末までには全国のJESCO事業エリアで特例処分期限日を迎えます。自社内の確認は徹底しておきましょう。

執筆者プロフィール(執筆時点)

本多 清(ほんだ きよし)
アミタ株式会社

環境戦略デザイングループ 環境戦略デザインチーム
環境ジャーナリスト(ペンネーム/多田実)を経て現職。自然再生事業、農林水産業の持続的展開、野生動物の保全等を専門とする。外来生物法の施行検討作業への参画や、CSR活動支援、生物多様性保全型農業、稀少生物の保全に関する調査・技術支援・コンサルティング等の実績を持つ。著書に『境界線上の動物たち』(小学館)、『魔法じゃないよ、アサザだよ』(合同出版)、『四万十川・歩いて下る』(築地書館)など。

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