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不況こそ攻める環境部:第1回対談 グリーンフューチャーズ代表 吉田敬史氏(6/7)藤原仁志の「対談:攻める!環境部」

前回までの話はこちら 「第1回対談 グリーンフューチャーズ代表 吉田 敬史氏(5/7)」

「海外は、楽しみながらまわってました。」

藤原: なるほど。海外の方はどうでしたか?

吉田:海外のほうは、最初はただまわって楽しいだけで行ってましたね。本当にまだ若かったから。海外でISOの会議があると、アメリカでやるときはアメリカの工場、ヨーロッパだったら、ヨーロッパの工場に行って話をするわけです。監査にいくっていってもだれも嫌とは言わないですね。そんなことをやって、結局誰もくるなと言わなかったから、長いときは3週間ぐらい行ってましたね。さっさとやれば1週間で終るはずなのに。

第1回対談 グリーンフューチャーズ代表 吉田敬史氏(6/7)

藤原: うろうろと?(笑)

吉田: うろうろとね。ルートを決めて。そんな視点でまわっていると、日本で何を考えてるか分ってくる。そうすると、海外でも監査を自分たちで始めたんですよ。それがなかったら、情報の伝わり方も、もしくは何をやっているかって、海外工場まで当時はまだ全然伝わるルートがなかったですからね。

藤原: そうでしょうね。

吉田: こっちはあまり、仕事だからと言われながらやるんじゃなくて、全く自分の興味というか、自分の楽しみで行ってました。正直そうだったんです。当時はいろんなところに行ってみたくてしょうがなくて、全部行ってやろうと。

藤原: なるほど。逆に環境じゃないと行けませんね。

吉田:行けないんですよ。私が以前やっていた電力の仕事だったら、電力関係の工場しか行けませんよね。冷蔵庫の工場へ行くなんて、絶対オーケー出ないけど、環境だったらいけますよね。すべての工場に関わることなんですから。楽しかったですね。

藤原: 弊社でリサイクルをやっている社員も同じ感覚をもっていますね。私も海外も含めて、いろんなところに行きましたが、仕事で行ったことのない県が今では2つか3つぐらいしかありません。現場にいく必要性があるからなんですが、あらゆる業界の現場にいって見れるのは、環境しかないですね。

吉田: そうでしょうね。だから、若い人に奨励したほうがいいと思います。

藤原: そうですね。

吉田: 仕事ももちろんいいのだけど、そうやって本当にいろいろ言葉で教えるよりも、自分で学んで勝手に考えて、楽しんでこいみたいなやり方のほうがいいと思いますけどね。

藤原:そういうご経験ができたというのは、上司の方のご理解もあったのかもしれませんね。上司もなにやっていいか分らないし、それこそ部下がやる気があってやってくれるんだったら、任せればいいじゃないかと。環境部門の在り方というか、マニュアルがあったわけじゃないんで、どうすればいいのかと、摸索しながらの仕事だったと思うんです。

さてその後、吉田さんご自身が段々と全体をマネジメントしなければいけない立場になられましたよね。97年に京都でCOP3がありましたが、当時は不況真っ只中でしたね。あのころは、三菱電機さんも結構業績が厳しかったと思いますが、その景気低迷のころ部門を立ち上げて5年経過して、環境部門の状況はどうでしたか?

「不況のときこそ、環境は攻める。」

吉田:そうですね。それから12年たつんですねぇ。そのころは不況の実感というか、あまりそっちに目が行っていなかったのも事実ですね。本社にいましたから。もちろん本社だから、直属の役員は、株価がどんどん下がってきて、200円割れるぐらいまでになってきて。

本当に経営者は、大変だという話ですが、本社の技術や生産を統括している部門の中に環境部門も置かれていましたから、コスト削減とか、無駄を省くというのと環境対策強化というのを、同じ担当役員がいっぺんにやらないといけなかったんですよ。攻めと守りを一人の担当役員が判断しないといけなくなった。

第1回対談 グリーンフューチャーズ代表 吉田敬史氏(6/7)

環境分野は結構攻めていましたから、外部のメディアなどともお付き合いも多かったので、いろんなフォーラムとかに何百万円も年会費を払ってたりしたものを、そういう団体からも脱退してくれ、となることもありました。ただ、担当役員としては、本当にその会費は役にたってるものもあるんだと分っているから、「おれは辞めたくないんだけど、自分が先頭にたってコスト削減している手前やめないといけない。でも、必ず回復するからな」みたいな話で、泣く泣く退会するっていう話があったんですよ。

ただ、今から思うと、97年、98年って言うと、環境報告書をみんな各社一斉に出し始めた時期なんですよ。98年は日本のGDPがマイナスになっている。そのときに環境報告書なんていうのを各社一斉に公表してる。あれ、結構お金かかるんですけど。このころ銀行への公的資金投入がありましたけど、2001年ぐらいまでは製造業も真っ暗闇だったんです。そんなころに、環境会計にみんながいっせいに取り組みはじめたり。ISOも97年から認証が始まって、97~99 年ぐらいが、ものすごい勢いで取得しはじめましたよね。

藤原: 毎月、毎月、認証サイト数がどんどん伸びていく。

吉田: そうなんですよね。ということは、環境ISOが急速に立ち上がり、環境リポートが言われもしないのに発行され始め、環境会計という手間の掛かることをみんなが始めたというのは、あの不況のどん底期だったんですね。これまでやってきたISOの普及なんてことは、無駄なことじゃなかったなと。今でもそんなのは要らないと言う人はいるかもしれないけど、なぜかその時期に環境への取り組みをやめた企業ってない。むしろそこで、みんなが新しいことを始めているんです。

藤原: いいお話ですね。

吉田: 今、経済全治三年って言うでしょ。100年に1回の危機とか訳の分らないこと。何でそんなの分るんだろうと。状況がこれまでの不景気と全然違うし、グローバル事情だって100年前と違うから。大恐慌のころの情報の伝わり方と今とは全然違うし。今と100 年後はまた全然違うでしょうし。

100年に1回と言うから、またみんな、マインドが冷えているでしょ。僕は全治3年だから3年たったら、元と同じに戻るのかっていうと、違うと思うんですね。1回崩れたら、違う地点に移る。みんながみんなシュリンクしているけど、今全体がシュリンクしている中でも、70パーセントも利益を増やしている企業もあるんです。だから、一様にへこんでいるわけではないんです。

藤原: 前の不況のときとは違うかたちでへこんでいるんですよね。

吉田: 毎回違うから。だけど、それは必ず構造変化を伴ったリカバリーになっていくと思います。みんなが一様に沈んでいるわけじゃなく、まして一様に転じて元に戻るんじゃないということです。完全にかたちが前とは変わる。これは、オイルショックのあともそうだし。97年ごろの景気もそうだし。

そう考えると、環境っていうのは、あの時期に、三菱電機でも唯一、人員を減らさなかった部門なんですよ。むしろ、それ以降関与する人材は増えてきている。予算も全体に非常に増えてきている。環境リポートを出すとか、環境関連の展示会だってやめなかったし。日経のビックサイトでやっているエコプロダクツ展も始まっていたし。むしろ予算がプラスになっている。環境投資も含めたら、むしろ増えている。必要なところにはお金を投入しますからね。

藤原:確かにそうですね。アミタ持続可能経済研究所では、環境対策のコンサルティングをやっていますが、去年の秋ぐらいから冬にかけて、ひょっとするとオーダーがガタンと減るんじゃないかな、と経営としては覚悟してたんです。「今頼んでいる話、やめるよ」ってクライアントにいわれるんじゃないかと。でも、ほとんどないですね。それどころか吉田さんのおっしゃる通りむしろ増えているんですね。アミタエコブレーンで提供している廃棄物管理のASPサービスも、とても興味をもってもらって、導入企業がおかげさまで非常に増えています。

第1回対談 グリーンフューチャーズ代表 吉田敬史氏(6/7)

結局、「たしかに不況なんだけど、今、これをやらなかったら、それこそ駄目になる」って声、聞こえますね。ホンダさんのように、ハイブリッドカーが目標の3倍も売れているような状況が伝わると、ますますもって伸びていくためには、以前はバックヤードだったけど、こういう部門のところをもう一度見つめ直して、まさに攻めていくために強化していくべきなんじゃないかと。

そこが伸びていくこと自体が社会の役に立つのであれば一石二鳥じゃないかと。ここ10年くらいで私たちが言ってきたことが、末端まで実感されはじめてきたような気がしますね。その意味で今回の不景気は、大転換のきっかけになると思います。

企業や経営者は趣味や嗜好が変わる時代の転換期と捉えた方がいい

吉田: 今回ガタンと来るまでは、ミニバブルじゃないけど、何年間もつづけて右肩上がりの増産、増産でやってきたでしょう。結構、高級車も発売があいついで、マンションも家もどんどん供給されて価格もあがって。圧倒的に供給過多だと戸数的に言っても、今でも売ってるでしょう。最近は買わないで、借りる人がすごく増えているといわれていますけども、この原因はもちろん不況もあるだろうけど、実はそれをきっかけとしたライフスタイルの変化なのかもしれないですね。

企業は、単にお金がなくて商品が買えないのではなく、趣味や嗜好が変わる大きな流れの中であるととらえたほうがいいのかもしれないですよね。マンションを買うより借りればいいやというかたちに変わっていくとなると、ここはちょっと考えないと、前と同じように、ここをちょっと変えて売ろう、とかいう付け焼刃なのは、多分失敗するでしょう。

藤原:ですから、以前は設計をやっていた人が、エンドオブパイプを考えてみたり、マーケティングのやり方もどうやって売ろうか、という一方向からだけでなく、環境も含めて全体を考えて作り、売る。そして、商品自体も結構変わってくるんじゃないかなと思っています。吉田さんが三菱電機をお辞めになって2年ですか。在職中の15年間で環境分野から見てこられたわけですけど、これからの環境部門の役割はまた大きく変わっていくと思うんです。

第1回対談 グリーンフューチャーズ代表 吉田敬史氏(6/7)

さっきおっしゃった査察だ、監査だ、法律だっていう、やらなきゃしょうがないじゃないかというところから放り込んでいったけれども、今はボランタリーにやっていく時代というお話がありました。ボランタリーでやっていくのは、オリジナリティーだとか、ちょうど情勢がこう変わるから、こうしようとかという企画や提案がないとだめで、仕方がないからやりますよ、というこれまでとは違うアプローチが必要になってくると思うんですけど。

吉田さんのおっしゃるとおり、今後は今までのものをもっと安くすればいいのかというと、仮に景気が回復したからといって、売れないものはやっぱり売れないんじゃないかと思うんです。その辺は環境に深くかかわって、立ち上げてこられた方がこういうふうにものづくりや販売をやってほしいなということがあればお願いします。

■次回「第1回対談 グリーンフューチャーズ代表 吉田敬史氏(7/7)」へ続く

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